秋晴れ
空を見上げると、雲一つない晴天で「清々しい」という言葉がまさにお似合いだった。
でも私の心に立ち込める暗雲は
一向に晴れてくれなかった。
原因は自分でも分かってる。
声優のオーディションを受けようか悩んでいるのだ。
ずっと受けてみたかった。でも、受からなかったら…
それが不安で下ばかり向いて…
上を向こうとしても、やっぱり出来なくて。
ぼんやりと足元を眺めていると、
もみじの葉が落ちてきた。
とても綺麗な赤色をしていた。
こうやって誰かに拾われるか
人混みの中で踏まれるか、どっちに転ぶかも
分からないのに…
それでもこうやって落ちて来れるんだ
……そっか。
やっぱり、やってみないと分からないよね。
まさか葉っぱに元気付けられるとは
思っていなかったけど。
でも下を向いてたからこそ気づけたんだと思う。
受かっても、受からなくても、
私の心にはなんの悔いも残らないよ。きっと。
―秋晴れみたいにね。
10/18/2023, 1:40:57 PM