「せんせ」
『………どした』
「ふふ、なんでもなーい」
『なんだよ』
『ほら、早く問題解け』
「はーい」
「………」
「私、好きだよ」
『……ん?テストがか?』
「違うよ、せんせーがだよー」
『そーかそーか。ありがとな』
「もー、そんなの思ってないでしょー」
結構…本気なんだけどな。
『…なんか言ったか?』
「なーんにも」
ーやるせない気持ちー
「私さ、明日この町、出ていくんだ」
『…ふーん』
「何よ、そのそっけない感じ!」
「心配するとか寂しいとか言えないの??」
『…いや、、』
「サイテー」
……懐かしいな。この砂浜。
昔、君とここで喧嘩したよね。
忘れもしない。君が町にいる最後の日だった。
あの時の僕は、君に会えるのが最後だって…
認めたくなくて、信じたくなくて。
嫌だって言いたかったけど、
言葉が詰まって言えなかった。
『好きだぁー!!!!!!!!!』
思いっきり叫んだ。
届かなくてもいい。聴こえなくてもいい。
何十年経っても、君を想ってるって
この波に乗せて、言いたいんだ。
ー海へー
僕の家は、とても裕福とは言えなかった。
毎日生きるのに必死で
母が夜遅くまで働いてくれる。
そのおかげで、学校に通えている。
突然、母がこんなことを言い出した。
「ごめんね…もう疲れたの」
急にどうしたんだろうか。
仕事のし過ぎで、顔がやつれている母。
僕の為に、ずっと働いてくれていたんだ。
『大丈夫だよ、お母さん』
『今までありがとう。ここからは僕が頑張るよ』
母の代わりに僕が働いて、家を守ろう。
そう決めた。
次の日、母は死んだ。
事故か事件か、自殺かは分からなかったけど
疲れたのは、人生だったのかも知れない。
ー裏返しー
「俺さ、一回空飛んで見たいんだ」
『……なんで?』
「いや…なんかいいやん」
「人間には出来ないことをする感じ……」
『……空ぐらい人間だって飛べるよ』
「そうなん?それって何十年後とかの話?」
『いや……お前だって今からでも飛べるよ』
「まじかよ」
「どうやって飛ぶんだよ」
『…そこの窓開けて』
「……おう」
「で?その後はどうすr」
『……………』
『飛べただろ?よかったな』
ー鳥のようにー
さよならって一番嫌いな言葉なんだよな。
一生の別れって感じがするからさ。
女の子ってさよならって言葉に敏感なんだって。
まあ、女の子に限らないと思うけど。
人間はまたねっていう言葉があるくせに
さよならって言いたくなるんだよな。
ほんと不思議な生き物だよ。
さよならって不快感を感じる…よな。
言われた側も……言った側も。
……きっとあいつも………。
……喧嘩別れしたんだ。
それで俺、「さよなら」って…。「じゃあな」だったかな……。
はは……どっちにしろ…最低だったな。俺。
ーさよならを言う前にー