もう私に関わらないでくれ
そう言って貴女の心を傷つけた
うんざりしていたんだ
貴女の顔を見るのも嫌だった
それから幾度かの夜を越えて
貴女を忘れかけていた時のこと
ある一通の手紙が届いた
読むと、貴女からの手紙だった
そこには、今までの謝罪と
不治の病で眠りにつくことが
弱々しい字で書かれていた
私はそれを読み終えると
素足のままで駆け出した
貴女はもうどこにもいないのに
もう一歩だけ、貴方に近づきたかった
貴方が離れていったらと思うと
どうしようもなく心が苦しくなったから
だから私は、貴方の側へ歩み寄った
それが間違いだったなんて
夢にも思わなかったけれど
貴方は私から距離を取った
私を見るその目は酷く冷たくて
すぐに拒絶されているのだと気づいた
全部、私の勘違いだったんだ
貴方と親しくなれているなんて
貴方は、こんなにも私を遠ざけているのに
もっと早く気づいていたらよかった
貴方に近づきすぎなければ
貴方は私を厭わなかったかもしれない
私が自惚れていなければ
もう一歩だけ、貴方から離れていれば
空に轟く遠雷のせいで
また嫌なことを思い出してしまった
あの日、貴方と初めて出会った時も
曇天が空を覆い、雷鳴が響いていた
教会の窓から外を見ていた私に
あの音が聞こえなくなるまで側にいると
貴方は優しく微笑んで、隣にいてくれた
その瞬間から私は貴方に恋をしてしまった
でもまさか、もう運命の人がいたなんてね
そんなこと、一言も言ってなかったのに
本当に馬鹿みたい。私も、貴方も
私ね、雷なんて少しも怖くないの
勝手に勘違いして、私を気遣った貴方も
その優しさに心を奪われた私も
自分勝手で、自惚れていたんだわ
貴方が私に向けた目は
もう前のような優しいものではなかった
ずっと覚悟していたんだ
いつかこんな日が来るって
どうしたらよかったのだろう
もしも時を巻き戻せたら
こんな結末にならずに済んだのだろうか
でも、これは夢じゃない
やり直すことなんてできない
貴方の心を取り戻すことは、もう二度と
あの日、貴女はいつもみたいに
笑って「またね」と言ったけれど
その後、自ら永久の眠りについた
貴女に何があったのか
きっともう知ることはできない