紗夢(シャム)

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2/17/2023, 4:48:18 PM

【お気に入り】
【創作】【宵(よい)と暁(あかとき)】

2/18 PM 1:30
「先週やっていたゲームとは違うわね」
「うん、積みゲー消化頑張ってるよー。
 宵ちゃんは、やってみてもらってた
 乙女ゲー、どんな感じ?」
「大会で優勝したわよ」
「……それは、結局バスケのゲームとして
 プレイしただけでキャラの攻略はしてない
 ってことかな……。まぁ、宵ちゃんが
 楽しかったなら、もうそれでいいけど」
「暁は、今度はどんな世界観のゲーム
 やってるの?」
「これはねぇ、守護聖っていう人たちの
 特殊な《力》を借りて、宇宙の女王様に
 なるのを目指すゲームだよ」
「宇宙。いきなり壮大ね」
「シミュレーション要素はあるけど、
 乙女ゲーだからねぇ。
 日々女王候補としてこなしていく行動は、
 そこまで壮大な感じゃないよ。
 育成したり、守護聖様とお話ししたり。
 ちなみにわたしは鋼の守護聖様が
 お気に入り。シナリオは今のところ
 風の守護聖様が1番面白いかな~」
「なんで様付けなの」
「んー…、お母さんが『守護聖様を様付け
 しないなんて……!』って嘆いてたから」
「あら、守護聖様なんて懐かしい話」
「あれ? 夕月(ゆづき)さんも知ってます?
 このゲーム」
「ワタシが知っているのは、暁ちゃんが
 今やっているゲームそのものじゃなくて、
 そのゲームの初代にあたるものね。
 旭(あさひ)にやるように言われたのは
 20年以上前になるかしら」
「そんなに前からあるゲームなの?」
「うん、そう。わたしは初代のは
 リメイク版をプレイしたよ」
「やってみて楽しかった? 母さん」
「それがねぇ、ゲーム内で女王試験を
 頑張るように、って説明されたから、
 ちゃんと言われた通り頑張って女王様に
 なったのに、『それだけが目的のゲーム
 じゃないから! 守護聖様とデートして、
 泉で告白したりされたりしてよ!』って
 旭に怒られちゃったのよね」
「……似た者親子だね~、宵ちゃん」

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 古結 旭(こゆい あさひ) → 暁の母
 星河 夕月(ほしかわ ゆづき) → 宵たちの母
 2人は高校生の時からの親友。

2/16/2023, 4:27:36 PM

【誰よりも】
【創作】【宵(よい)と暁(あかとき)】

2/14 PM 7:00

「暁、嬉しそうだったな。
 天明(てんめい)にも喜んでもらえた
 みたいだし、今日は良かったな、宵」
「……暁も真夜(よる)も
 槇(まき)くんが喜んでくれたからって、
 なんでアタシに良かったなって言うのよ」

 そんなのは決まっている。
 オレにとっても暁にとっても、
 宵が誰よりも大切だからだ。
 大切な人の幸せを願うのは、当然だろう。
 ……宵自身は、まだ自分の気持ちを
 自覚している段階ではないようだけれど。
 
「暁も言ってた通り、宵が大好きだからだよ」
「大好きと良かったながイコールで繋がる 
 意味が分からない……」
「今は分からなくてもいいよ。
 ただ、オレと暁はいつだって宵を想ってる。
 そういうこと」

2/15/2023, 4:27:28 PM

【10年後の私から届いた手紙】
【創作】【宵(よい)と暁(あかとき)】

2/14 PM 6:45

「天明(てんめい)くん、喜んでくれて
 良かったね、宵ちゃん」

 無事にバレンタインチョコならぬ
 バレンタインお煎餅を渡して。
 天明くんが、宵ちゃんの選んだ
 カレー味を「いいな」と言って
 笑ってくれたので、
 わたし的には今回のバレンタインは
 大満足な成果だった。
 もしも10年後のわたしから、
 今日のことについて手紙が届いたとしたら、

