織川ゑトウ

Open App
7/16/2023, 1:32:12 PM

『息徒然に(いきつれづれに)』

息徒然に、今日も生きて参ります。
転んで擦りむけた脚をぺたりと触り、
少しだけ血が出ていることを確認し、
なんでもないように今日を過ごします。
外の明るい街灯は、街を照らしてくれるかと思いきや
どうやら私達を傷つけるようです。

息徒然に、今日を生きたならば。
明日も生きねば。
息徒然に、心身徒然に、人徒然に、

誰かを守りたいと思うのならば、まず自分を守らねば。

心の奥底を見てみなさい。
輝く宝石と化した虫たちがいるでしょう。

あれは皆、貴方が殺したのですよ。

息徒然に、今日も生きているならば。
一生を生きねば。


お題『空を見上げて心に浮かんだこと』
※徒然(つれづれ)=ながながと、そのままずっと。

要は生きててよかったってことです。
死ぬのって簡単ですけど、生きるのは難しいですからね。

7/15/2023, 1:06:01 PM

『軽言(けいごん)』

君は泣いていた。
暗くて、生ぬるくて、でも、どこか寒さを感じるような。
誰かの怒号が聞こえ続ける部屋で。
ただ、ずっと、君の耳をつんざくような叫び声だけがこだまして、
たまに静かになって、また叫びだして。
助けたかった。助けたかったんだ。
でも、僕は怖かった。そんな君に触れるのが、気持ちを飲むのが。
僕には想像できなかったんだ。
どれだけ辛かったんだろうって。

「もう、死にたい」
「もう、消えたい」
「もう、諦めたい」

本当に、本当に、残酷な日々を過ごしてきたんだろうなって。
努力して、でも結果はでなくて、「頑張ったよ」って言っても結果しか見てもらえなくて。

だから僕は、この世界を終わらせたいって思ったんだ。

君が嫌うこの世界を、君を死なせてしまうこの世界を。
そしたら君はなんて言うかな。
「ありがとう」って言ってくれるかな。

いっそ一回死んで、もう一回他の世界に生まれ変わろうか!
そしたら、君の苦しみも消えるかなぁ。

ごめんね。想像しか出来なくて。君の手を取ることが出来なくて。
もし、いつか君に会うことができたなら、
もし、君に触れることができるなら、
暖かい手がいいな。冷たくならないでね。
いつか君に会うことができたときに繋ぐ手は、暖かいといいな。

ごめんね。こんな軽いことしか言えなくて。
心に響く言葉なんて僕には言えない。
だから、せめて、君といつか出会ったときに、
結ぶ手が暖かいよう準備をしてるね。
言葉では表せれないけれど、暖かい空間に二人浸っていたいから。


お題『終わりにしよう』

なんだかお題とずれてしまいましたかね。終わりにしよう、ですか。貴方はなにを終わらせたいですか?頑張ってること?世界?それとも人生?
人生長いって言いますけれど、環境が環境じゃあ短くなっちゃいますよね。
もう、夜ですね。今日も一日が終わります。貴方は今日に満足できましたか?

7/14/2023, 1:10:12 PM

『明手(あくしゅ)』

僕たちには子供がいたね。
何年前の話しか、忘れてしまったけれど。

「お父さん!お母さん!」

娘の名前は桜だった。名のとうり、桜のような笑顔を咲かす娘だった。
学業も、運動も、文武両道だったね。
君の名前…僕の妻の名前は椿だった。

「ふふ、今日も素敵よ」

あんなに、幸せな家族だったのになぁ。

「君が浮気したんだろ!」
「貴方がしたんでしょ!」

ささいなことから喧嘩になって、ついには浮気しただの言い出す事態。

「お母さぁん…お父さぁん…辞めてよぉ…」

桜には辛い思いをさせてしまったかな。
そうやって、色々引きずって早10ヶ月後。

君達が、死んでしまったんだよね。
交通事故。酔っ払ったおじさんに退かれたんだ。
幸い僕は一命をとりとめたけど、君達は即死。
時々考えるよ。なんで僕だけが生きてしまったんだろうって。
だから、罪滅ぼしにこの場所に来てるんだ。

