遠い昔、花の国と呼ばれるこの国には国王がいた
その人は強く賢く聡明な女性で
花々の持つ純粋な美しさを深く愛していたそうだ
そしてそれは、隣国の国王も同様だった
彼の国は大地の国と呼ばれていて
穏やかで堅実で、安寧を愛する国王の治める国だった
二人は互いの優しさに触れ、惹かれ合っていた
人々が幸せでいられる国を夢見ていた彼らを
双方の国民も心から祝福した
しかし、そんな日々は長くは続かなかった
歴史的な戦争への参加を余儀なくされた両国は
あろうことか敵対関係として命を奪い合うことになった
そして二人の国王も、最期には互いの心臓を貫いた
どんなに心苦しかったことだろう
愛した人をその手にかける苦しみなど
私に想像できるはずもない
それでもせめて忘れないでいたいのだ
彼らの生きた証、その軌跡を
今を生きる人々が、彼らの痛みを忘れても
7/21/2025, 9:05:21 AM