Shina#47

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10/20/2025, 9:11:57 AM

お題 : 君が繋ぐ歌


「この曲はね、私の大好きな人が繋いでくれたんだ」


今日も大歓声が響くステージで、確かにそう言っていた曲を君は歌っていた。
喉を使った、迫力のある歌い方。彼女の魅力だ。喉を全力で使って、枯れることを知らないような歌い方。それに魅了されたファンは多いだろう。

でも、そんな声は_____彼女には負担でしかない。

彼女は、喉が弱いのだ。ずっと、ステージに立っていなかったら喉が死ぬほど痛いと静かに苦しんでいる。
それでも彼女は、あの歌い方を絶対にやめない。

その理由を、私は、私だけは……たしかに知っていた。
あの日、喉を痛めて入院していた病院の病室で、静かに語った言葉は、今でも忘れたことは無い。

「次のライブは、絶対これを歌う。もう最後かもしれないからね」
「あとさ、この曲を貰った大好きな人から言われたんだ」
「この曲は、繋げていく。『大好きな人にこれを教えて、ずっと忘れないようにするんだ』って、私も言われたんだ」


「だから今度は、君にこの曲をあげる。歌上手いんだし、いいでしょ?歌手、絶対辞めないでね」


あの時の衝撃を、忘れられるはずが無い。

「________!!」

力強く響く歌声に、負けないほどの歓声。私は、この景色を忘れることもきっと無いのだろう。

8/4/2025, 1:19:57 PM



「 」


そう呟いた。
確かに、そう言ったはずなのだけれど。
耳鳴りが邪魔で、自分自身の耳にははっきりと聞こえなかった。

「いつの間に、もうこんな暑くなってる」

日差しが直接当たる。汗が流れる。
そして、風鈴の音が鳴る。まだ微かに風が吹く季節だ。

「蝉もうるさいし、トンボも無邪気に飛んでる」

虫は……動物は、植物というのは、どれもが無邪気なもんだ。私とは、静かに泣く君とは違う。

静かで無邪気な心を持っている。


「だから、だからさ」


影で泣いている、君に向き直す。
もう一度、さっき私には聞こえなかった言葉を。


「ただいま、夏。」


微かに強くなった日差しが。
微かに鳴った風鈴が。
微かに強くなった虫の声が。

あの時止まったままの「夏」を、思い出させてくれた。



お題 : ただいま、夏。

8/4/2025, 1:01:37 AM

お題 : ぬるい炭酸と無口な君


「ねぇ、それ。なんで置いてあるの?もしかして僕のために!?」


何も答えてくれない。テンプレ通りだ。
でも確かにそれは、絶対に僕のために置いてあるもの。何故ならというと、君は炭酸が飲めないから。


(書き途中)

7/26/2025, 4:37:21 PM

お題 : 涙の跡


涙の跡を知らないフリした。


…………私は、そんなのしたことない。

どれだけ逃げたくあっても、それは変わることのない事実だ。
人前で泣いたなら誰かが覚えているし、
自分一人で泣いた涙に籠っている気持ちは嫌でも覚えている。

どれだけ「死んでくれ」と願って泣いた夜があったか。
あの夜の気持ちを忘れたわけではない。

今でももちろん、あいつの事は殺したいほど憎んでいる。なんならいっそ、今この瞬間に消えて欲しい。

だけどどれだけ泣いた涙の跡を追って、こんな気持ちに行き着く。それは後悔の気持ち。


あんなやつの為に泣いてるだけ時間の無駄。
嫌でもアイツは生きてるんだ。私にとってアイツなんてただのモブ。ただの脇役!!

私は誰がなんと言おうとこの人生の主人公だ。ただ人の否定と過度な虐めしか出来ない可哀想な脇役共(笑)


あの涙は無駄だった。でも、無駄じゃない。

そう気付かせてくれた人がいる。
そんな運命的な出会いがあった。
それを結びつけてくれたのは悔しいけどアイツらだ。

あんなやつ、いつか忘れていつか笑い事になる。
自分がどんなに嫌いでも、アイツらよりは好きだ。

そう誇れるようになった、涙の跡。
「そうだよ。私は何回も泣いたことがある。」と。
隠すことも、知らないフリもしない。


誰がなんと言おうと、あの涙は私の人生の証だ。


7/24/2025, 6:18:15 PM


もしも過去へと行けるのなら

いっそ産まれた時代からやり直して、
貴方と学生として出会えた時まで戻らせて。

こんな考え方でごめんなさい。
「死にたい」とか考えないぐらい慣れてしまったけど。

もしも戻れるなら、
人生赤ちゃんからでもやり直せるなら、

むしろ産まれないままで。
それか時代を変えて、あなたとちゃんと出会えるまで。

私は、貴方とこんな関係性で出会いたくなかったの。
今日顔を合わせられたことも偶然じゃなくて、必然であって欲しかったの。

今日、手を振ってくれて私が振り返した時間は嘘じゃなかったけど。

出会えただけで、会えただけで、声が聞けただけで本当に嬉しいのに、「もっと違う時代で」「関係で」って思ってる自分が大嫌いだ。


ごめんなさい。でもせめて、少しは我儘な私を許して。

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