Lacryma

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11/24/2024, 6:52:13 AM

もうどうしようもない

希望を託された勇者一行は

最後の砦を破壊して

私の身体も光に落ちていく

人々が私を惨いというのなら

彼らも私と同じ心を持っているのね

だって、作り上げた安息の地は

闇に生き、紡いだ理想は

彼らの光に気圧され、消えてしまったの

11/21/2024, 4:21:47 PM

門が閉まる寸前の時間に教会に駆け込み

一心不乱にお祈りをする

誰もいないこの時間なら

あの神父様と少しでもお話できるかもしれない

決して叶うことはないけれど

せめて想いを告げる機会だけでももらえたら

一人悶々としていると、隣から声をかけられた

「何をお祈りしているのですか」

驚いてその方を向くと、例の神父様がいる

私の隣に座っている。どうして

「つい気になって声をかけてしまいました」

そう言って微笑んで、私に

女神様、なんて悪趣味な

今までこんなことなかったのに

こんなにいきなり

まるで心臓が締め付けられるような

なんて言えばいいのかわからない

あぁ女神様、こんな私を笑っているのですか

女神様、私は一体どうすればいいの

11/20/2024, 6:51:44 AM

月の光が射し込む小さな教会で

女神の姿を象ったキャンドルを祭壇に置いた

あぁ、女神様

貴女が溶けて消えるとき

私の信仰心も燃え尽きるのです

こんな、人々の想像を形にしただけの偶像に

存在するかもわからない貴女に

恋をした私をどうか、許してください

これで貴女への想いに終止符を打つから

貴女が本当に存在するというのなら

どうか最後に、私の前に姿を現して

なんて、こんな馬鹿なこと

身勝手な自分がひどく滑稽で笑えてしまう

私は、貴女の存在すら信じきれていないのに

11/19/2024, 8:41:28 AM

この日記には、たくさんの想い出が綴られている

二度と戻ることのない過去の記憶が

やり直すことのできない後悔が

燃やしてしまえ

こんなものを思い出して、哀愁に囚われるくらいなら

未来を阻む鎖になってしまうくらいなら

11/17/2024, 1:21:36 AM

「昔々、遠い過去のお話さ
それはまだ、神と人が共存していた頃の物語だ」
私たち以外には誰もいない
夕日の射し込む静かな図書館で
何も書かれていない本を読みながら
貴方は静かに話し始めた


天を彷徨う雲の上で、悪魔と天使が恋をした
まるで運命に導かれたかのように
互いをひと目見た瞬間
枯れた心臓に一輪の花が咲いた気持ちになった

それから彼らは密かに会うようになった
闇が世界を覆い隠す新月の夜だけに
白く小さな花を一輪だけ贈り合って
言葉にできぬ想いを告げた

けれど、そんな日々は長くは続かなかった
何回目かの密会で二人の秘密が知られてしまった
月が彼らを裏切ったのだ
二つの種族は怒り狂い、長き激戦の末に

女神は同族にその命を奪われ
悪魔は永遠の呪いを掛けられた

悪魔は死を望んだ
悠久の時を独りで生きるだけでなく
長い時を経て愛した者の記憶が徐々に奪われていく
彼は責め苦に耐えかね、命を終わらせてくれと頼んだが
彼の願いはついぞ叶うことはなかった


そこまで話して、彼は白紙の本を閉じた
私は二人の悲しい終わりに
しばらく何も言うことができなかった

「彼らをハッピーエンドにしてあげられないの?」
沈黙の末、私は彼に聞いた

すると、彼は少し悲しい顔をして答えた
「彼らはきっと、何度やり直したとしても
ハッピーエンドにはなれなかったと思うよ」


許されぬ恋をした悪魔と天使はきっと
いつか報いを受けるとわかっていても
互いの笑顔を見ずにはいられなかったのだろう
いつか、永遠にはなればなれになったとしても


貴方は窓から空を見上げている
その瞳には悲しみと後悔が溢れているようで
もしかして、その悪魔は貴方なの?
なんて
そんな愚かで残酷な質問をすることはできなかった

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