大雨の降る街の中
私は駅で時が経つのを待っていた
この豪雨が止むのを待っていたわけではない
ただ街中を包むペトリコールが
いつかの日々を思い出させて
私を感傷的にさせたからだった
昔、心から恋焦がれた人がいた
私は遠くから眺めるだけで
彼は私を知りもしなかっただろうけれど
それでも彼を見るだけで
幸せな気持ちになれたものだった
今思えば、声をかけてみればよかった
そうすれば、あの頃の幸せな記憶は
ただの思い出にはならなかったかもしれない
もしも過去へと行けるなら
勇気を出して貴方に笑顔を向けてみせたのに
たとえ何も変わらなかったとしても
きっと、すべてが色褪せてしまうよりずっといい
7/24/2025, 4:29:33 PM