【待ってて】
【創作】【宵(よい)と暁(あかとき)】
2/14 PM 5:15
『真夜(よる)くん、ごめんね。
もう少し待っててね。
天明(てんめい)くん、まだ
教室に来られないみたい』
まぁ、そうだろうな、と思いつつ
暁からのLINEに返信する。
『図書室から校庭見えるけど、
天明、部活終わるの待ってた
女子に囲まれてるよ』
天明含め、何人かのサッカー部員が
チョコの手渡し攻めにあっている。
あれで気持ちが伝わるものなのかは
かなり疑問だ。
『だから覚悟しておいた方がいいよって
言ったのにねぇ。
天明くんは自分のモテ度とバレンタインに
懸ける女の子の意気込みを軽く見積もり
過ぎだよ』
朝の昇降口、休み時間の教室、
昼休みの廊下、そして放課後の校庭。
今日1日、何度となく天明がチョコを
押し付けられる様を目撃した。
見かける度、暁は「モテモテだ~」と
何故か満足げで。
宵は……どうなんだろう。
心をザワつかせているようには
見えなかったけれど。
宵の心が波立てば、オレにはどうしたって
分かってしまう。
だから、冷静ではあったんだと思う。
告白ラッシュは、宵にとっても想定内でしか
なかったのかもしれない。
『まぁ、とにかく、オレはここで
本を読んでるから、時間は気にしなくて
構わないよ。天明を待っててやりなよ』
『ありがとー』
多少緊張しているだろうか。
でも、宵。大丈夫だよ。
暁がすぐ側にいる。
2/13/2023, 4:35:05 PM