春、桜と椿が咲く頃に。君達の墓場に来ている。
手向ける花としては少し珍しい桜と椿を持って。
もう、触れることの出来ない手を墓石に触れ、思い出す。

「ずっと、ずっと愛しているからね」

嗚呼、何故だろう。墓石は冷たいのに。胸の奥が暖かい。

「「私たちもだよ」」



お題『手を取り合って』

織川より。
皆様こんにちは。毎度お馴染み織川ゑトウです。
お久しぶりですね。前にも一度お伝えいたしましたが、受験生なので週末、休日あたりの投稿が多くなるかと思われます。ご理解のほど、よろしくお願いいたします。

7/9/2023, 1:07:27 PM

『日常色(にちじょうしょく)』

非日常的なことを人は好むだろう。
だけれど、それはあまりにも辛く残酷だ。

誰かが言った「魔法が使いたい」
そんなに簡単なものではない。人を殺せたりもする。
誰かが言った「駆け落ちしたい」
実際には幸せになれる可能性は0に等しい。
誰かが言った「天才になりたい」
天才にも、天才なりの悩みがあるものだ。

誰かが言った「こんな日常はもう嫌だ」
なにかに耐え続けているのだろうか。

明るい日常。暗い日常。
赤い日常。青い日常。

君の「日常」はどんな色かな。
黄色く明るく輝いている?それとも、薄汚れている?

君の目にはフィルターがかかって、モノクロの日々を過ごしているかもしれないね。
でも、焦らなくてもいいんじゃないかな。
だって、それが君にとっての「日常」なんでしょう?
モノクロの日々にも少し工夫を加えるだけで、色んな色が浮き出るよ。

例えば白と黒を混ぜれば灰色に。
白を少し強くするだけで、ほぼほぼ白に近い色に。
君の心臓の赤色を足せば、さらに色んな色が浮き出る。

変わらない日常もまたいい。
自分の唯一無二の居場所になる。

でも、代わり映えのしない日常に飽きたのなら少し外を見てみるといい。
街灯の明かり。人々の声。信号の青色。
君の日常にこれから添えられる色だ。

……そうして、僕は今日も語りかける。
日々頑張る君達に。迷い踊る子羊達に。

この世の終わりが来る日まで。


お題『私の当たり前』

今回お題難しいですね。型にハマらないをモットーとしている私にとっては強敵でした

7/8/2023, 1:40:03 PM

『消灯時刻、十分前』

消灯時刻、十分前。僕はこの時間が大好きだ。
寮の部屋に付いている小窓をカラカラと音をたて開ける。
少しだけ冷たい風が、干からびていた僕の体を湿らす。
山にある高校だと人口の明かりもなく、
星星が、眠る寮生の夢を照らす。
親に無理を言って田舎の高校に来た都会っ子の僕は、
少しだけ街の明かりが恋しくなっている部分がある。
百万ドルの夜景には到底及ばないほどの明かりだったが、
僕にはそれが心地よかった。

しかし、こうやって田舎の星空を眺めるのも、
また風情があって大変いい。
街の明かりには、色んな話が詰まっていた。

八百屋の話。
床屋の話。
本屋の話。

でも、僕が今見ている星星にはもっと色んな話が詰まっている。

浮気の話。
悲恋の話。
戦の話。

数万数億とある星星は今日も僕たちに語りかけてくれる。
街のぼんやりした明かりで見えなかった星星は、
今、はっきりと輝いている。
人口の明かりに身を隠し、いつまでも優しく照らし続けている。

そういえば友達からキャンプのチラシを貰っていたな。
そろそろ夏休み。たまにはキャンプで日々の疲れを癒すのもいいかな。

消灯時刻、一分前。
もうそろそろ、街の明かりも恋しくなくなるかな。


お題『街の明かり』

もうそろそろ夏休みですね。ただ、今年の夏は例年よりも暑くなりそうです。体調管理、気を付けて下さいね。
今年は花火大会に行きます。皆様もどこかへご旅行に行かれるのでしょうか?思いっきり楽しんで来て下さいね。
今回は、街の明かりが恋しい少年が星星の美しさを見て、恋しさを忘れてゆくお話でした。都会もいいですけれど、たまには虫の声が聞こえる田舎も心が落ち着きます。
何かに疲れてしまったら、田舎に来てみてはいかがでしょうか。きっと、星星が貴方達を優しく受け入れてくれますよ。
それでは皆様、よい夢を。星星が照らしてくれていますよ。

Next