はた織

Open App
2/27/2025, 12:42:18 PM

 「品物は可愛くてもお値段は可愛くない」と言った知人の言葉を思い出した。
 この可愛くないは、値段の数値が小さくないという意味を持つなら、Price is not cute.と表現できるかもしれない。cuteは、どうも赤子や小動物などの小さな物を対象に表現するらしい。
 この調子なら、お買い得商品を見かけて思わず、It’s so cute! と言えそうだ。おそらく、日本人同士なら通じ合う英文だろうよ。
 値段にも可愛さを表現できるKawaii文化は、本当に面白い。脳足りんの幼稚に見えながらも、全てのものを愛らしく包み込む母性を感じる。
                  (250227 cute!)

2/26/2025, 12:07:39 PM

 今回で100作品目だ。
 去年の11月20日から数えて、今日でちょうど100日目である。この場に私という作家の作品にキャンドルを点けて以降、今日まで32,078文字分の作品を積み上げてきた。
 原稿用紙およそ80枚分である。文庫本サイズにしたら64ページしかない。手に持って良い具合の厚さになるには、あと100作品も書く必要がある。かと言って、そこが私のゴールではない。
 もし一年も書き続けて、365作品も書き上げたら何が起ころうか。書く習慣を極めた者の先には、一体何があるのか。
 ちなみに、100作品を目の前にして私は100って案外少ないなと実感している。
 名久井直子の『100』という写真絵本を見ても思ったが、口や指で数えれる数字はやはり少ない。しかし、空間や隙間に安心感を覚える。私の100作品もまだ空白がある。夢を語れる。想いを載せられる。たましいを築き上げられる。
 きっと私は、200、365と作品を書き上げても、まだまだページの空白があるではないかと健気に軽率に貪欲に文学を書いていくだろうよ。
                  (250226 記録)

2/25/2025, 1:49:32 PM

 小学生の頃の私にとって、家の近くにある川の橋を渡るのは冒険そのものだった。ただ小学校は川の向こうにあったから、毎日のように橋を渡っていた。だが、私は十歳になっても、一人で橋を渡ることをしなかった。いつもそこを通る時は、友だちか親と一緒だった。
 ある日、気まぐれか思いつきか。私は、ようやく四年生にして乗り慣れた自転車で、たった一人、学校からも家からも全く離れた見知らぬ土地に向かって走った。おそらく大きな公園だった気がするが、橋の先にあった場所をよく覚えていない。
 それよりも、土手から見上げた夕陽が大変綺麗だった。自分で行先を決めた道を照らす夕陽は、本当に美しかった。今も橙に燃え上がる陽光が記憶によみがえる。
 子どもの時に自分で選んだり決めたりした物事は、一生忘れられない記憶となる。選択そのものが冒険だ。大人になってからも冒険はいつでもできるが、やはり子どもの心で体験する冒険にはかなわない。
 子どもの冒険は、たましいまでも揺れ動かす力強い生命があるのだから。
               (250225 さぁ冒険だ)

2/24/2025, 12:31:49 PM

            ペ
            ン
            先
            の
            め
            ぐ
            り
            花
            笑
            む
            た
            ま
            し
            い
            よ
                (250224 一輪の花)

2/23/2025, 12:47:19 PM

 この国の魔法は、ツクモ神のような物たちの声に耳を傾けることだろう。
 私が、小学校の図書館司書を務めていた頃、時間の流れをよく読み取った。そろそろチャイムが鳴ると言えば、数秒後にはチャイムの放送が流れた。当時の図書委員の児童は、目を見開いて驚いた。私の予知能力を魔法だと思ったらしく、憧れに瞳を輝かせていた。時を告げるフクロウの鳴き声が、私には聞こえていたのだ。
 私の魔法には魅力もあり、転校生の名前に似た登場人物が出る本を読み聞かせしたら、その児童に懐かれた。
 学校近辺で不審な事件が起きた時、その子は図書室に来て、いつもの日常が流れている空気に安堵した。「ここは安心できるね」と心の底から微笑んだ。
 何を隠そう、私のしもべである空気の黒猫が、子どもらを猫の目で観察したり、9つの命で見守ったりしていたのだ。
 魔女である私がいた図書室は、結界で守れていたから常に平穏無事であった。しかし、大人側は図書室に魔女はいらない、何でも聞いてくれる生成AIさえあればいいと私を追い払った。
 本には多くのたましいが宿っているから、魔女の霊性なる手でキチンと管理をしなければいけない。やたら、機械で扱いたがる無知が多くて困る。
 たましいの声が聞こえないのは、やかましい機械音のせいだ。高度な技術を持った科学は魔法よりも勝ると言うが、本当の魔法を知らない人間の幻想だ。
 今目の前にある物のたましいの声が、あなたには聞こえているか。魔法は常にあなたの側にある。
                  (250223 魔法)

Next