この国の魔法は、ツクモ神のような物たちの声に耳を傾けることだろう。
私が、小学校の図書館司書を務めていた頃、時間の流れをよく読み取った。そろそろチャイムが鳴ると言えば、数秒後にはチャイムの放送が流れた。当時の図書委員の児童は、目を見開いて驚いた。私の予知能力を魔法だと思ったらしく、憧れに瞳を輝かせていた。時を告げるフクロウの鳴き声が、私には聞こえていたのだ。
私の魔法には魅力もあり、転校生の名前に似た登場人物が出る本を読み聞かせしたら、その児童に懐かれた。
学校近辺で不審な事件が起きた時、その子は図書室に来て、いつもの日常が流れている空気に安堵した。「ここは安心できるね」と心の底から微笑んだ。
何を隠そう、私のしもべである空気の黒猫が、子どもらを猫の目で観察したり、9つの命で見守ったりしていたのだ。
魔女である私がいた図書室は、結界で守れていたから常に平穏無事であった。しかし、大人側は図書室に魔女はいらない、何でも聞いてくれる生成AIさえあればいいと私を追い払った。
本には多くのたましいが宿っているから、魔女の霊性なる手でキチンと管理をしなければいけない。やたら、機械で扱いたがる無知が多くて困る。
たましいの声が聞こえないのは、やかましい機械音のせいだ。高度な技術を持った科学は魔法よりも勝ると言うが、本当の魔法を知らない人間の幻想だ。
今目の前にある物のたましいの声が、あなたには聞こえているか。魔法は常にあなたの側にある。
(250223 魔法)
2/23/2025, 12:47:19 PM