題名:遠い鐘の音
―うるさいなぁ…。
みんなそろってその言葉を発した。
ゴーンと鳴り響く鐘の音。
何回なるかは人次第。
響く回数だけその人は罪を犯している。
だから皆怯えて、強がって、口をそろえて言った。
―うるさいなぁ…。
と、一言を。
今回の鐘の音は何十回も鳴った。
皆の肩は震えていた。
その時私は下を向いて思った。
…嗚呼、今回は私か。
落胆したというかなんというか。
言葉にならない落ち込みと、自暴自棄になる気持ちが交差して、今私はどんな顔をしているんだろうか。
手を伸ばした。
心の中で。
叫びまくった。
心の中で。
私は捕まった。
…ね、私を見て、どう思ったの?
…なんで皆笑ってるの?
…無駄に強がっても意味ないでしょ?
…ねぇ、ねぇ、ねぇ?!
…………ねぇ?………
題名:スノー
真っ白だった。
何もかも。全てが全て。
だから大丈夫だと思っていた。
そんな予想は外れた。
前置きなんていらなかった。
止まらず続くこの劇場で。
全て演技だと勘違いして。
そう願うのはきっと私だけ。
真っ白な心に、墨汁でもドボドボ垂らしましょう。
そしたら、私達の勝ちです。
勝手だけど、そんな考えが、革命になるから。
そんな文句と独り言。
呟いては、“どうせ”と否定する。
降ってくる雪と外。
このままでは、負けてしまう。
そう書かれた台本を、しかめっ面で読んでいく。
観客は減って、沈黙が続いて、ほらねって私はあざ笑う。
それは、自嘲的な笑みでした。
それは、苦しい笑みでした。
狂ったように笑った私は。
観客からは白い目で見られる。
最初から分かっていたけれど。
どうも、おかしくて笑ってる。
馬鹿みたいで、
阿呆らしくて、
アハハ、
雪で埋もれている。
題名:夜空を越えて
星に雲がかかった。
目的が不明瞭になってしまったみたいで
将来に迷いができてしまったみたいで
どう見ても、不吉のようだ。
その夜空は。
その雲は邪魔者扱いされた。
だから、雲の上を見てみたいのだ。
雲の上には何かと神秘的な物があると信じて。
僕はそんな邪魔者だ。
こんな考えも、こんな僕も、変わりたい。
そんなことを考える自分は馬鹿だ。
そう思う、自分も馬鹿だ。
……?
無限に続く、果てしない夜空に。
そんな人がいましたね。
題名:ぬくもりの記憶
なんでいつも、明日が来ると思っていたんだろう?
嫌なことばかりが続いて、こんな世界が嫌だと思ったけれど。
本当は、自分が原因だった。
だから私は愛されていて、心配されていて。
本当は、ちょっとした不満だった。
だから私は他の人に比べて、おかしくはなかった。
その日々の裏には、幸せが隠されていた。
なのになんで私はあんなことを言ったんだろう?
ごめんなさい。
本気に思ってなかった。
…
題名:凍える指先
あなたのための手紙を書く。
指先がだんだん冷えて動かなくなる。
そんな、くだらない夢を見た。
倒れていく人々、消えていく思い出。
まるで私が狂ってるみたいに。
鳴り止まぬサイレンに目を覚ました。
それはきっと、クレイジーサイン。
止めたくても、止められない。
それはまるで依存症。
早く止めないと、襲われてしまう。
そんな幻覚、いらないのにね。
夢から覚めては、体からの倦怠感。
私は風邪でも引いているのかな。
手錠をかけられる私の腕。
何がなんだか分からない?
白い息と、寒くて動かない指と、怖くてうずくまる自分のどれかは偽者?
私は指差す。
犯人の在処を。
そこにいるのは…
誰もいない。
私の幻覚だった。