夜が明けたというが、
一度も夜明けの瞬間を見たことがない。
真面目な性分かつ健康志向な人間だ。
朝の6時までぐっすりと眠っている。
暗闇を切り裂く日の光を知らずに育った
身体が大きいだけの赤子だ。
真っ暗な夢から醒めた時の感動もなければ、
いつもと変わらない平穏な風景に感心もしない。
よく寝たというが、おはようは言わない。
また朝が来てしまったといつも泣いている。
(250428 夜が明けた。)
気を抜くと、どうして私は生きているのかと疑問を持ってしまい、その疑問を解かねばならないと衝動に駆られて、心臓の鼓動が嫌にも速まっていき、身体から「安定させる」ものが、急に遠ざかって不安に宙ぶらりんとなって、どんどんと思考が奥へ奥へと沈んていっているようで、だんだんとたましいが上へ上へと浮いているような矛盾に苛まれて、このまま死んだら怖いと目の前が真っ暗になった時には、どうでもいいかとすぐに諦めてその場で呆けている。
(250427 ふとした瞬間)
どんなに人と距離を置いても、
寂しい獣になって食い散らかす姿に恥を覚えるも、
だからと言って人と接しても、
人間に近づきすぎてぬるい人肌に苛立ちを覚える。
(250426 どんなに離れていても)
私、アロマンティックなので
普通に呼んでいただけませんか。
(250425 「こっちに恋」「愛にきて」)
古書店に入って、店員に挨拶をするべきなのか迷ってしまう。特に、個人経営の古本屋は店主1人で店番をしている。店の中に入れば、嫌でも目が合ってしまう。
私は躾けのなっていない人間だから、無言で店に入る。しかも、人よりも本と交流したがる本の虫だ。古びた背表紙を向ける本に向かって、「ごきげんよう」と挨拶したい。私の霊感に反応する本はいるだろうかと本棚の間を歩きたいし、長年積み重ねた埃と沈黙を払いたい。
前世のつながりを人間よりも本に求める性分だ。ページをめくりながら、たましいの巡り逢いをしたい。
そうは言いつつも、この出逢いを与えてくれたのは古書店の店主だから、彼彼女らに敬意を込めて挨拶をするべきだろう。まあそれでも、生きている人間よりも本の世界の住人と仲良くなりたい。また古本屋に入っても店主に目もくれず、本にしか挨拶しないだろうな。
(250424 巡り逢い)