題名:祈りの果て
その時までは、恋が出来ていた。
「あなただけに言うね。私、好きな人ができたの。名前は─────。」
あのベンチで言われたのはそれだった。その時初めて失恋した。いつもなら。いつもなら、自分から恋を止めていたのに。君に言われて情緒不安定になった。その気持ちを押し殺して、顔に出さずに言った。
「やっぱりそうだったんだ。前から思ってた。もしかしたら両思いかもね。」
と、嘘の一言を加えた。
君が好きな人には好きな人がいた。君の好きな人は僕の友人で、いつも三人組だった。その関係は三角関係になって、多分いつか崩壊してしまう。
せめて僕は祈る。
─恋のないただ純粋な三人組になって欲しい
そして僕は君への思いは消えて、君が僕の友人への思いも消えた。多分それは蛙化現象なんだろうな。
と、そう思い込んだ。じゃないと、裏工作したのがバレてしまうから。
ごめんね。そうじゃないと、僕の生きがいがなくなってしまうんだ。
それじゃあまた明日
題名:心の迷路
ずっと好きだったお友達は、家のトラブルで離れ離れ。
知ってた、知らない、そんな事、どうでも良くて。
大っ嫌いの友達を、好きになっちゃう親友は、痛々しい笑みのまま、私に思いを打ち明ける。
大っ嫌いの友達が、危険な行動出た時は、私もやるの、親友はそう断言した。
私の思いはどうせない。私の思いは見せられない。私の気持ちはいらないの。私の気持ちは曇りなの。私の感情、私の鼓動、私の言葉、全てがもろくてちっぽけなのに。
回答を求めて、気分を尋ねて、気を配って、そんな無理しなくて良いのに。
拒否できない自分も悪いのに、拒否したくない自分もいるせいで、責任を譲り合って、矛盾を創り合って、馬鹿みたいな阿呆みたいな、語彙力ないから伝わることは一生ないけれど、表現したいものがそこにある。
その一言で、何がしたい、何を言いたい、質問殺到、私は無口で、代わりに誰かが答えて睨む。
―そういうことじゃない
─そういうわけじゃない
─そういうつもりじゃない
抑えきれない気持ちは暴言として捉えられ、私は悪者、私は罪人、私は
何者?
?
題名:ティーカップ
ふと気がつくと、紅茶は冷めていた。
私は一体、何を考えていたのだろう。
面白いこと?
楽しいこと?
悲しいこと?
寂しいこと?
おかしなこと?
瞬きすれば、考えていたことは吹っ飛んで、代わりにカップに入る紅茶を見つめて、また瞬きすると、また考える。
悩んでいるのかな?
ひそひそ聞こえるのは、私への偏見の声だらけで、静かにして欲しいけれど、そんなことは一言も言えず、また紅茶を見つめる。
そういやここ、喫茶店だった。
確かに私は変なことをしているかもしれない。
けれどそれは、心に留めておくものでしょう?
だって私、学校でそう習ったんだもの。
なのになんで大人達はそうしないんだろう?
私だけ大人なだけ?
それとも、私がおかしいだけ?
題名:寂しくて
病気になったお友達は、不登校になって離れ離れ。
好きになったこの気持ちは、泣いてごまかして。
こんな子じゃなかったら良かったと、叫んでもくだらなくて。分かってて、知っていてもさ、泣きたいのに変わりは無かった。
どうせ分かってもらえないくせに、共感されると期待しちゃう。馬鹿だねって自虐して、どうにもならない一日が終わる。
ごめんね、何もできなくて。
ごめんね、無力な私でごめんね。
ごめんね、こんな子じゃなかったら良かった。
きっと前世で悪いことしか積んでない。来世もきっと悪い子でしょうね。
ごめんね、こんな私で
ごめんね、それしか言えなくて
ごめんね、さようなら、遺書ぐらい最後に書けばよかったなぁ、ごめんね。
本当に私は何もできないからと、自虐した日々が懐かしくて、できると言えばみんな離れていくでしょうね。友達も、自分も、同じ人間だったというのに、離れていって、謝られてしまって、結局自分が悪い子になっていくの。
寂しくて、泣きたくて、叫んでも何にもならなくて、押し込んだ気持ちは、気持ち悪くて吐き出した。そしたら周りはすっからかん。
何もしてないのに、私のせいらしい。
正直なのに、私のせいらしい。
自問自答と悪戦苦闘と四苦八苦して、私の気持ちと感情は、交差して空回る。
さようなら、ごめんね。
全部、私のせいだ。
題名:心の境界線
「わ!」
「わぁ?!」
僕は腰を抜かす。
「もう、相変わらずびびりだなぁ。」
「びびりって…そっちが驚かせに来たくせに。君だってびびりじゃないか。前にお化け屋敷で泣きわめいてたじゃないか。急に驚かせて心臓に悪いんだけど。じゃあね。」
僕が怒って言うと、
「違うって!あのね、これには訳があって。それに、少し恥ずかしくて、こういつも通りにしないと心臓が爆発しちゃうの!」
いつも通りの訳の分からない言い訳だった。
「…もしかして、何か用があるの?」
僕がそう思ったのは、君の言葉と、仕草だった。手を後ろにやるなんて、君らしくない。それに、恥ずかしいなんて、強気の君の言葉として似合わない。
「その、ね?これ、受け取って。」
君の手には手紙があった。
その時、もしかして、と思った。僕の頭に浮かんだ言葉は───告白。幼なじみの君がまさか、と少し嬉しく思うが、冷静に手紙を開ける。そこに書いてあるのは…
大好きな君へ
もしかして告白だと思いましたか?違います!
アハハ、まんまと罠に引っかかって面白いね。
もちろんドッキリだよ。そうじゃないと、君の頭はパンクするでしょ?というより、ドッキリで頭に血が上ってるかも?それも君らしい。それじゃあバイバイ。
意地悪な私より
僕は手紙を握りつぶし、目の前にいた君を睨もうとした。しかし、目の前には誰もいなかった。
僕だって君が好きなのに。ずるい。好きと嫌いの境界線が混ざってこんがらがって曖昧になりそうだ。
…大っ嫌い。
…君が。
…本当は、
好き、だけど、君の言葉が演技らしくて、嘘に見える。もしかして…
瞬きすると、そこはベットの上から見た天井だった。どうやら、さっきの出来事は夢だったみたいだ。残念。