小学生の頃の私にとって、家の近くにある川の橋を渡るのは冒険そのものだった。ただ小学校は川の向こうにあったから、毎日のように橋を渡っていた。だが、私は十歳になっても、一人で橋を渡ることをしなかった。いつもそこを通る時は、友だちか親と一緒だった。
ある日、気まぐれか思いつきか。私は、ようやく四年生にして乗り慣れた自転車で、たった一人、学校からも家からも全く離れた見知らぬ土地に向かって走った。おそらく大きな公園だった気がするが、橋の先にあった場所をよく覚えていない。
それよりも、土手から見上げた夕陽が大変綺麗だった。自分で行先を決めた道を照らす夕陽は、本当に美しかった。今も橙に燃え上がる陽光が記憶によみがえる。
子どもの時に自分で選んだり決めたりした物事は、一生忘れられない記憶となる。選択そのものが冒険だ。大人になってからも冒険はいつでもできるが、やはり子どもの心で体験する冒険にはかなわない。
子どもの冒険は、たましいまでも揺れ動かす力強い生命があるのだから。
(250225 さぁ冒険だ)
2/25/2025, 1:49:32 PM