織川ゑトウ

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『軽言(けいごん)』

君は泣いていた。
暗くて、生ぬるくて、でも、どこか寒さを感じるような。
誰かの怒号が聞こえ続ける部屋で。
ただ、ずっと、君の耳をつんざくような叫び声だけがこだまして、
たまに静かになって、また叫びだして。
助けたかった。助けたかったんだ。
でも、僕は怖かった。そんな君に触れるのが、気持ちを飲むのが。
僕には想像できなかったんだ。
どれだけ辛かったんだろうって。

「もう、死にたい」
「もう、消えたい」
「もう、諦めたい」

本当に、本当に、残酷な日々を過ごしてきたんだろうなって。
努力して、でも結果はでなくて、「頑張ったよ」って言っても結果しか見てもらえなくて。

だから僕は、この世界を終わらせたいって思ったんだ。

君が嫌うこの世界を、君を死なせてしまうこの世界を。
そしたら君はなんて言うかな。
「ありがとう」って言ってくれるかな。

いっそ一回死んで、もう一回他の世界に生まれ変わろうか!
そしたら、君の苦しみも消えるかなぁ。

ごめんね。想像しか出来なくて。君の手を取ることが出来なくて。
もし、いつか君に会うことができたなら、
もし、君に触れることができるなら、
暖かい手がいいな。冷たくならないでね。
いつか君に会うことができたときに繋ぐ手は、暖かいといいな。

ごめんね。こんな軽いことしか言えなくて。
心に響く言葉なんて僕には言えない。
だから、せめて、君といつか出会ったときに、
結ぶ手が暖かいよう準備をしてるね。
言葉では表せれないけれど、暖かい空間に二人浸っていたいから。


お題『終わりにしよう』

なんだかお題とずれてしまいましたかね。終わりにしよう、ですか。貴方はなにを終わらせたいですか?頑張ってること?世界?それとも人生?
人生長いって言いますけれど、環境が環境じゃあ短くなっちゃいますよね。
もう、夜ですね。今日も一日が終わります。貴方は今日に満足できましたか?

7/15/2023, 1:06:01 PM