交際の中での体の相性は私の中では重要である。
独身で20代半ばになり、結婚を意識し始めたから尚更だ。
特にそういう行為が好きだという訳では無いが、言葉でのスキンシップより体でのスキンシップの方がより相手からの愛情や想いを伝えやすいし伝わりやすいだろうから。
それに、なんだが遺伝子的にも合ってるんじゃないだろうか?
というよく分からない根拠も私自身考えていたから。
ただ結婚を前提にお付き合いをする前に体の関係を持つような男性は高確率でダメな男達だった。
そりゃ、そうだ。
それに私自身もいい女とは言えず、どちらかと言えば“都合のいい女”になっている気がする。
どんどん過ぎていく日々。少しずつ歳をとっていく自分。
いわゆる“旬”というのは何歳まで?
焦りが思考を麻痺させる。
ぼんやりしたまま、今日の予定――街コン――
へ行くための準備をし、家を出る。
街を歩きながら、お出かけしている夫婦や家族をみると『あの人たちは相性いいのかな』ということまで考え出した。
もう末期である。
これまで何度も街コンや合コン、会員制の婚活パーティーに行ってはみたものの、ただの遊びや父親と同じ年代の男性ばかりで交際までいった人はいなかった。
街コンの受付につくと、身分証等を出し手続きをしてもらう。事前に申請していた年齢や職業が書いてある紙を渡された。その辺の集団の中に向かう。
それからはただただよくある街コンだった。
でも今回は自分より少し年上の36歳の男性と会話が弾んだ。
こんなことは初めてで、『もしかしたら…』と少し期待した。
「結婚生活の中で大切なのは何だと思う?」
と問われ、私はいつも通り
「相手を尊敬して、感謝の気持ちを忘れずに、思いやれるか」と答える。
「それは大前提として僕の中では絶対だね。…その次に重要なのは?」
どうしよう、言うべきか、仲良くなったとはいえ初対面の男性に「体の相性」なんて言ったら引かれるんじゃないか…。
「僕は体の相性だと思うな。」
どうしようと迷ってるうちに彼の方から言ってきた。
「…もしかして、君もそう考えてた?」
悪戯っぽくニヤリと笑った彼。図星の私は「まあね!」
と答える。
彼は自分で言っておきながら少し意外そうでビックリした表情をした。
「…珍しいね、引かないんだ?」
「実際私もそう思ってたし、むしろ行為なしで相手との相性確かめる方法あればいいのになーなんて思ってた」
2人顔を見合せて、はははと笑う。
「案外合うかもよ?」
「ちょっと私もそう思った」
――私たちは無事にカップル成立して、解散後もご飯を食べに行く。
更にうちとけた私たちは手を繋ぎホテル街へと足を進ませる。
別にいやらしい気持ちもなく、彼も私も“確認作業”をするだけだ。
今までの恋愛もそうだった。いいなと少しでも思った人と確認作業をした後告白したり、距離を置いたりしていた。
――今回もそれと一緒だ。
そういう行為が特に好きでもないな、と思っていても、そういう行為がなければ始まらない恋愛。
私たちは適当なホテルに入り、パネルの中で適当な部屋のボタンを押した。
『今回はどうだろう』
2人おなじことを思いながら……。
【始まりはいつも】~完~
最近は体の関係が無くてもいい(無い方がいい)という考えの人も多いですよね。子どもが欲しい時だけする“作業”という人も私の周りにはチラホラいます。時代なんですかね???
