contradiction

Open App
11/20/2025, 11:34:36 AM

題名:見えない未来へ

※ささやかな約束の別視点です

「一生私を忘れないって約束してくれる?」
私がそう言ったのは、転校するからだ。
「いいよ。」
当然のように君は答えた。その当然は、当たり前で、私が言っていることがおかしいというように捉えることもできた。だから私は言った。
「そういや知ってる?」
「何?」
「忘れるって漢字は、心を亡くすって書くの。良く考えて作ってると思わない?」
「忘れるの漢字くら知ってるよ。何が言いたいの?」
あきれている顔から読み取れるのは、やはり私を不思議に思っているということだった。
「それはね、」
私は微笑して君の耳元でささやいた。

「いつか君も、私も約束も忘れてしまうんだろうなってこと。」

私は、あの時の約束をいつでも思い出せる。そして君の名前も全て。最初で最後の初恋は君だけで、私はもう恋をできない。恋をする回数を使い果たした、と思いたかった。

未来は見えない。

私は恋をした。

君はきっと私を忘れている。

だから

私と君の関係と約束は

切れてしまった。

11/19/2025, 11:43:55 AM

題名:吹き抜ける風

窓で外を見つめていると、冷たい風が顔に当たる。
外には、枯れ木が数本あるだけ。
他はいつもの見慣れた景色。

その景色を、特別綺麗だとは思えないが、ひたすら私は、無意識に見つめていた。

「──出席番号二十三番、おい二十三番。」
「は、はい…。」
慌てて先生の方へ目を向けると、
「これの答えは?」
と、聞いてくる。良く分からない。硬直したまま、周りはひそひそして、恥ずかしくて、口が開かない。
「分からない、です…。」
「珍しいな。そういやぼーっとしてたけど、風邪でもひいてるのか?」
「いえ、風邪ではありません…。」
顔がだんだん赤くなる。笑い声に関係ない話、私への評価、先生についてなど、いろいろ聞こえてくる。

うるさい。

うるさいうるさいうるさいうるさいうるさい!

聞こえてくる全てをかき消すように私はそう言い聞かせた。私は自意識過剰なんじゃないかな。そう思えば私がおかしい人みたいじゃない。嫌だ。そんなの認めたくない。

冷たい風が顔に当たる。

少し、冷静になれたのかもしれない。

私、何もできない。
きっと無気力状態だ。
期待して欲しくなかった。
話しかけて欲しくなかった。
陰口を言って欲しくなかった。
あざ笑って欲しくなかった。
期待はずれだと言って欲しくなかった。

止めて。

私は皆と同じ人間なんだよ。

お願いだからもう、

これ以上、

私に何も求めないで?

11/18/2025, 12:09:23 PM

題名:記憶のランタン

君の記憶の映画が流れる。
この映画館にいるのは私だけ。
日々が過ぎて、置いてけぼり。
本当、理不尽だなって思った。

焦点が合わない。目の前真っ暗。
もう、映画は終わったのかな?

違う。私が立ち直れないせいだ。君がいない世界に、耐えられなくて、現実逃避をしているだけで。

また映画は流れた。
君の好きな食べ物に、好きな色、趣味が溢れて抱えきれなくて。

前を向けたら、ポジティブになれたら、どれだけ世界は明るいでしょうか?

私は知らない。
未来を知らない。
だから将来を考えるのは無駄遣いじゃないか。

それは違う。
君は止めた。
夢と生きがいは似ているものと教えて。

君はいない。
どこにもいない。

理由も居場所も気持ちも何もかも知らない。

灯りが灯って、この暗闇を進んで、君以外の生きがいを探す。

ランタンの灯りが、一斉についた。

綺麗だねって問うのはやはり君でした。

そして見据えた、その未来を、受け入れた自分は勇気があるでしょう。

すごいね。
ありがとう。

やはり、問うのは、君で、

映画は終わった。
映画館から出た。
世界は明るかった。
同時に怖かった。
仕方がなかった。
決められた運命だから。

雲に、綺麗な虹が架かる。

綺麗だね

11/17/2025, 11:57:17 AM

題名:冬へ

「まだ十一月なのになんでこんなに寒いのー?」
「十一月って霜月とも言うでしょう?」
「確かにそうだけど、それにしても寒いよ~。」
「あなたが寒がりなだけでしょ?」
「それはそうだけど、ゆーかは寒くないの?」
「少し肌寒いくらい。」
「それだけ?すごく寒いよ。寒くて震えてる。」
その時私は嫌な予感がした。
「保健室に行かない?」
とっさに出た言葉だった。
「え?まぁ良いけど、どうしたの?」
あなたの手を引き、走った。あなたは風邪をひいている。今日の気温はそんなに低くはない。
「先生、佐藤さんが体調悪いそうです。失礼しました。」
そうあなたを置いて、私は去った。後から聞いた話によるとあなたはインフルエンザだったらしい。さすが冬。

そんな微笑ましい話をすると私の心は落ち着く。いつもはこんなことは起きないから。

今日も今日で、幸せ探しでもしようかな。この冬に風邪をひかないように。

11/16/2025, 10:43:33 AM

題名:君を照らす月

さて。突然ですが、今の月は昔ほど明るくないらしいです。なぜなら、電気があるからです。
町にはいろんな色の光であふれかえっています。ということは、月の明かりは弱くなってしまうということなのです。
そんな前置きはこれぐらいにしておきましょう。それでは物語始めましょう。ちなみにこの物語には電気がないそうです。そして、忠告しましょう。必ず、目を離さないでくださいね?

「今日は満月ですね。」
「本当、今日はいつもより明るいよ。」
僕は隣にいる貴方を見た。月の光に照らされていて、夜の木漏れ日のようだった。
「今日は満月だから何かしようよ。なぜなら満月は月に一回だけなのだから。それに、満月と言えば、何か不思議な事が起こるって言うでしょう?」
肩をすくめて貴方は言った。その姿も可愛らしい。この姿、もう見られないかもしれない。貴方が肩をすくめるだなんてとても珍しいから。
「そうだなー。特にないけれど、貴方がやりたいことを僕はやりたいよ。やはり、あれ?」
「うん。もしかしたら、楽になれるかもしれないからね。それじゃあ準備しよう。」
貴方は“あれ”の準備をし始める。そして僕達は人目のつかない池に来た。
そして僕は

貴方を

◯した。

そして僕も

切腹した


さて。この二人は何をしたのでしょうか。嗚呼、答えではなくて、なんで“あれ”をしたのかの理由を求めているんです。なぜ求めているのか。それは、私がその物語の主人公が好きだったからです。私には一生理解できないでしょう。私は何も分からない。永遠に。ただ、夜に浮かぶ月を見ることしかできないのだから。

Next