橙色

Open App
12/1/2025, 2:22:58 PM

「凍てつく星空」

 凍りつきそうな冷たい空気が漂う闇の中、空を見上げる。
 雲ひとつない真っ暗に澄んだ空には、氷の結晶のように小さく、けれど確かに光り輝く星たちが瞬いていた。
 手を伸ばせば届きそうなほど近くに感じるのに、いざ伸ばしてみるととても遠い。
 ----------君はあの星だろうか。
 きっともう、2度と会えないであろう君を想う。
 遠いけれど、空を見上げれば近くに君を感じる。
 だから、凍てつく夜でも星空の下なら寒くはないのだ。

11/30/2025, 12:40:12 PM

「君と紡ぐ物語」

 海の見える小高い丘の上に、君の名前が刻まれた石がある。その石のそばに、そっと花束と君の好きな紅茶、そして白い表紙の本を置いた。この本は、君と僕が一緒に紡いだ物語。今日やっと本という形になり、世に放たれた。僕はそれを君に報告しに来たのだった。
 君と物語を紡ぐのは、とても楽しかった。1人で原稿と向き合うよりも、2人でああでもない、こうでもないと想像を膨らませ、言葉を紡ぐ時間は僕にとって幸せな時間だった。
 だからまたいつか。空の上で会うことがあったら、僕と一緒に物語を紡いでほしい。
 その時はきっと、僕の物語をお土産に持っていくから。

11/29/2025, 2:12:40 PM

「失われた響き」

 いつからだろう。あの響きが出せなくなったのは。
 学生の頃に始めたトランペットの演奏は、社会人になった今でも続けている。けれど、年月を重ねていくにつれ上達するはずなのに私の演奏は上達どころか納得のいかない演奏になってきている。
 柔らかくて、楽しげな明るいトランペットの響き。あの響きは演奏している私自身もだいすきなものだった。だが、今どれだけ演奏しても、あの響きとは違うのだ。
 
 私が諦めてしまうその前に、失われてしまったあの響きを取り戻すことはできるだろうか。

11/28/2025, 1:54:47 PM

「霜降る朝」

 キン、と冷たい空気が頰をさす。その冷たさに促されてそっと目を開けると、閉じられたカーテンから明るさが少し漏れだし、朝の訪れを感じさせる。
 外に出ると、まるで時が止まったかのように静かで、この世界には自分しかいないのではないかと錯覚するほどだった。
 庭に植えた野菜たちは、霜が降りて太陽の光でキラキラと輝いている。
 寒いけれど、静かできれいな空気を目一杯吸って、太陽を見上げる。今日も一日頑張るぞと気合を入れた。

11/27/2025, 1:32:40 PM

「心の深呼吸」

 生い茂る緑が、太陽の光で輝き、木漏れ日が静かに降り注ぐ、ガジュマルの木の下。
 葉っぱの香り、土の匂い。人ごみの中とは全く違う、自然の匂いが鼻を抜けて全身に広がっていく。
 ゆっくりと息を吐いていくと、さっきよりも視界が明るくなったような気がした。
 深呼吸はどこででもできるけれど、心の深呼吸をしたい時は、自然の中が一番だ。光や香りだけではなく、清々しい風や鳥の声が疲れた心を癒し、リセットしてくれる。
 明日も頑張ろう。

Next