『息徒然に(いきつれづれに)』
息徒然に、今日も生きて参ります。
転んで擦りむけた脚をぺたりと触り、
少しだけ血が出ていることを確認し、
なんでもないように今日を過ごします。
外の明るい街灯は、街を照らしてくれるかと思いきや
どうやら私達を傷つけるようです。
息徒然に、今日を生きたならば。
明日も生きねば。
息徒然に、心身徒然に、人徒然に、
誰かを守りたいと思うのならば、まず自分を守らねば。
心の奥底を見てみなさい。
輝く宝石と化した虫たちがいるでしょう。
あれは皆、貴方が殺したのですよ。
息徒然に、今日も生きているならば。
一生を生きねば。
お題『空を見上げて心に浮かんだこと』
※徒然(つれづれ)=ながながと、そのままずっと。
要は生きててよかったってことです。
死ぬのって簡単ですけど、生きるのは難しいですからね。
『軽言(けいごん)』
君は泣いていた。
暗くて、生ぬるくて、でも、どこか寒さを感じるような。
誰かの怒号が聞こえ続ける部屋で。
ただ、ずっと、君の耳をつんざくような叫び声だけがこだまして、
たまに静かになって、また叫びだして。
助けたかった。助けたかったんだ。
でも、僕は怖かった。そんな君に触れるのが、気持ちを飲むのが。
僕には想像できなかったんだ。
どれだけ辛かったんだろうって。
「もう、死にたい」
「もう、消えたい」
「もう、諦めたい」
本当に、本当に、残酷な日々を過ごしてきたんだろうなって。
努力して、でも結果はでなくて、「頑張ったよ」って言っても結果しか見てもらえなくて。
だから僕は、この世界を終わらせたいって思ったんだ。
君が嫌うこの世界を、君を死なせてしまうこの世界を。
そしたら君はなんて言うかな。
「ありがとう」って言ってくれるかな。
いっそ一回死んで、もう一回他の世界に生まれ変わろうか!
そしたら、君の苦しみも消えるかなぁ。
ごめんね。想像しか出来なくて。君の手を取ることが出来なくて。
もし、いつか君に会うことができたなら、
もし、君に触れることができるなら、
暖かい手がいいな。冷たくならないでね。
いつか君に会うことができたときに繋ぐ手は、暖かいといいな。
ごめんね。こんな軽いことしか言えなくて。
心に響く言葉なんて僕には言えない。
だから、せめて、君といつか出会ったときに、
結ぶ手が暖かいよう準備をしてるね。
言葉では表せれないけれど、暖かい空間に二人浸っていたいから。
お題『終わりにしよう』
なんだかお題とずれてしまいましたかね。終わりにしよう、ですか。貴方はなにを終わらせたいですか?頑張ってること?世界?それとも人生?
人生長いって言いますけれど、環境が環境じゃあ短くなっちゃいますよね。
もう、夜ですね。今日も一日が終わります。貴方は今日に満足できましたか?
『明手(あくしゅ)』
僕たちには子供がいたね。
何年前の話しか、忘れてしまったけれど。
「お父さん!お母さん!」
娘の名前は桜だった。名のとうり、桜のような笑顔を咲かす娘だった。
学業も、運動も、文武両道だったね。
君の名前…僕の妻の名前は椿だった。
「ふふ、今日も素敵よ」
あんなに、幸せな家族だったのになぁ。
「君が浮気したんだろ!」
「貴方がしたんでしょ!」
ささいなことから喧嘩になって、ついには浮気しただの言い出す事態。
「お母さぁん…お父さぁん…辞めてよぉ…」
桜には辛い思いをさせてしまったかな。
そうやって、色々引きずって早10ヶ月後。
君達が、死んでしまったんだよね。
交通事故。酔っ払ったおじさんに退かれたんだ。
幸い僕は一命をとりとめたけど、君達は即死。
時々考えるよ。なんで僕だけが生きてしまったんだろうって。
だから、罪滅ぼしにこの場所に来てるんだ。
春、桜と椿が咲く頃に。君達の墓場に来ている。
手向ける花としては少し珍しい桜と椿を持って。
もう、触れることの出来ない手を墓石に触れ、思い出す。
「ずっと、ずっと愛しているからね」
嗚呼、何故だろう。墓石は冷たいのに。胸の奥が暖かい。
「「私たちもだよ」」
お題『手を取り合って』
織川より。
皆様こんにちは。毎度お馴染み織川ゑトウです。
お久しぶりですね。前にも一度お伝えいたしましたが、受験生なので週末、休日あたりの投稿が多くなるかと思われます。ご理解のほど、よろしくお願いいたします。
『日常色(にちじょうしょく)』
非日常的なことを人は好むだろう。
だけれど、それはあまりにも辛く残酷だ。
誰かが言った「魔法が使いたい」
そんなに簡単なものではない。人を殺せたりもする。
誰かが言った「駆け落ちしたい」
実際には幸せになれる可能性は0に等しい。
誰かが言った「天才になりたい」
天才にも、天才なりの悩みがあるものだ。
誰かが言った「こんな日常はもう嫌だ」
なにかに耐え続けているのだろうか。
明るい日常。暗い日常。
赤い日常。青い日常。
君の「日常」はどんな色かな。
黄色く明るく輝いている?それとも、薄汚れている?
