谷折ジュゴン

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5/29/2025, 11:38:06 AM

創作「渡り鳥」

とある日の朝、校舎の軒先で素早く飛ぶ小鳥が、ひっきりなしに出入りしていた。

青みがかった黒い背と白い羽毛に覆われた腹、そして、赤いスカーフのような首の模様が特徴的なあの鳥は、ツバメである。

もうそんな時期かと、私は軒を見上げた。思った通り、すでに巣ができあがっていた。そして、なんと雛までいるではないか。

五羽の雛たちは親鳥が巣へ近づく度に、黄色いくちばしを目一杯開けて、必死に餌をねだって鳴いていた。

あの雛たちも大人になれば、南の国や暖かい地域へ渡っていくのだろう。そして、再びこの巣へと帰って来るはずだ。

何度も繰り返されてきた、小さくて壮大な命の営みが、この軒先でも起こっている。その事実に私の心がわずかに震えた。

そして、どうか健やかに生きてくれと胸の内で呟いて、私は校舎へと入った。

おわり

1/26/2025, 11:18:02 PM

「航海」 ※「わぁ!」

冬晴れの大海原を行く船の羅針盤は、常に僕らの夢へと向いている。風のいたずらで起こる大波、突然の大嵐。僕らを包む森羅万象の一つ一つが、新たな進路を広げてくれる。

時に、仲間に嫉妬し、敵が現れ、憂鬱という名の先が見えない手のひらの宇宙をさまようこともある。どうか、その時は星のかけらの光を頼りに、無音の暗闇を抜け出して。願わくばあの夢のつづきを思う、君の姿を見せて欲しい。 それが無理ならば、今は瞳を閉じて動く力が戻るまでゆっくり休んで。

しかし、君は長い旅路の束の間の休憩に焦り、港に止まった船を見ては自分を責め、悩むだろう。何度も明日へ向かって歩く、でもまだその時ではない。向かい風に君は転び、迷子の羅針盤はぐるぐると狂う。やがて日の出が訪れる。海面は凪いでいる。

わぁ! 追い風だ、今こそ帆を上げろ!

これまで流した透明な涙をそっと拭い、
力を込めて舵輪を握る。
後は、古今東西どこへ舵をきるのかは君の自由だ。
手にした未来への鍵に合う宝箱を探すのも良い。
幸せとは何か追い求めるのも悪くない。

僕の言葉が、君へ届くかどうかわからない。だけど、僕はまだ見ぬ景色を目指す航海の仲間として、ただひとりの君へ終わらない物語を紡ぐよ。

1/3/2025, 4:49:07 AM

「今年の抱負」

筆先に墨と希望を含ませて

一点の曇り無き半紙へ伸び伸びと

黒光りする線は夢の実現への道のり

書き初めにて今年も夢を抱えて努めを負う

12/31/2024, 12:24:47 PM

「良いお年を」

おおよそ一年間、私の文章と作品を読んでくださってありがとうございました。

また、未完成の文章を投稿してしまったり、全く報告もなく編集したりとお見苦しい所を見せてしまって本当に申し訳ございませんでした。

そして、私の気まぐれな投稿へもめげずに「もっと読みたい」のハートをくださった方には深く感謝しています。

来年は書くことや文章の表現に関してさらに学んでいこうと考えています。ですので、投稿するのは月に一回か二回程度とかなり減るかと思います。

ですが、ぼちぼちと投稿は続けていくので、気長に見守っていただけると幸いです。

今後ともお体に気をつけて
良いお年をお迎えください

2024年12月31日 谷折 ジュゴン

12/27/2024, 1:15:27 PM

「手ぶくろ」

毛糸で編まれた分厚い手ぶくろ

もこもこやわらかい かわいい手ぶくろ

吐き出した白い息を受け止めて

あたたかな思い出も一緒に握り込む

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