【お題】誰か
『誰か』と、声にした事は無い。
———それが当たり前で、考えた事もなくて。
———助けなんて諦めていた。
そして『誰か』と、声にしたとしても、
———なんとかしてくれるわけでもないし。
———コレはどうしようもない事だとも、わかってた。
それでも、貴方は
貴方はなんて事無い様に助けてくれた。
例え、世にも恐ろしい物を目にしたとしても、
例え、困難で不可能だとされても、
例え、自身の心が、身体が、ボロボロでも、
例え、助けられない事が悪い事でもないのに、
貴方は何時も、手を差し伸べる。
『助けるのは当たり前だ』
と言って、【すくい】あげてくれた。
だから、私/僕は、英雄(ヒーロー)[誰か]になりたい。
《貴方の様な》英雄(ヒーロー)[誰か]になりたい。
例え、貴方の言う
『ヒーローなんて貧乏くじだから止めなさい』
『俺より凄い人は世界に幾らでも居る』
『ヒーローなんてイイもんじゃない』
『俺の事より、困ってる人を助けなさい』
と言われてても(最後は当たり前だけれども)。
それでも、私/僕は
《貴方の様な》英雄(ヒーロー)[誰か]になりたいのです。
貴方が私/僕にしてくれた事を、
貴方が私/僕にしてくれた様に、
今度は私/僕が、
《貴方の様に》肯定する[誰か]に、なりたいのです。
By ある青年に救われた、少年少女達の独白と夢について。
【お題】秋の訪れ
通年・・・・・いや、もうここ数年は右肩上がりの夏の気温に、『秋は何処へやら』と言う今日この頃、秋らしい気温になったのは僥倖だろう。
とは言え、《気温が》秋らしさを連れて来るのは難しくなってしまったのは現実だ。
「なのに、お偉いさんの中には【地球温暖化なんて無い!】とか言うんだから、奇妙も奇妙だよなぁ。英語にも『秋』ってあるのに」
「ですねぇ」
と、親友と一緒に芋のフラペチーノを飲みながら話す。
「この前は経済学者の先生が【地球温暖化なんてでっち上げです】とか発言したのを見た時は向こうがフェイクニュースとか合成とか加工動画かと思ったけどさ、どうすんのかね」
「まあ、自分の利益最優先の人達の国ですからねぇ」
「それもそうか・・・・・」
と、今度は栗のモンブランを二人で分け合う。
「まあ、日本じゃ気温が秋じゃなくても、こうやって食べ物で秋が来たなって感じれるのは助かるよな。昔はこうも行かなかっただろうけれども、ん、美味い」
「確かに、芋は江戸時代中盤までは存在ありませんし、基本的には収穫するまで待ちですからね。栗、柿、梨、茸、新米、豆、長芋・・・・・果物野菜以外でしたら秋刀魚や鮭位ですからね・・・・・あ、本当に美味しいですね」
「だよなぁ。いやはや、現代に生まれて良かったわ、本当に・・・・・あ、後は植物位か?この前は金木犀が咲いてたし」
「あぁ、それもありますね・・・・・けど、金木犀も江戸時代からの言われてますから、紅葉する木や、菊の花、女郎花位・・・・・と考えると、やはり今が1番いいかもしれませんね」
なんてお互い思い思いに言いながら、秋の訪れを楽しんだ。
By ある男子学生2人の話より
【お題】旅は続く
人生と言う名の旅は生きている限り続く。
ならば、神となった今、旅はこの身が滅ぶまで続くだろう。
どんな終わりを見るて、
どんな始まりを見るのだろう、
どんな輝きを見るて、
どんな陰りを見るのだろう、
どんな生き様を見え、
どんな死に様を見るのだろう、
そうして、私は見送って。
また歩き出すのだろう。
記憶はすり減って、
心も削れて、
それが辛くなって、
苦しくなって、
逃げ出したくなって、
足を止めたくても、
私には歩き続けるしかないのだろう。
神になってしまった以上、私に許されるのはそれしかないのだから。
そして、旅は続く。
人が続く限り、
世界に『ヒト』がいる限り、
願いを持つ者がいる限り、
私の旅は続く。
何処までも、何処までも。
そして、運命ならば、
先に死んだ君に、また会えるだろうか?
約束の場所で、君に会えるだろうか?
By 神になってしまった青年の話
お題【モノクロ】
最初の僕の世界は所謂、殆ど『モノクロ』でした。
今思えば、僕の価値観や考えを理解してくれる人が居なかったからそう見えていただけなのですが。
当時の僕は余りにも世界に飽きていたのか。
それとも面白味もないこの世界を嫌っていたからか。
どちらにしろ、僕の見えてる世界で色が付いているのは家族である義妹と本だけでした。
なので、あかの他人である君も最初はモノクロだったんですが。
それを
『それ、面白いな』
『なんでも知ってるんだな、もっと教えてくれ』
『それはこう言う事じゃないのか?』
と、君が面白い事を言う度に、君に色が付いて
そこから、君は
『ほら、お前の空の色だ』
『この空の色はお前と一緒で、優しくて綺麗な色だなぁ』
と、君としては大した事を言ったつもりはないのかもしれませんが。
僕の世界を極彩色の世界に変えてくれました。
死ぬまでずっと、『モノクロ』の世界のままだろうと思っていた僕を、一瞬で変えた君。
そして、こんな僕でも友人と言ってくれる人達に会わせてくれました。
そんな君と、友人達(皆さん)の為だから、僕は命を賭けれるんです。
人間嫌いでも、君や友人達(皆さん)の様な【本当に優しい】人が居るのを知ってしまったから。
悪者だろうと、冷血だと言われようとも、自分の全てを捨て去る事になったとしても。
僕は、彼と友人達(皆さん)の為に、今日も嘘をつくのです。
By とある公安警察官の覚悟と回想より
お題【涙の理由】
———地獄の様な道のりだった
硝子の道を歩いた
骨ばかりの道を歩いた
灼熱の道を歩いた
吹き荒ぶ凍土の道を歩いた
血塗れの道を歩いた
茨の道を歩いた
何度も、何度も
足が痛くて、辛くて、
虚しくて、呪わしくて、
『足を止めたい』
と思った。
何度も、何度も、
苦しくて、疲れて
泣いて、叫んで、
『足を止めよう』と思った。
それでも、足を止め無かったのは何故か。
何故だろう。
足を止める度に、何だか涙が出る。
涙の理由はわからない。
痛いから涙がでてる訳じゃない(いや、既に出てるけれども)
辛いから涙がでてる訳じゃない(いや、やっぱりそれもある)
それでも、歩き続ければ、この涙の理由もわかるだろうか?
それとも、歩き終えたその時に、この涙の理由は分かるのだろうか?
By 滅びを回避した神王の最期の回想