ー永遠にー
あの人が、私の隣で微笑んでいる。
そんな夢を見た。
ぼんやりした頭がはっきりとし始め、現実が胸に押し寄せて私は泣いた。
そっか…。
もう会うことができないんだった。
悲しみを感じつつも、私はベッドから起き上がる。
この世界には永遠がないように思うけれど、
心の中には永遠が存在すると思う。
そう考えることが、私の救いだ。
私はカーテンをそっと開け、青空を見つめながら思った。
だから、そう。永遠に。
私は死ぬまで君を忘れずに生きていくんだよ。
ーすれちがいー
後で書きます
ー忘れたくても忘れられないー
私は何もできず、ただ呆然と見ることしか出来なかった。
病室のベッドで温もりを無くしていくその様は、まるで一輪の花が枯れていくようだった。
手を握って名前を呼んでも、もう戻らない。
最期の時、一筋の涙が流れた。
それは、私への最期の返事だったんだと思う。
いまでも、その涙が忘れられない。
そのやるせない思いが、今も私の胸を締め付ける。
それでも、最期に立ち会えて良かったと思う。
それが、私のたった一つの救いだ。
ーやわらかな光ー
突然の訃報に、唖然とした。
学生時代、大好きだったバンドのベーシストが亡くなったらしい。
SNSでその訃報に驚く人の声をぼんやりと眺めていた。
そのバンドといえば、私の青春そのものだった。
そのバンドの音楽はまるで、私の全ての傷を歌い、癒してくれるようだった。
そして、私の謳歌する青春にいつも寄り添ってくれた。
今でも、一筋の光のように、私の心を照らしてくれる。
それはいつでも柔らかく、温かい。
今も私の心を照らしてくれる存在だ。
彼はこの世を去っても、多くの人にとってのやわらかな光となり照らし続けるのだろう。
押入れに入れた段ボールの中からCDを取り出し、プレイヤーで私が一番好きだった音楽を再生する。
いつまでも、思い出はあの頃のままだ。
私は涙を堪えながら、心から彼の冥福を祈った。
ー鋭い眼差しー
それは、鋭い眼差しで私を捕える。
寝ても覚めても、それはいつも私の近くから離れない。
『孤独だ。』
不意に、目が覚める。
時計の針は4時を指している。
カーテンの隙間から、街灯の灯りが差し込んでいる。
心拍数が高くなる。
『なんで…、いつも君はこっちを見るの?』
まるで捨てられている猫が捕食しようとしているような、切なくも強い眼差しだ。
それは、私に少しずつ近づいてくる。
咄嗟に、その存在と私を一度に抱きしめてしまった。
そして、抱きしめた腕をゆっくりと緩める。
ふと、それは静かに佇み、私の側に留まって、こちらを見つめている。
「認めてほしくて、寂しくて、ずっと惨めだった。」と、それは静かに語る。
今にも崩れ落ちそうなその孤独は、私の心の中に優しく溶け込んでいく。
『今までごめんね。』
それは、穏やかな眼差しで私を見つめ返す。
『明日は、一緒に出かけようか。』
私はそう言い、瞳を閉じる。
きっと明日も明後日も、孤独と私は手を取りながら歩いてゆくんだろう。