彼岸花

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2/24/2024, 10:25:30 AM

小さな命

部屋でテレビを見ていると
飼い猫がやってきた

無駄に寄り道せずに
まっすぐ私の膝に乗っかってきた
そしてすぐさま目を瞑る

5分と経たないうちに
寝息をかき始めた

番組がちょうどCMを挟んだところだったため
私は猫に目を向けた

小さな体の割には毛が多く
子猫特有のくりくりとした目を持っていた
口からはしまい忘れた舌がちょこんと出ている

それにほんのりと暖かい

なんとも可愛らしい生命体だ

私は今のところ独身で
将来も子を持つ気はない
だから命を預かることなんてないと思ってた

だけど、
それはヒトだけじゃない
動物もまた命なのだ

今も私の膝の上で
ひとつの命が輝いている

そのことを実感させるかのように
子猫は寝息をかいていた

2/23/2024, 2:55:04 PM

Love you

ある日、女友達からLINEがきた。

『友達』
あなたと私が
いつも会えるのはきっと運命なんだなって
しんじてるんだ!だからさ、これからは
てを繋いで一緒に歩いてみない?それから、わたしが
るすにしてる時は会いたいってメールしてもいいからね

【俺】
???
えっと、大丈夫そ…?

『友達』
だいじょうぶだよ
いつもみたいに元気だし!むしろ昨日より
すずしくて
きもちいい日だと思うよ

【俺】
…ついに漢字変換もできなくなったのかΣ(゚д゚lll)

『友達』
ついにって何よ。
きっと
あなたよりは頭いいと思うけど
って、ちょっとあなたは鈍感すぎない?
てを繋ぎたいって言われたら普通照れるよ??

【俺】
うわっ 急に口悪くなったwww

『友達』
本気で気づかないの…?

【俺】
は?

『友達』
やっぱり鈍感だわ

【俺】
Why?

『友達』
縦読みして

【俺】
うん?

【俺】
!?

【俺】
へ!?
あいしてる だいすき つきあって
俺と!?!?

『友達』
他に誰がいるのよ…

『友達』
それで?
返事は?

【俺】
よーく読んでもよくわからない…俺ってやっぱり
ろくでなし
しくしく泣 こんなんだからいつも
くりぼっちなんだよなぁ…

『友達』
え…?

【俺】
縦読み

『友達』
!?

『友達』


『友達』
ありがとう!!

独特だけど、
これが彼女の愛情表現なのかな(〃ω〃)
へへ

布団がいつもよりあったかい感じがした。

2/3/2024, 10:27:28 AM

1000年先も

1000年先もずっと続くものはあるのだろうか?

人類,生態系,地球,天体,宇宙…

どれもこれも1000年たっても無くならないなんて
断言できない。

“1000年先も続く”

それが何なのか
神様だけが知っているのだ。

2/1/2024, 10:45:14 AM

ブランコ

人生は公園のブランコだ。

大空に飛び出そうと前に進むときもあれば、
飛んだ先が不安で後ずさりするときもある。

自分だけで動けないときには風や人の力を
借りればいいのだ。
そうすればまた動きだせる。

公園のブランコには様々な人が乗る。
小さな子供
悩みを抱えた青年
お酒に酔ったおじさん
それらの出会いひとつひとつが思い出となる。

公園のブランコは大体二つある。
ということは、自分とは違う人生もそこにあるという
ことなのだ。

もちろん、話しかけてくることも
ぶつかってくることもないだろう。

お互いに干渉しない。
ただそばにいる。それでいいのだ。

ブランコは1人じゃない。

1/30/2024, 11:42:31 AM

あなたに届けたい

夕日に染まる教室
俺の机の上には手紙があった。

“体育館裏に来て”

今の時代、こんなメッセージがあるのか?
むかしの少女マンガかと鼻で笑いながらも
内心、浮かれていた。

(なんだなんだ告白か…?笑)

ついボーっとしてしまった。
靴を履いて体育館裏に行く途中、
足をもつれさせて階段で転びかけた。

体育館ではバスケットボール部が練習をしており
シューズのキュッキュッという音が聞こえてきた。
もっとも、野球一筋の俺には聞き馴染みのない音だが。

そして体育館裏へとたどり着いた。

…ところでいったい誰がこれを書いたのだろうか?
手紙に書かれた字は達筆で
おそらく女子だろうと予想していた。

(どんな子かなぁ〜♪美人なやつがいいなー)

すると、髪をショートカットにした
小さな女子が俯いていた。

「ねぇ、これくれたの君ー?」

彼女は一瞬驚いた様子を見せたが、
すぐに顔を上げて俺を見てきた。
目が大きく、唇のぷっくりとした美貌だった。

(俺好みの女じゃん!)

有頂天になっていた俺はソレに気づかなかった。
前から投げられた“ソレ”に

バチッ

「うわ!何すんだよ!!」

投げられたのは紙屑だった。
中には 【ブス】
    【死ね】
    【消えろ】
と書かれていた。

「…は?」

驚いたのもつかのま、
今度は水を被せられた。

「ゔぎゃぁ!?い、いい加減にしろよお前!」

殴り掛かろうと近づいた途端、
彼女が誰か気づいた。

「もしかしてお前…沙織?」

「……はぁ、やっと気づいたの。バーカ」

俺は驚きのあまり体を硬直させた。
昔の姿とは大違いだったからだ。
かつての沙織は髪はボサボサの眼鏡ブスだった。

沙織は気にせず続けた。
「あの時はよくもいじめてくれたねぇ。
だから、そのお返しをしてあげる!」

たしかに俺はブスだった女を
手当たり次第にいじめていた。
紙を投げたり、プールに落としたり……

ハッとした。
先程沙織にやられたこととまるっきり同じなのだ。

そしてあの時最後に沙織にかけた言葉
それは…

突然視界が歪んだ。
そういえばさっきからおかしい。
ろくに言葉が出ないのだ。

そして睡魔が襲ってくる。

もしかして、睡眠薬でも盛られたんじゃ…
そう思った時にはもう遅かった。

俺の体は地面に叩きつけられ、
胸にはうっすらと赤いものがついている。

ぼんやりとした視界の中で沙織が何か言った。
聞き取れなかったが、口の動きでなんとなく分かった。

「さよなら」

これが、噂の走馬灯というやつなのだろうか
俺が昔沙織に言い放った言葉が脳裏に蘇る

『お前なんか生きてるだけで邪魔なんだよ!!』

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