昨日で♡︎500!ありがとうございます!このアプリを始めて約1ヶ月。文才が無い中でネタが思いつかなかったり「これ出すの逆に恥ずかしい〜〜」という話まで沢山ありましたが、皆様の♡︎で自信を持つことが出来ました。今後も更新していきますので何卒よろしくお願いします✨
暑さ寒さも彼岸まで、とは言うが、今年はなかなか気温が下がらない。10月になっても夏日もそこそこある。
「明日は冷えるでしょう」
なんとなく付けたテレビの中で気象予報士が言う。
本当かどうか謎だ。
そう言った言葉に俺は何度騙されたことか。
朝は冷えたが昼間は25度近くあり、長袖を着た自分を何度
恨んだことか。
…それでもやっぱり10月である。
今度こそ信じよう。
俺はタンスの中の長袖を引っ張り出した。
翌朝とても晴れていた。カーテンを開けると光が目に入ってくる。
『夏の日差しじゃなさそうだな。』
その光は秋の太陽の光だ。
『秋晴れになるな。』
そう思った俺はふと過去の記憶が蘇る。
昔付き合っていた彼女がこう言っていた。
「秋晴れって“あきばれ”って読むよね。私の地元では訛って“あっぱれ”って言うんだよ〜」
「そうなの?」
「えへへ〜〜うそでした〜」
真面目に返した俺に、秒で嘘だと言いキャッキャと悪戯っぽく笑う彼女―――
『――って、なに思い出してんだよ、俺。』
俺は顔を洗い歯を磨き、準備していた長袖に腕を通した。
そしてリビングに置いてあるその後妻になった彼女の
小さな仏壇に手を合わせ
「いってきます」
と呟く。
玄関をガチャっとあけるとすうっとした空気が体を包む。
空もものすごく高くて、雲ひとつない。
訛りうんぬんは置いておいて、彼女の言ってたことは
なんとなく理解出来るな。
―――ああ、アッパレ、今日は秋晴れだ。
【秋晴れ】~完~
秋ってほかの季節に比べて色んな発見が多い季節ですよね。
春もあるけど、春は見つけたら「ワア!」って明るい気持ちになるけど、秋の発見は見つけてから
「ああ、今年も終わりだなあ」と寂しい感情になります。
いつも♡︎ありがとうございます!
あとちょっとで500!感謝しかありません🙏
『明日か、東北に出張行くの。東北初めて行くなあ。』
私は会社から出張を命じられ、明日から3日間仙台へ行くこととなった。
“東北”と聞いて私が真っ先に思い出すのは東日本大震災だ。
当時私は地元にいて、地震の翌日電話がかかってきたのだ。
その番号を見てドキリとする。
それは昔チャットサイトで知り合って、関西と九州という遠距離恋愛をしていた元カレの番号だったのだ。
『そういえば彼の実家は宮城県だって言ってたし、大学を卒業したら地元に帰るって言ってたな…』
私は電話をかけ直した。なかなか繋がらなかったが、何度もかけ直してやっと繋がった。
少し途切れ途切れになりながらも、相手の声が泣いて、震えているのはハッキリと分かった。
「もしもし!?ワタル?だいじょう―――」
「なんでこうな…た!!どうして!どう…て!どこ…いるのか分からないんだ」
「落ち着いて、無事なの?」
その後も彼はどうして、なんで、見つからない、友人と連絡が取れない、など
かなり錯乱しているようだった。
元カレで恋愛感情は全くないのだが、やはり人として心配だ。
彼はハァハァと息を荒らげ、喋ることをやめた。
「ワタル…?」
「…なんでお前に電話かけたか分かるか?」
急に彼のトーンが変わり、低く、冷たい声に変わる。
「どうして…?」
彼と別れたのは何年も前だ。番号は覚えていたが、連絡帳にすら登録はしていなかった。正直本当に理由が分からなかった。
「お前が!九州にいるから!なんで東北なんだよ!なんで俺のところなんだよ!お前のところがなればいいと思ったからだよ!!!」
私は言葉を失った。
なんて返せばいいのか、分からなかった。
理不尽なことを言われていても怒りが全く出てこない。
むしろ申し訳なくなったくらいだ。
テレビで見たあの映像。あんな津波がきっと彼の大切なものを沢山奪っていったのだ。
自然には勝てない。怒りのぶつけどころが分からなかったのだろう。
私はなんて答えたらいいのか、正解が全く分からない。
やっと絞り出した声で小さく
「……そっ、か…」
と言うのが精一杯だった。
言い終わるや否や、ブツリと電話が切れた。
それ以来、元カレから連絡は全くない。私からも電話をかけることは無かった。
彼が今どこで何をしているのか全く分からない。
願わくば、生きて、少しでも心の復興が進んでいるのを願うばかり。
そう願いながら、私はクローゼットからトランクを取り出した。
【忘れたくても忘れられない】~完~
実はノンフィクションです。
でも地名(九州)と名前は仮名です。
彼とは連絡が取れないままです。生きているのかどうかすら分かりません。錯乱した彼は「石巻にいるから」と震えながら言っていました。実はあの世からの電話じゃなかったのか?と友人から言われましたが、彼は生きていると信じています。
当時の私は「自分は無力だから」と思い、募金くらいしか出来ませんでした。
もっと他に出来ることがあったんじゃないかと、3月11日になると今でも後悔します。
お題からはちょっとずれて、『忘れたくないこと』ですが、
きっとこの気持ちと彼からの電話は一生忘れることはできません。
ゴワンゴワンと不思議な音が絶え間なくずっと聞こえてくる。
合間合間に女性の声も聞こえる。
それはすごく優しくて、温かくて、聞いているととても落ち着く声だ。
たまに男性の声も聞こえる。
この声も、落ち着くなあ。
でも音しか聞こえない。真っ暗闇の部屋の中でここはどこだと何度考えただろう?