君の目にはフィルターがかかって、モノクロの日々を過ごしているかもしれないね。
でも、焦らなくてもいいんじゃないかな。
だって、それが君にとっての「日常」なんでしょう?
モノクロの日々にも少し工夫を加えるだけで、色んな色が浮き出るよ。
例えば白と黒を混ぜれば灰色に。
白を少し強くするだけで、ほぼほぼ白に近い色に。
君の心臓の赤色を足せば、さらに色んな色が浮き出る。
変わらない日常もまたいい。
自分の唯一無二の居場所になる。
でも、代わり映えのしない日常に飽きたのなら少し外を見てみるといい。
街灯の明かり。人々の声。信号の青色。
君の日常にこれから添えられる色だ。
……そうして、僕は今日も語りかける。
日々頑張る君達に。迷い踊る子羊達に。
この世の終わりが来る日まで。
お題『私の当たり前』
今回お題難しいですね。型にハマらないをモットーとしている私にとっては強敵でした
『消灯時刻、十分前』
消灯時刻、十分前。僕はこの時間が大好きだ。
寮の部屋に付いている小窓をカラカラと音をたて開ける。
少しだけ冷たい風が、干からびていた僕の体を湿らす。
山にある高校だと人口の明かりもなく、
星星が、眠る寮生の夢を照らす。
親に無理を言って田舎の高校に来た都会っ子の僕は、
少しだけ街の明かりが恋しくなっている部分がある。
百万ドルの夜景には到底及ばないほどの明かりだったが、
僕にはそれが心地よかった。
しかし、こうやって田舎の星空を眺めるのも、
また風情があって大変いい。
街の明かりには、色んな話が詰まっていた。
八百屋の話。
床屋の話。
本屋の話。
でも、僕が今見ている星星にはもっと色んな話が詰まっている。
浮気の話。
悲恋の話。
戦の話。
数万数億とある星星は今日も僕たちに語りかけてくれる。
街のぼんやりした明かりで見えなかった星星は、
今、はっきりと輝いている。
人口の明かりに身を隠し、いつまでも優しく照らし続けている。
そういえば友達からキャンプのチラシを貰っていたな。
そろそろ夏休み。たまにはキャンプで日々の疲れを癒すのもいいかな。
消灯時刻、一分前。
もうそろそろ、街の明かりも恋しくなくなるかな。
お題『街の明かり』
もうそろそろ夏休みですね。ただ、今年の夏は例年よりも暑くなりそうです。体調管理、気を付けて下さいね。
今年は花火大会に行きます。皆様もどこかへご旅行に行かれるのでしょうか?思いっきり楽しんで来て下さいね。
今回は、街の明かりが恋しい少年が星星の美しさを見て、恋しさを忘れてゆくお話でした。都会もいいですけれど、たまには虫の声が聞こえる田舎も心が落ち着きます。
何かに疲れてしまったら、田舎に来てみてはいかがでしょうか。きっと、星星が貴方達を優しく受け入れてくれますよ。
それでは皆様、よい夢を。星星が照らしてくれていますよ。