 『宵ちゃんをけしかけて、
  天明くんにバレンタインの贈り物
  したのはグッジョブだったよ!』

 ……と、褒め称えてくれてるかもしれない。

「じゃあ、2人ともまた明日ね。
 真夜(よる)くん、今日は遅くまで
 待っててくれてありがとう」

 2人の家の前に着いたので、
 お別れの挨拶をする。
 バイバイ、と手を振って
 歩きだそうとすると。

「暁。ちょっと待ちなさい」
「なになに? どうしたの宵ちゃん」

 呼び止められて振り返る。
 いったん家に入ったかと思ったら、
 宵ちゃんはまたすぐに外に戻って来た。

「ほら、これ」
「え……」

 目の前に可愛くラッピングされた
 トリュフチョコレートが差し出される。

「えーと。わたしに?」
「アタシも猫のチョコ貰ったしね」
「……もー、宵ちゃん! わたしに
 手作りのチョコくれてどうするの!
 こういうのは本命の人にするんだよー。
 でもありがとう、大好き!」

 きっと10年後のわたしからの手紙も、
 『今も宵ちゃんが大好き』という
 言葉で締めくくられている気がする。

2/14/2023, 4:31:50 PM

【バレンタイン】
【創作】【宵(よい)と暁(あかとき)】

2/14 PM 5:50

「――悪いっ、遅くなった」
「あ、お疲れ様ー、天明(てんめい)くん。
 予想してたから大丈夫だよ~」

 教室に着いて開口一番謝ると、
 古結(こゆい)がにこやかにそう答えた。
 2人のいる席に近づくと、宵からも
 静かな声で「お疲れ様」と労われる。

「ね? 言った通り告白ラッシュだった
 でしょ?」
「あー…、結果的にそんな感じだったな。
 俺は完全に想定外だった」
「なんで想定出来なかったのか不思議。
 だって、天明くんなら中学生の時も
 バレンタインデーは告白されまくりじゃ
 なかったの?」
「いや、中学の時は親の仕事の都合で
 日本にいなかった。
 海外だと、バレンタインは男性から
 女性へ感謝を表す日って感じだったしな」
「えっ、天明くん帰国子女だったんだ!
 そっか~、なるほどね~。
 だからモテ度の自覚がなかったんだね」

 うんうんと納得したように頷く古結に、
 宵が話しかける。

「暁。そろそろ……」
「あっ、そうだね。はい、天明くん。
 これはわたしたちからのバレンタイン。
 大量のチョコを貰うだろうなって
 思ったから、あえてお煎餅にしてみたよー」
「それは、正直助かるな。
 チョコばかり食べ続けてると、
 甘くないもの欲しくなりそうで」
「一口サイズのハート型お煎餅がいっぱい
 入ってるから、チョコの合間に
 食べやすいと思うよ!
 こっちがオーソドックスな醤油味で、
 こっちが宵ちゃんが選んだカレー味」
「ああ、いいな、カレー味。
 ありがとう、宵。大事に食べるよ」
「……っ、どう、いたしまして……」
「古結も。ありがとな」
「ふふふふ、どういたしましてー」

 俺にとって、今日は本当に
 青天の霹靂レベルの1日だった。
 けれど今、2人のお陰でようやく
 ほっとすることが出来たと思う。

2/13/2023, 4:35:05 PM

【待ってて】
【創作】【宵(よい)と暁(あかとき)】

2/14 PM 5:15

『真夜(よる)くん、ごめんね。
 もう少し待っててね。
 天明(てんめい)くん、まだ
 教室に来られないみたい』

 まぁ、そうだろうな、と思いつつ
 暁からのLINEに返信する。

『図書室から校庭見えるけど、
 天明、部活終わるの待ってた
 女子に囲まれてるよ』

 天明含め、何人かのサッカー部員が
 チョコの手渡し攻めにあっている。
 あれで気持ちが伝わるものなのかは
 かなり疑問だ。

『だから覚悟しておいた方がいいよって
 言ったのにねぇ。
 天明くんは自分のモテ度とバレンタインに
 懸ける女の子の意気込みを軽く見積もり
 過ぎだよ』

 朝の昇降口、休み時間の教室、
 昼休みの廊下、そして放課後の校庭。
 今日1日、何度となく天明がチョコを
 押し付けられる様を目撃した。
 見かける度、暁は「モテモテだ~」と
 何故か満足げで。
 宵は……どうなんだろう。
 心をザワつかせているようには
 見えなかったけれど。
 宵の心が波立てば、オレにはどうしたって
 分かってしまう。
 だから、冷静ではあったんだと思う。
 告白ラッシュは、宵にとっても想定内でしか
 なかったのかもしれない。

『まぁ、とにかく、オレはここで
 本を読んでるから、時間は気にしなくて
 構わないよ。天明を待っててやりなよ』
『ありがとー』

 多少緊張しているだろうか。
 でも、宵。大丈夫だよ。
 暁がすぐ側にいる。

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