落ちる、落ちる、落ちていく。
どこまでも、どこまでも。
落ちた先に、何があるかはわからないけど。
落ちていく、どこまでも。
そろそろ落ちるのも終わりかなと思ったら、
不意に身体が軽くなって。
ふわりと、落下速度が穏やかになった。
ふわり、ふわり、落ちていく。
そろそろ底かな? 見えてきた。
落ちた先で、待っていたのは君だった。
君の腕の中に、すっぽり収まる。
ずっと待ってたんだよ、と君は笑う。
ああそうだ。
君に会いたくて、僕はここに飛び込んだんだった。
記憶だけ、先に抜け落ちていたみたい。
待たせてごめんね、もう離れないから。
そう言って、君をぎゅっと抱きしめた。
未来は何色をしているのだろう。
空を見上げ、ぼんやりとそんなことを考える。
明るい色なのか、暗い色なのか。
その人の捉え方によっても違うのだろうけれど。
頭上で輝く太陽のように、
どこまでも続く空のように。
眩しくて、希望を感じられる色がいい。
そう思いながら、空の先へ手を伸ばした。
世界の終わりに君と、
終わりに抗うのも悪くはないと思った。
何より君が、それを諦めていなかったから。
だったら僕も、それに手を貸すだけ。
君と一緒なら、
どんな終わりを迎えても、きっと納得できるから。
僕は最後まで、君の隣にいるよ。
誰にも言えない秘密を、
君にだけ、
君になら、
教えてもいいと思った。
君に責任を負わせてしまうことになるけれど、
君ならきっと、
それを重荷には思わないだろうから。
ずるい真似をしていることはわかっている。
けれども、そうまでしてでも、
君を僕のもとに繋ぎ止めておきたいと思ったから。
それを知ったら、君は怒るかな。
それとも、変わらず僕を愛してくれるかな。
『終わりなき旅をしよう!』
にこやかにそう宣言し、彼女は旅立っていった。
本当にあちこちを旅しているようで、
旅先から近況を報告してくれたり、
たまに帰ってきてはお土産をくれたり。
そんな彼女が眩しくて、少しだけ羨ましくて。
今度の旅は一緒に連れていってくれる?と、
思わず尋ねてしまった。
彼女は満面の笑みでこれを快諾。
いたずらっぽく笑って、
『これは二人だけの秘密だよ』と、
きっと彼女しか知らないであろう、
彼女のお気に入りの場所へ連れていってくれた。
一緒に旅をしたこと、
彼女と秘密を共有したこと。
それが嬉しくてたまらなかった。
そうして、彼女は僕に尋ねる。
あの日と同じ、にこやかな顔で、
『君も一緒に、終わりなき旅に出るかい?』
僕も彼女に笑顔を返す。
そうして、迷いなく彼女の手を取った。