名無夏

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9/8/2024, 10:59:41 AM

君の隣にいたいと思ったのはいつだったかな。
何でもないはずだったのに、気づけば目で追ってしまって。
周りの人たちには"気になってるだけ"って誤魔化したけど、本当はもうとっくに好きになってしまって堪らなかった。
彼が私に素っ気ないのも、どこか避けているような挙動でも、それでもどんどん好きになっていってしまう。

苦しい。けど、好き。
胸の小さな鼓動は、誰にも止められない。

5/31/2024, 3:03:51 PM

きらきらとした目で見つめてくる瞳が好きだった。
花が咲くような笑顔が好きだった。
美しい髪が好きだった。
優しい声が好きだった。
君の好きなところは出てくるのに、君を象徴する言葉が見当たらなくて。
そのまま時は容赦なく流れる。
君が晴れ舞台に選んだ衣装の名は"白無垢"。
昔の君とは見違えるくらい淑やかで美しい。
だけれどその中に垣間見える愛らしさや煌めきは今も健在だ。

そうだ。
こんな人を、人々はそう呼ぶのか。
無垢、と。

5/15/2024, 10:54:18 AM

今まで、ずっと空っぽだった。

ずっと、何かになりたいって思っていた。

それでもなれなくて、その度に羨望の眼差しを向けて、苦しくて辛くて、泣いて。


だからそのぶん、強くなったはずだ。

誰かと笑い合う楽しさも、喜びを分かち合う嬉しさも、誰かへの嫉妬心も、思う自分になれない辛さも、上手くできない悲しさも。

わたしは全部、知っているから。

だからあとは、進むだけ。

期待と、ほんのちょっとの後悔を抱えながら。

4/4/2024, 5:05:26 PM

"進路"

その文字を見るだけで頭が痛くなる。
思春期に抱える問題としては大きくて、でも書面に書くだけの小さなもの。相対する存在で、なかなか言葉にし難い。

一生懸命考えているんだ。でも、空っぽ。
やりたいことなんてない。特技や趣味もない。
好きなことはあっても、それを仕事にする勇気なんて持っていない。
はやくしないと。担任や周りの重圧に押し潰されて、死んでしまいそうになるんだ。

「やりたいことをやればいいじゃない」
「…ないよ」
「お母さんは今、ハンバーグを作りたいなぁ」
馬鹿らしい。
進路は、そんな簡単なものじゃないだろ。
「ちょっと難しく考えすぎなんじゃない?」
「だって、今後に関わるんでしょ?真剣に考えてるの」
「やりたいことを見つけるっていうのも進路のひとつよ。とにかく、今やりたいことを探すの。これからのことはこれから考えていけばいい」

今、やりたいこと。
今は、ふらふらしたい。
宛先もなく、ひたすらに歩いていたい。
たまに道に迷って、でも迷いながら進んで、いつかはゴールテープを切る。
将来のことは分からない。その人生が正しいのかも、間違っているのかもあやふや。

けれど今は、それでいい。
それ"が"いいんだ。

3/31/2024, 4:42:09 PM

ずっと好きな人がいた。
幼稚園から一緒で、家も近かったからよく遊んでいた。それは高校生になっても変わらず、暇さえあれば通話を繋いでひたすらゲームをしていた。
楽しかった。時間を浪費していると分かっていても。この幸せがずっと続くんだなって、思っていた。

「お前に紹介したい奴がいる」
呼び出され、突然言われた言葉。隣には可愛らしい女の子。
「俺の彼女。四葉」
彼女は恥ずかしそうに頭を下げた。
私とは違って女の子らしく、口調も丁寧だ。声も仕草もふわふわしていて、いるだけで場が和むような。
彼女の隣を見れば、今までにないくらい穏やかに、優しく微笑みかける貴方。
私にはそんな顔、しなかったくせに。
私は"お前"で、彼女は"四葉"。
私の方が、いっぱい彼を知っているのに。
私の方が、ずっと長くいるのに。
私の方が、ずっと好きなのに。
"三葉"の私じゃ、幸せになれないの…?

たぶん、こういうところ。
すぐに嫉妬して、勝手に不機嫌になって、他人にぶつける。こんな妬み嫉みに溢れた私より、純粋無垢な彼女の方が貴方に似合ってる。

あんたらの幸せなんか願ってやらない。
ぶち壊してやりたいほど憎いけど、

「お幸せに。」

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