どこまでも続く青い空
人と話そうとしても話せない。
顔を見ると声が出なくなる。
困っている人を助けたくて、足を動かすけど
結局 後ずさりにしかならなくて。
誰かに認めてほしくてソーシャルゲームをしてみるけど
実際5分でやめちゃって。
こんなにも意味がない人生を生きてるくらいなら
誰かにこの命を分けてあげたい。
私よりも楽しい人生をおくってくれるはずだから。
高校生になったら「青春」できるのかな
なんて思ってたのに。
そんなの遠い遠い幻だったんだ。
そんな幻想を思い浮かべてたら
不思議と現実逃避できる。
…もう少しだけ生きてみようかな。
始まりはいつも
古めかしい電柱の隅っこには、2つのタンポポが
生えていました。
…いえ、「二人」と言ったほうがいいのかもしれません
「おいおまえ!俺にションベンかけるんじゃねぇ!!!」
「まぁまぁ兄さん。犬に言ってもしょうがない
でしよう。」
「いいや!あいつは毎日毎日来るんだよ!
ほんとうんざりだぜ…。」
二人のタンポポは驚くことに自我を持っていました。
性別は…たぶん「花」でしょう。
「うぅ…おっさんってなんでこんなところで
吐くのかねぇ…」
「お酒にでも酔ってたんじゃないですか?」
「にしてもだよ!俺らのことも少しは
考えろってんだ!」
「…タンポポに自我があるなんて思う人は
なかなか いないんじゃないんですかね…?」
「…。」
「それに兄さん、昨日は
おっさんのゲロは俺らの貴重な栄養分だ!
なんて言ってませんでしたっけ?」
「……うるせぇ!」
こんな会話をしたり…
またある日は、
「兄さん、そろそろ春も来てお別れじゃないですか?」
「なんでそうなるんだよ。」
「ほら、僕たち綿毛になって飛んで…」
「バカヤロ!俺らは次の人生も一緒なんだよ!!」
「えぇ~…僕また兄さんと一緒なんですか」
「なんだよぉ。嫌なのかよぉ??」
「…圧がすごいです兄さん。」
こんな喧嘩(?)をしたりしていました。
そしてお互い綿毛になり、宙を舞い、
次の人生も一緒に過ごすことになったのです。
「これから一年よろしゅうなぁ!」
「なに言ってんですか…兄さん。
僕たちとっくに知り合いでしょう?」
その後も奇跡のように二人は同じ地にたどり着き、
一緒に生きていくのでした。
皆さんも道端で二人のタンポポを見つけたら
…写真でも撮ってあげてください。
きっと喜ぶでしょう。
―新しい人生の始まりはいつもあなたと―
すれ違い
小学生の頃は毎日のように一緒に遊んでいたのに。
中学生になった今は全く話さなくなってしまった。
たった数年の間で友達の縁が切れてしまったのは
なぜだろう?
小学校の最高コンビと言われていたこの二人。
喧嘩をしてもすぐ仲直り。
問題は二人で解決。
テストは一緒に赤点補習。
まさに『一心同体の相棒』
なのに、中学に入った途端に
深い絆は細い糸のようにプツンと絶たれてしまった。
二人が通う中学校には、〇〇小学校だった児童と
二人がいた△△小学校だった児童が
5:5の割合で入学した。
二人をAくんとBくんとする。
Aくんは中学校に入ったら気持ちを入れ替えて、
〇〇小学校だった同級生と仲良くしたいと考えていた。
一方Bくんは、〇〇小学校の同級生よりも今まで相棒のような関係だったAくんと引き続き仲良くしたいと考えていた。
Aくんは新しい友達を作りたくて色んな人と
話していた。
BくんはAくんが話しかけてこなくなったのが
きっかけで話し相手がいなくなり一人になって
しまった。
そして今に至る。
このように人間関係はお互いの考え方の違いなどにより
いとも簡単に崩壊してしまう
儚いものなのだ。
充実した人間関係とは社会で生きていくなかで
最も大切であり、最も難しいものであると
私は思う。
秋晴れ
空を見上げると、雲一つない晴天で「清々しい」という言葉がまさにお似合いだった。
でも私の心に立ち込める暗雲は
一向に晴れてくれなかった。
原因は自分でも分かってる。
声優のオーディションを受けようか悩んでいるのだ。
ずっと受けてみたかった。でも、受からなかったら…
それが不安で下ばかり向いて…
上を向こうとしても、やっぱり出来なくて。
ぼんやりと足元を眺めていると、
もみじの葉が落ちてきた。
とても綺麗な赤色をしていた。
こうやって誰かに拾われるか
人混みの中で踏まれるか、どっちに転ぶかも
分からないのに…
それでもこうやって落ちて来れるんだ
……そっか。
やっぱり、やってみないと分からないよね。
まさか葉っぱに元気付けられるとは
思っていなかったけど。
でも下を向いてたからこそ気づけたんだと思う。
受かっても、受からなくても、
私の心にはなんの悔いも残らないよ。きっと。
―秋晴れみたいにね。
忘れたくても忘れられない
あなたを忘れたいのに、あなたを忘れられない。
あなたはもうここにはいないのに。
四六時中あなたの笑顔が、泣き顔が 思い浮かぶ。
…なんでだろうね。
今まで一度しかあなたの顔を見たことなんてないのに。
去年の冬
私は妊娠を中絶した。
愛する彼と「一緒に育てていこう」って約束したのに
彼はそれを守ってくれなかった。
でも私は、それでも産もうと決心していた。
だってこの世に産まれてきてくれた
私達の
……私の宝物だから。
ある日
歩き疲れて、公園で休んでいると
女性二人が隣のベンチにやってきた。
そして耳にしたこんな会話。
「同性でも子供が産めたらいいのにね。」
「そうだね。かわいいだろうなぁ…」
「うんうん! 私が親になったら親バカになっちゃうかもしれないな笑」
「私も。超過保護にして…それから好きなものは何でも
買ってあげたい!」
…そっか
この二人は婚約者なのか。
この二人に子どもが出来たら子供も二人も幸せだろうな
ふとそんなことも思った。
それから半年経った頃
私は出産した。かわいい女の子だった。
私の出産に立ち会ってくれたのは
看護師さんと
それから…あの二人組。
二人は横で私の手を握りながら
「うわぁーん!!」
「おめでとうございますー!!よく頑張りましたね!」
と一緒に泣いてくれた。
やっぱりこの二人は純粋で良い子達だ。
私はあの日
二人にこう言ったのだ。
「私の子どもをあなた達が育ててくださいませんか?」
本当はこんな気なんか微塵もなかったけど…
この子を女手一つで育てたって
貧乏な思いをさせて、この子自身は幸せに
なれないと思ったから。
苦渋の決断だったけど
二人なら信頼できる。
ー「…本当にありがとうございます。
こんなにかわいい子を…」
「あの…時々会いに行ってもいいかしら…?」
すると二人は迷わずに受け入れてくれた。
「もちろんです!!」
それから私はずっと一人暮らしだったけど
寂しくはなかった。
今はもう彼女らのところには行ってない。
もうあの子達には
あの子達なりの人生があるんだから。
私は邪魔したくない。
…でもね
やっぱりね
忘れたいのに忘れられない。