ヨルガオ(短編小説)

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8/4/2023, 2:52:07 PM

『…お前さ……』

『なんでこんなに荷物あるねん!!!』

「…いや〜、めんどかったんよ」

『置き勉しとる教科書とかならまだわかるけど……』

『習字道具なんか前、先生が使わんよったやん!』

『なんで早よ持って帰らんのよー』

「ごめんて〜。ほら、この通り!!!」

『…ふ、わかったわかった。手伝うわ。約束もしてたしな』

「まじサンキュ〜!んじゃあ、これとこれとこれよろしくな〜」

『ほんましゃーないやつやなー』

『お前、俺が居らな生きてけんのとちゃうんか?』

「ん〜……。そうかもな」

「お前居ったら、どんだけ嫌な事でも乗り越えられる気するわw」

『……そーかよ』


ーつまらないことでもー

8/3/2023, 1:10:04 PM

『あー、まじ授業疲れたー』

「やっと放課後やなー」

『国語とか睡眠導入剤よな。ガチでねみー』

『俺ちょい寝るわ。しばらく経ったら起こしてくれ』

「りょー」

『………』

静かな教室に俺とこいつとで2人っきり。

あー、くそ…。こいつまじで警戒感なさすぎや。

今なら俺が何しても気づかんのちゃうか…?

あほあほ!!何考えてるんや俺は!?!?

こずるい真似やカッコ悪いわ。男ならちゃんと正面からや!

『…ん……』

「………」

「…あ、雨や」

天気予報で午後から雨が降る言うてたな…。

…………。

折り畳み傘……教室に置いて行こ。

こいつは…俺を傘に入れてくれるやろか……?


ー目が覚めるまでにー

8/2/2023, 1:38:48 PM

目が覚めると、白い天井が見えた。

「……翼!!」

『…父、さん?……こ、ここは?』

「…落ち着いて聞け。ここは病院でお前は運ばれたんだ」

『…病院?な、なんで…』

「お前は幻想病という病気なんだ…。死に際に天使が見えるらしい」

『幻想病……』

『その病気って…治るの?』

「…………生きられてもあと…1ヶ月…らしいんだ」

『………だよ』

『なんでだよ!!!!!』

「翼!!落ち着くんだ!!!」

『僕は病気なんかじゃ無い!!こんなの何かの間違いだ!!』

「翼!話を聞いてくれ!!」

「お前の為なんだ!!!!!!!」

「お願いだから落ち着いてくれ!!」

『はぁ…はぁ……うぅ………』

『僕の為なら…病気じゃ無いって否定してくれよ…』


ー病室ー

8/1/2023, 10:53:06 AM

「最近、雨ばっかりやな」

『まー、梅雨やからな。しゃーない』

「…あ」

『どしたん』

「最悪や。傘、家に忘れてしもた」

『折り畳みは』

「持ってないわー」

「悪いんやけどさ、傘の中入れてくれへん?」

『ええけど、そのかわり明日の昼メシ奢れよ』

「代償デカない?じゃあ走るわ」

『ハハ…冗談やって。早よ入れ』

「助かるわ〜まじサンキュな」

「あ、あとさ。明日も一緒に帰ってくれん?」

『は?きっしょ』

「ちげーわ。荷物が多いんじゃ。手伝ってくれや」

『…しゃーないな〜。晴れてたらやで』


ー明日、もし晴れたらー

7/31/2023, 11:04:18 AM

「体調大丈夫?あ、これ。クラスのみんなから」

先生の手にはクラスメイトからの一言が書かれた色紙が。

早く元気になってね。学校で遊ぼう。

「みんな、貴方が来るのを待ってるわ」

「ゆっくりでいいから。学校に来てみて欲しいの」

『……はあ……』

「それじゃあ、先生帰るから。頑張ってね」

『……さよなら』

ガチャンッ

『……何が頑張ってだ。こんな物、あるだけ無駄なのに』

早く元気になってね? 誰のせいで。

学校で遊ぼう? それが嫌だから家にいるんだ。

ゆっくりでいい? なんで学校に行く前提なんだよ。

来てみて欲しい? 僕の意志も尊重出来ないのか。

頑張って? 僕なりに頑張ったんだよ。

『…やっぱ、自分の気持ちは自分にしか伝わらない』


ーだから、一人でいたい。ー

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