ストック1

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6/1/2025, 11:11:58 AM

雨が止みそうだ
しかし、雨上がりにはまだ早い
私は認めない
同じ罪を背負いながら、お前だけ幸福を掴むというのか
私の人生はいまだ、大雨が降り注いでいるというのに
私だって、自分の人生の雨上がりを見たいんだ
なのに止む気配はない
こんな不公平があってたまるか
なぜ私は罪に蝕まれているのに、お前の罪はまるで洗い流されたかのような扱いを受けるんだ
おかしいだろう
二人で一緒に手を染めたのに、明暗が別れるなんてことがあっていいのか
……わかっている
わかっているんだ
お前の雨上がりは、自分の罪と向き合って、努力をして、その結果手に入れた幸福だ
お前はマイナスからゼロに戻るためにたくさん行動したんだ
それでも、私はお前が恨めしい
私も、罪を犯す前から何度も何度も努力をしてきた
なのに、誰も私の努力を認めない
すぐそばにいる、他の優秀な誰かに越され、私の存在は、努力は無視される
今だってそうだ
私も何もしなかったわけじゃない
罪を償って、愚かな自分を過去のものにしようと努力した
だというのに、お前が輝いているから、私が何をしても認められることはない
私を、罪を犯したくせに怠けている奴だと、そういう目で周りは見てくる
お前が諸悪の根源ではないのは、その通りだ
お前は私とともに同じ罪を犯したが、逆に言えばそれだけ
立場は私と同じだ
だが、私が今の私になったのは、自分が100%悪いというのか?
周りが勝手に私を陰に追いやっておきながら、私の何も見ていないのに、結果だけを見て怠惰だとか、努力が足りないとか、好き勝手言って、それでもその中で真っ当にコツコツ頑張れと?
土砂降りの雨の中、いつ雨上がりがくるかもわからないのに、苦しみ続けながら成長しろ、とでも言うつもりか?
誰も認めてくれないのに?



君の雨は上がらない
僕の力では、どうすることもできない
それでも、僕は君に雨上がりを見せたい
共に同じ罪を犯した相手なのだから、僕だけが幸せになっていいはずがないんだ
もし僕のせいで、君の頑張りが認めてもらえないのなら、なおさら
僕は君のこれまでの努力を知っている
誰よりも頑張っていた
なのに、いつも君より強い誰かがすぐそばにいて、誰も君を称賛してくれない
君は僕と同じだった
だから、僕は君と罪を犯した
僕を、君を、虐げた者たちに、自分たちの存在を示すために
それは完全に間違った方法だったけれど
結局、僕は君を苦しめる側に回ってしまった
今度は、僕がすぐそばの強い誰かになっていたんだ
そんな僕が君のためになにか助力したところで、それは僕の功績になるだろう
君の苦しみを取り除く方法はひとつ
これ以上、君のそばで何かをしないこと
僕は、君のそばから消えることにする
僕の存在は君にとって邪魔でしかないだろう
僕がいるべきではない
さようなら
君の雨上がりを心から願う
そして、もう君のそばに、君の努力を霞ませる存在が現れないことを望む
いつか、君のことを認めてくれる存在が現れてほしい
そうすれば、きっと君の心は救われるはずだから
僕がすべきだったことは、君と罪を犯すことではなく、君と支え合って、お互いを思いやりながら頑張ることだった
けど、いまさら後悔してももう手遅れだ
もっと早く、この答えにたどり着きたかった

5/31/2025, 10:48:51 AM

僕の生活は負け続きだ

ババ抜きで完全敗北
腕相撲も全戦全敗
ゲームの対戦も全く勝てる気配がない
学校行事でやりたい仕事は落選
劇も、立候補した端役すら落選し、別の端役へ
徒競走も圧倒的ビリでゴール
ドッヂボールも最初に内野を離脱

でも、勝ち負けなんてどうでもいいんだ
僕は充実した日々を送っている
僕の心は晴れ渡っていて、深い悩みなんかとは無縁だ

なぜ僕がこんなに余裕でいられるかって?
それは簡単なこと
楽しく勉強を頑張っているからさ!
成績が上がっていく実感もある!
他のことがダメだとしても、ひとつでも得意があれば、人生明るい!
ただ、闇雲に勉強に打ち込んでも、どこかで挫けてしまうだろう
でも、僕には「家中スタディ」がある!
アプリに送られてくる課題を解いて提出すると、担当の先生が採点やアドバイスをしてくれたり、褒めてくれたりする!
そして、楽しみながら様々な知識を得ることができるゲームがあって、飽きずにいつまでも楽しく勉強ができるんだ!
僕はこれまで何もうまくいかずに、暗い人生を送ってきた
でも、「家中スタディ」に入会してから学校の成績はよくなって、授業でも率先して手を上げ、答えられるようになったんだ!
大事なのは他人に勝つことじゃない
過去の自分に負けないこと!

こうして、僕の人生は明るく輝き始めた!
そしてその後、頑張り続けた僕は他のことにも真剣に打ち込めるようになり、ババ抜きも腕相撲も、ゲームだって強くなれて、学校行事も大成功に導けた!
体育だって今では得意分野さ!
「家中スタディ」のおかげで色々なことが上手くいくようになったんだ!
「家中スタディ」をやって本当によかった
さあ、君も「家中スタディ」で前とは一味違う自分になろう!

