俺は渡り鳥
世界を旅して回っている
様々な国々の様々な街を訪れ、新しい景色に感動する日々
その度に知らない自分に出会ったかのような気持ちになるんだ
旅で得るものはとても多い
俺はいつも、旅の中で自分が成長しているのを感じている
この旅で俺はどんな風に人として成長できるだろう?
現地の人々に、景色に、空気に、何を感じるだろう?
そんなことを楽しみにしながら向かい、着けば俺は、その場所の一部となって、心が旅先に溶けていく
旅は本当に刺激的で、俺の人生になくてはならないものだ
けど、たまにはふるさとでゆっくりと、長い間くつろいでいたい時もある
俺は久しぶりに、長く自宅で休むことにした
さて、自宅にはいつも短い間しかいないから、長くいると聞いて家族はどんな反応をするかな
喜んでくれるかな?
数週間ぶりに帰ると、豪邸がだだっ広い更地になっていた
あれ?
どういうこと?
とりあえず父に電話をかける
「もしもし、家、どうしたの?」
「お前との絶縁の証として土地を売った
俺と母さんと姉、お婿さん、弟は新しい家で暮らしている」
「えー?なんで?」
「おい、この状況でなぜ声が半笑いなんだ
まあいい
お前が俺たちの金で職にもつかずプラプラ海外旅行をし続けるからだ
いつかちゃんとすると思っていたが、もう我慢の限界だ
俺の弟がもうじきそちらに来るはずだ
あいつの自宅にしばらく住ませてもらえ
……本当はお前を押し付けるなんて迷惑は、かけたくないがな
お前の口座には最低限の金は入れた
その資金で食いつなぎつつ就職しろ
そして部屋でも借りて、とっとと一人暮らしでも始めろ
二度と顔を見せるな
以上」
切られてしまった
ま、いいか
渡り鳥生活も楽しんだし
そろそろ仕事してもいいよな
充分稼いで、飽きたり嫌になったら、また渡り鳥になればいいし
それにしても、二度と顔を見せるなだなんて、よっぽど頭にきたんだなぁ
けど、お金用意してくれてるくらいだから、本気で絶縁する気はないでしょ
なんとか許してもらって、お金が貯まったら旅行に招待しよう
きっと喜ぶぞ、アッハッハッ!
5/29/2025, 11:45:07 AM