織川ゑトウ

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6/11/2023, 12:24:32 PM

『死生観ストリート(しせいかんすとりーと)』

街行く人々を眺め、今日も煙草で一服する。
「ふぅ……」
廃れた街だ。煙草に酒の匂い、女と甘ったるい男の声。
街中ゴミだらけで、業者も来ねぇ。
怒号から喘ぎまで、様々な声が聞こえてくる。

「ちょっと、どこ行くのよ!!」
「うっせぇ。ついてくんな!!」

殴り合う、女と男。
ここじゃ珍しくは無い。
喧嘩なんて数秒に一回。犯罪なんか、日常茶飯事。
治安は悪いが、色んな人が見れて面白い。
たまに親子も通ったりする。

「パパー今日ね、テストで百点とったの!」
「それは偉いなぁ!今日の夜はごちそうだな!」

こういう奴も通ると、本当に世界の狭さを感じる。
人間なんてすぐ死ぬ生き物だが、醜い部分も美しい部分も含めてここには生きてる。

今が楽しいければいいって奴と、将来の方が大事だって言う奴と。
どちらも間違えてはいないが、お互いの生き方を否定している。

親の為に生かされてる奴、行く場もなくさ迷う奴、途方に暮れて眠る奴。
楽しく生きて頑張ってる奴、帰る場所があって笑顔する奴、明るい未来が待ってる奴。

世界とは本当に狭いもんだ。
こんなにも違いすぎる奴らを混ぜて何がしたいんだか。

人には人の幸せが合って、それを邪魔しちゃいけねぇ。
でも、危害が加わった場合にゃ仕方がねぇ。

いわば、正義と正義のぶつかり合い。
善も悪も、混ざり合いすぎて判断がつかねぇ。
もはや同じなんだろう。
自分から見てそれが善なら''善''
自分から見てそれが悪なら''悪''

それならば、こうやって勝手に見定める俺も誰かにとっての悪なのか?


お題『街』

最近脳死で書きすぎていい作品があまり出来ませんね。早くスランプ抜け出したいです。
そういえば、全国的にそろそろ梅雨入りでしょうか。体調にはお気をつけ下さい。


6/10/2023, 1:39:08 PM

『やりたかったこと』※リアル絡ませてます。

やりたいこと、あっただろうか。

小さい頃は友達と遊ぶのが好きだった。
学校が終わってすぐ近場の公園に遊びに行ってた。
門限ギリギリまで鬼ごっこしてたなぁ。
もう少し成長するとゲームを貰った。
遊びすぎて怒られたっけな。
またもう少し成長すると、将来の夢を聞かれた。

五才ぐらいの頃は、スケート選手になりたかった。
スケートをするのが好きで、習おうとしたけれど反対された。
九才ぐらいの頃は、ミシュラン料理人になりたかった。
日曜日のご飯を作らせてくれ。と、頼んだっけな。
十二歳ぐらいの頃も料理人になりたかったと思う。

十二歳ちょいすぎぐらいだったろうか。絵に出会ったのは。
最初は自分が嫌いなやつが絵を描くのが好きだったから、
見返すってゆうか、超えてやりたくて描いてた。

また、少し成長して。そいつと疎遠になって、普通に絵を描くのが好きになった。
絵を描くのは楽しくて、楽しくて、楽しくて、辛かった。
自分より下の子が上手いと萎えるし、友達の絵とも比べてしまう。
実は、昔からちまちま絵を描くのが好きになった時期が何度かあったけど、
つまんなくなって飽きてすぐやめていた。
絵を描いてるとつくづく思う…自分は絵を描いてなにをしたいんだろう。

例えば、嫌いなあいつは美大に入りたいって理由で絵を描いてた。
例えば、自分より下の子はただ好きって理由で絵を描いてた。
例えば、友達はイラストレーターになりたいって理由で絵を描いてた。

自分も、絵が好きって理由で絵を描いてると思ってた。

分からなくなった。絵を描いてる理由が、自分のやりたいことが。
上手くなればなるほど、絵の汚い部分を知っていく。
好きって理由だけで悩みにもぶつからずに描いている子。
自分より下手なのに、何故か人気がでる子。
ただ、楽しくて描いてる昔の自分みたいな子。
嫉妬してしまう。才能に、努力量に、与えられた使命に。

Twitterで見た、あの天才画家にも嫉妬してしまう。
好きって理由だけで、ずっとそこまでやれてて、絵に対しての悩みなんてなくって、独特の感性を誉められて、認めてもらえて、ただそれだけで生きていけて、自分のやりたいことをただやっていれば、学校にも行かなくてよくて、最初から未来は決まってて、明るい人生を歩んで、幸せな家庭をもって、なんでそんなに差があるんだよ。
努力もしなくていい、ずっと好きだけで生きていける。ずるいよ。
才能を持たずに生まれた人は、必ず努力しなければならない。
どんなに辛いことでも。