5/30/2025, 11:05:14 AM

僕が書いていた物語
それが完結した
これ以上無いくらい、完璧な結末だったと思えるものだ
評判もかなりいい
もうこの物語で書くべきことはなにも無い
この世界で語られる話は、これで終わり
続きは書きようがない
そう考えていた
読者の人たちもそう思っているはずだ
しかし、ある日ふと頭をよぎったことがある
結末とはいうものの、主人公が死んでしまったわけでも、世界が滅亡したわけでもない
当然、現実だったとしたらこの先も主人公の人生は続いていくわけだ
その先の人生を見ることができない
それはなんだか、もったいない気がする
続きを書こうか?
いや、完璧な形で終わったのに、この先を書いては蛇足なのではないか
読む人たちも、絶対に蛇足だと評価するだろう
僕は無理に続きを書いて、評価を落とした作品をいくつか知っている
けど、僕はすでに先を見たくなっている
書かずにはいられないくらいに
けど、僕は中途半端なものや、今までの物語を台無しにするような話は書きたくないし、書くわけにはいかない
書くのであれば、これまでの全てを全身全霊で解き放つ覚悟がいる
だから、僕はすぐには書かない
すぐにでも取り掛かりたい気持ちを抑えて、見識を広げ、様々な人と意見交換をし、自分を成長させてから書き始めよう
まだ続く物語を、駄作と呼ばれないように、素晴らしい物語にするために
自信を持って発表できる物語を、きっと書いてみせる

5/29/2025, 11:45:07 AM

俺は渡り鳥
世界を旅して回っている
様々な国々の様々な街を訪れ、新しい景色に感動する日々
その度に知らない自分に出会ったかのような気持ちになるんだ
旅で得るものはとても多い
俺はいつも、旅の中で自分が成長しているのを感じている
この旅で俺はどんな風に人として成長できるだろう?
現地の人々に、景色に、空気に、何を感じるだろう?
そんなことを楽しみにしながら向かい、着けば俺は、その場所の一部となって、心が旅先に溶けていく
旅は本当に刺激的で、俺の人生になくてはならないものだ
けど、たまにはふるさとでゆっくりと、長い間くつろいでいたい時もある
俺は久しぶりに、長く自宅で休むことにした
さて、自宅にはいつも短い間しかいないから、長くいると聞いて家族はどんな反応をするかな
喜んでくれるかな?

数週間ぶりに帰ると、豪邸がだだっ広い更地になっていた
あれ?
どういうこと?
とりあえず父に電話をかける

「もしもし、家、どうしたの?」

「お前との絶縁の証として土地を売った
俺と母さんと姉、お婿さん、弟は新しい家で暮らしている」

「えー?なんで?」

「おい、この状況でなぜ声が半笑いなんだ
まあいい
お前が俺たちの金で職にもつかずプラプラ海外旅行をし続けるからだ
いつかちゃんとすると思っていたが、もう我慢の限界だ
俺の弟がもうじきそちらに来るはずだ
あいつの自宅にしばらく住ませてもらえ
……本当はお前を押し付けるなんて迷惑は、かけたくないがな
お前の口座には最低限の金は入れた
その資金で食いつなぎつつ就職しろ
そして部屋でも借りて、とっとと一人暮らしでも始めろ
二度と顔を見せるな
以上」

切られてしまった
ま、いいか
渡り鳥生活も楽しんだし
そろそろ仕事してもいいよな
充分稼いで、飽きたり嫌になったら、また渡り鳥になればいいし
それにしても、二度と顔を見せるなだなんて、よっぽど頭にきたんだなぁ
けど、お金用意してくれてるくらいだから、本気で絶縁する気はないでしょ
なんとか許してもらって、お金が貯まったら旅行に招待しよう
きっと喜ぶぞ、アッハッハッ!

5/28/2025, 11:32:33 AM

さらさらと流れゆく時の砂
せき止めようとしても、砂は私の手をすり抜けて、どこまでも流れていってしまう
これほど時が止まってほしいと願ったことが、今まであっただろうか?
君に会うためにここへ来た
話したいことがたくさんあったから
もう一度、君の笑顔が見たかったから
二時間だけ死者と過ごすことのできる部屋
そこで君は、変わらない笑顔で私を迎えてくれた
それだけでとても嬉しい
だけど、できないとわかっていても、どうしても大切な君といつまでも一緒にいたいと願ってしまう
そんな本音を言ったら、君を困らせてしまうだろうし、君だって同じ気持ちだろうから、私がそれを話すことはない
君といる時間は、やっぱり楽しいな
ずっとこのままがいいと願わずにはいられない
それでも、さらさらと流れる砂を止めるすべはなく、別れの時間は来てしまう
大切な私の娘
また会えて嬉しかったよ
君の成長していく姿を見られないのが残念だけど、仕方のないことだ
君の幸せを願っている
君にはいつまでも笑っていてほしいんだ
だから、泣かないで
私がいなくても、きっと、私以外の大切な人たちが君を笑顔にしてくれる
君の前から突然いなくなってしまって、本当にごめん
そして、私の娘として生まれて、元気に生きていてくれて、ありがとう
私は君のおかげで幸せだったよ
さあ、そろそろ私は私の逝くべき場所へ向かわなければ
さようなら
いつまでも元気でね

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