はた織

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8/12/2025, 12:43:08 PM

 かげろうの如く
 ゆらめぎてはためく
 つがいの胡蝶の
 ワルツかな
                (250812 真夏の記憶)

8/11/2025, 12:49:49 PM

    ・               た
    ・ 消           ・ と
    ・ え 煌       一 ・ え
      て び 白   こ 〇 ・  
      い や き 氷 ぼ 〇 ・  
      く か 悲 の れ マ ・  
        に 鳴 粒 て イ ・  
          は に 伸 ル    
          聞 閉 び ま    
          こ じ て で    
          え 込 干      
          ず め 上      
            ら が      
            れ っ      
            た て      
            星 も      
            屑        
            の        

      (250811 こぼれたアイスクリーム)

8/10/2025, 11:52:41 AM

 たかが焼き芋を包む茶紙だろうが、このさつまいもは、龍の鱗から生まれたものであると物語を語られたら、両手のひらで大事に包み返さずにはいられない。物語を香辛料に味わってほしいと祈る語り手のやさしさに、さつまいものとろける甘味が口内にほどけていく。
              (250810 やさしさなんて)

8/9/2025, 12:42:00 PM

 百日紅
 白き香風ぞ涼しき
 白昼夢に
 抱かれためり
                (250809 風を感じて)

8/8/2025, 12:49:34 PM

「……——だったら辞める? まーくんがお稽古楽しくないって言うなら、お母さんが迎えにいくの意味が無くなっちゃうじゃない。お母さんだって、こうして仕事終わりに迎えに来ているの。前から忙しいって言ってるのに、まったくもう暇じゃないんだから——……」
 彼の灰色の視界が徐々に滲んでいく。母親の自転車に揺られながら、ただ後部座席にもたれた。今座っているのかさえ分からないほどに、現実との感覚がかけ離れていく。もし、母親の愚痴を立ちながら聞いていたら、地面から崩れ落ちていくような錯覚を覚えたかもしれない。母親の話を背中越しで聞いているのに、つい視界を逸らしたくなる。横を向いても、風の切る音と共に、重くのしかかる呪文が片耳から入ってくる。
 自転車は未だ家に着かない。血の気のない頬に生ぬるい夏風が当たった。いつもよりも時間の進みが遅く感じる。道路の硬くゴツゴツとした無機質な振動が、彼の濡れた視界をより一層歪ませていく。目を伏せても眠気は来ない。目の前の肉壁からは、母親の匂いが全くしなかった。
                (250808 夢じゃない)

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