絵を好きか、分かんなくなった。

もう、随分絵を描いていない。勉強も、親にやれと言われるたびに腹が立つ。

やりたいことが、ないわけじゃない。
やりたいことを、忘れてしまったんだよ。


お題『やりたいこと』

6/9/2023, 1:08:50 PM

『不穏讃歌(ふおんさんか)』

パッとつく灯り、僕はそれを見て吐き気がしたんだ。

眠れない夜に毎日頼る青白い安定剤。
温もりを感じないこの毛布にまたうずくまる。
音がして、声が聞こえて、
また、また、また、
動けなくなる。

ただ、生きていたいとか早く死にたいとか。
そういうわけじゃないんだよ。そろそろ分かってよ。

薄暗くなる箱の中、ただ一つ思う。

「僕は誰だ」

皆みたいに努力もしてなくて、したところで分かってもらえなくて。
あの子みたいになりたくて。でも、なれなくて。

「あの子は強いわ」
「あの子は賢いな」
「あの子は偉いね」

じゃあ僕はなんなの。

増え続ける、僕らの目に見えぬ薄汚れた殺虫剤。
ふりかけられて、家に逃げても逃げ場がないよ。

なんでこうなったのとよく言われます。
なんでこうしたのと僕は聞き返します。

ただ、普通に愛されたくて。
ただ、普通に勉強もして。
ただ、普通に好きなことやって。

自由に生きたかったんです。

自由とはそんなにダメなことなの?
聞いても、知らんぷりして。

ただ、明日の光が恋しいです。

何もなくても生きてていいだろ。
あんたらの為に生きてるわけじゃねぇんだよ。
不穏な人生だっていいじゃねぇか。
あんたらにとっちゃ邪魔物でもな、こっちにとっちゃ神より上の存在なんだわ。
自分らは。生きてるだけで偉いじゃねぇ。生きてるだけで凄いじゃねぇ。
生きてることを褒めんじゃねぇ。そんなに必死に生きるくらいだったら、
自分は死ぬわ。死んだつもりで毎日過ごしてんだよ。


お題『朝日の温もり』
※青白い安定剤=スマホ
※箱=部屋
※殺虫剤=陰口


6/8/2023, 12:38:41 PM

『回岐路(かいきろ)』

人生の岐路とはいったいなんだ。

あの時した感激か
あの時した後悔か
あの時した初恋か

それとも生まれた時だろうか。

人生において重要な別れ道等と言うが、
人生なんて選択ばっかりだ。

女に生まれるか、男に生まれるか。
外で遊ぶか、内で遊ぶか。
好きだと言うか、言わないか。
挑戦するか、しないか。

生きてみるか、死んでみるか。

人生楽しんだもんがちなのは、
きっと人間が岐路という場面に立ち会ってばかりだからだろう。

毎日毎日が岐路
何キロメートルもの路地を走り続け
何回も何回も選び続ける

人間とは強いものだ。
こんなにも色んな選択をし続けても、ずっと走り続けるのだ。

でも、たまに疲れてしまう人間がいる。
もう選ぶのが嫌で、どんどんスピードが落ちていく。
そして最後には……

嗚呼、今これを書いていることも人生の岐路なのだろうか。


お題『岐路』
※岐路=道が別れるところ、分かれ道。人生において重大な場面。

間違えて一回変なもので投稿してしまいました。申し訳ありません。


6/7/2023, 1:06:39 PM

『愛終(あいしゅう)』

何を思ったのだろうか。
僕は君を閉じ込めて、
君は僕を置いてった。

あんなに好きだと言っていたのに。
僕が何を言っても響かず、君の目からは哀惜が感じられた。
窓から入る光は黒く、淀んでいた。

昔、夏祭りの時だったかな。
僕が君に告白をしたら泣きながら
「好きだよ。でも、居なくならないでね」って言ってくれたよね。
あの後食べたりんご飴は美味しかったよね。
それ以外にも、沢山、たっくさん、覚えてるんだ。
君の後ろ姿をいつも追いかけていたよ。

嗚呼、なんで、なんで、こうなってしまったの。
貴方の寝床に花を手向ける。
居なくならないでね。って言ったじゃない。
なんで、貴方も居なくなるのよ。
暗い部屋、何も見えない。あるのは貴方とのツーショットだけ。
私が自殺したら、貴方も一緒に死んじゃって。
ふざけないでよ。
死んだ後に神様から言われた。
「君は未練があるから、そこに残っててね」って
私一人だけ、貴方と住んでた部屋でずっと。寂しいよ。
私はまだ貴方に囚われ続けている。
一緒に行くなら天国だね。って言ったのに……
ごめん。ごめんね。

大丈夫だよ、心配しないで。
それにあれは事故だったんだから、仕方ない。
それに、君が死んだ理由ももうこの世界に二人だけだったからでしょう?
辛かったんだよね。家族が死んで。
こんなこと言うものじゃないけれど、
世界で二人だけだったって知ったとき、僕は過去最高に喜んだよ。
でも、君は濁った目で僕を見つめていたね。
君のその目が恋しくて、もう一度あの頃に戻りたいと思ってしまう。

まぁ、もう何回も繰り返してるんだけどね。
さぁ、今度は君をどんな風に愛そうかな。


お題『世界の終わりに君と』
※哀惜(あいせき)=人の死など、帰らないものを悲しみ惜しむこと。



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