「絆」
私とあなたの間には固い絆がある、結ばれてるって信じていた。今振り返ると、どうしてそこまで盲目的に信じていられたのか自分でも不思議に思う。でもきっと、それくらい私はあなたのことが好きだったし、私もあなたに好かれているという願いのような思いで自分を保っていたのだろう。
けれど、真実は残酷だ。あの日から、あなたとは連絡がつかないし一度も会いにこない。そして隣町で、他の人と腕を組んで楽しそうに歩いているあなたを見てしまった。今まで私が見たこともないくらいに楽しそうな心からの笑顔をあなたは浮かべていた。
私が信じ、縋っていた絆は、もはや存在しない幻だったのだろうか。
「たまには」
今日は君が僕よりも遅く帰ってくる日だ。いつもは僕の方が後で、君が暖かなご飯を作って待っててくれている。
せっかくの機会だし、たまには僕がご飯を作って君を驚かせようかな。
「大好きな君に」
「今までありがとう。さようなら。どうかお幸せに。」
大好きな君に、最後に伝えたいと、伝えるべきだと思っているのに言葉がうまく出せない。溢れそうになるのは、君への想いばかりで自分が嫌になる。そんな自分勝手な想いを涙と共にグッと抑えて君の目を真正面から見つめ覚悟を決めて言葉を紡いだ。
大好きな君に、幸せが訪れますように。
「ひなまつり」
ひなまつり、とは言っても私の家には飾る雛人形もなく、いつもと特に変わらない日だった。その考えは大人になっても変わらなかった。そんな私に、あなたは小さな雛人形をプレゼントしてくれた。うさぎがお内裏さまとお雛様の服を着た小さなもので、とても可愛らしかった。
気に入ってひなまつりが終わった後も飾り続ける私に、結婚が遅くなるよ、とあなたは笑って言った。
結婚したいと思っている人は今目の前にいるよ、なんて言ったらあなたはどんな顔をするのかな。
私の小さな恋心を、うさぎの雛人形には気づかれているような気がした。
「たった1つの希望」
暗い海を1人で泳いでいた。怖くて、心細くて、終わりの見えない不安に支配されていた。そんな時に現れたあなたは、私にとってたった1つの希望だった。あなたは私に寄り添い、励まし、導いてくれた。
なのに、あなたは私を再び暗い海へと戻した。あなたが現れる前よりもずっと、海の暗さを感じ、不安で胸がギュッと痛む。
離れていくぐらいなら、希望なんていらなかった。
たった1つの希望は、私の世界を暗く支配する絶望へと形を変えた。