お題 : 君が繋ぐ歌
「この曲はね、私の大好きな人が繋いでくれたんだ」
今日も大歓声が響くステージで、確かにそう言っていた曲を君は歌っていた。
喉を使った、迫力のある歌い方。彼女の魅力だ。喉を全力で使って、枯れることを知らないような歌い方。それに魅了されたファンは多いだろう。
でも、そんな声は_____彼女には負担でしかない。
彼女は、喉が弱いのだ。ずっと、ステージに立っていなかったら喉が死ぬほど痛いと静かに苦しんでいる。
それでも彼女は、あの歌い方を絶対にやめない。
その理由を、私は、私だけは……たしかに知っていた。
あの日、喉を痛めて入院していた病院の病室で、静かに語った言葉は、今でも忘れたことは無い。
「次のライブは、絶対これを歌う。もう最後かもしれないからね」
「あとさ、この曲を貰った大好きな人から言われたんだ」
「この曲は、繋げていく。『大好きな人にこれを教えて、ずっと忘れないようにするんだ』って、私も言われたんだ」
「だから今度は、君にこの曲をあげる。歌上手いんだし、いいでしょ?歌手、絶対辞めないでね」
あの時の衝撃を、忘れられるはずが無い。
「________!!」
力強く響く歌声に、負けないほどの歓声。私は、この景色を忘れることもきっと無いのだろう。
「 」
そう呟いた。
確かに、そう言ったはずなのだけれど。
耳鳴りが邪魔で、自分自身の耳にははっきりと聞こえなかった。
「いつの間に、もうこんな暑くなってる」
日差しが直接当たる。汗が流れる。
そして、風鈴の音が鳴る。まだ微かに風が吹く季節だ。
「蝉もうるさいし、トンボも無邪気に飛んでる」
虫は……動物は、植物というのは、どれもが無邪気なもんだ。私とは、静かに泣く君とは違う。
静かで無邪気な心を持っている。
「だから、だからさ」
影で泣いている、君に向き直す。
もう一度、さっき私には聞こえなかった言葉を。
「ただいま、夏。」
微かに強くなった日差しが。
微かに鳴った風鈴が。
微かに強くなった虫の声が。
あの時止まったままの「夏」を、思い出させてくれた。
お題 : ただいま、夏。
お題 : ぬるい炭酸と無口な君
「ねぇ、それ。なんで置いてあるの?もしかして僕のために!?」
何も答えてくれない。テンプレ通りだ。
でも確かにそれは、絶対に僕のために置いてあるもの。何故ならというと、君は炭酸が飲めないから。
(書き途中)
お題 : 涙の跡
涙の跡を知らないフリした。
…………私は、そんなのしたことない。
どれだけ逃げたくあっても、それは変わることのない事実だ。
人前で泣いたなら誰かが覚えているし、
自分一人で泣いた涙に籠っている気持ちは嫌でも覚えている。
どれだけ「死んでくれ」と願って泣いた夜があったか。
あの夜の気持ちを忘れたわけではない。
今でももちろん、あいつの事は殺したいほど憎んでいる。なんならいっそ、今この瞬間に消えて欲しい。
だけどどれだけ泣いた涙の跡を追って、こんな気持ちに行き着く。それは後悔の気持ち。
あんなやつの為に泣いてるだけ時間の無駄。
嫌でもアイツは生きてるんだ。私にとってアイツなんてただのモブ。ただの脇役!!
私は誰がなんと言おうとこの人生の主人公だ。ただ人の否定と過度な虐めしか出来ない可哀想な脇役共(笑)
あの涙は無駄だった。でも、無駄じゃない。
そう気付かせてくれた人がいる。
そんな運命的な出会いがあった。
それを結びつけてくれたのは悔しいけどアイツらだ。
あんなやつ、いつか忘れていつか笑い事になる。
自分がどんなに嫌いでも、アイツらよりは好きだ。
そう誇れるようになった、涙の跡。
「そうだよ。私は何回も泣いたことがある。」と。
隠すことも、知らないフリもしない。
誰がなんと言おうと、あの涙は私の人生の証だ。
もしも過去へと行けるのなら
いっそ産まれた時代からやり直して、
貴方と学生として出会えた時まで戻らせて。
こんな考え方でごめんなさい。
「死にたい」とか考えないぐらい慣れてしまったけど。
もしも戻れるなら、
人生赤ちゃんからでもやり直せるなら、
むしろ産まれないままで。
それか時代を変えて、あなたとちゃんと出会えるまで。
私は、貴方とこんな関係性で出会いたくなかったの。
今日顔を合わせられたことも偶然じゃなくて、必然であって欲しかったの。
今日、手を振ってくれて私が振り返した時間は嘘じゃなかったけど。
出会えただけで、会えただけで、声が聞けただけで本当に嬉しいのに、「もっと違う時代で」「関係で」って思ってる自分が大嫌いだ。
ごめんなさい。でもせめて、少しは我儘な私を許して。