何も見えない真っ暗な部屋のはずなのに、すごく落ち着くし温かい。
この部屋から出たいような、ずっとここに居たいような。
ふわふわとした不思議な感覚だ。
もうちょっと声が聞きたいなあ。話しかけてくれないかなあ?
最近ちょっと部屋が狭くなってきた。なんだか窮屈で、身動きも取りづらい。
相変わらずゴワンゴワンという音と女性の声は毎日聞こえる。
たまに男性の声も。
なんだか早く部屋から出たい気持ちが強くなってきた。
この暗闇にも飽きてきた。音と声は落ち着くけど、もっと近くで聞きたいな。
苦しい、狭い、怖い、どうしよう。
勇気をだして部屋を出ようとしたら苦しくてしょうがない。
出なきゃ良かった。いや、早く出なきゃ?どっち?
助けて、頑張る、助けて、頑張る!
後ろから強く押される。
部屋から出て行けと言わんばかりのとてつもない強い力だ。
少しずつ女性の声が近づいてくる。
男性の声も聞こえるし、他にもたくさんの声が聞こえる。
なんだか勇気がさらに湧いてきた!
なんだか行けそうな気がしてきた!
頑張る!
どれくらい時間が経っただろう?少しずつ周りの音が大きくなってきた。
そして――――
「出れた!」
と叫ぶと同時に周りの音が鮮明に聞こえてきた。
ああここが部屋の外!体が触られる感覚。
なんかゴシゴシされてる!怖い!
「離して!降ろして!あの女性の所へ行きたい!」
早く落ち着く声の元へ行きたい、
そのために勇気を振り絞って出てきたんだから。
目になにかが入ってくる。冷たい!
と思うと同時に目が開く。
「まぶしい、これがまぶしいってこと?」
大声で問いかけるとたくさんの人がワアッと声を出す。
ぼんやり見える視界の中で、唯一はっきり見えた気がする。
あぁ、この女性だ。
大好きで安心する声!
「会いたかった!会いたかったよ!」
暖かくて優しい光の中で、やっとその女性と触れ合う。
“ママ”だ!
握ったものはゴツゴツして固い指、暗い部屋で聞いてた時よりも高い声。
“パパ”だ!
最初から分かってたんだ。この2人と会うために暗い部屋の中で過ごしていたんだ。この2人だから幸せな気持ちになってたんだ。
自分だけの、あたたかい、やわらかい光。
ママ!パパ!だいすき!
【やわらかな光】~完~
何度経験しても毎回思います。
生命の神秘だ、って。人から人が産まれるって当たり前だけど全然当たり前じゃないですよね。
お腹の子が無事に産まれてくるなら自分の命はどうなったっていい。
この子だけは!この子だけは!
そんなことばかり考えてました。命懸け。
楽な出産なんてないです。
マタママの旦那さん、彼氏さん、相手をいたわって下さいね。
正直貴方に構う余裕なくて寂しいかもしれないけど、
愛する貴方のために彼女らは命張ってます。
ちなみに私はパートナーに暴言は吐かなかったようですが
小が何度も出てたみたいです。
でも恥ずかしくはありませんでした。(というかそんな余裕無い)
「何怒ってるの?」
と私はいつも言われる。でも実際その通り怒っているのは数える程しかない。
なぜこんなことをしょっちゅう言われるかというと、私は元々目付きが悪いのだ。
つり目でつり眉、基本的に口角は下がっている。
何度も言うが、怒ってる訳では無い。ただの真顔だ。
ただその顔つきのせいで離れていった人は多い。
それに話しかけてくるような人も少ない。
初対面なら尚更だ。
つまり私は友達が少ないというかほぼ居ないことだ。
“ほぼ”というのも、私に対して唯一離れない友達が1人いる。
小学校からの腐れ縁で高校まで一緒のユウマだ。
学年でも人気の彼は私に特別話しかけてくることはないが、
ほかの友人と同じように私に接してくれる。
小学校低学年の頃は昼休みなど一緒に遊んだりもしたが、高学年になるにつれて彼は男子と遊び、私は図書室に行くことが増えて接点は劇的に減った。
彼にとっては私は沢山いる女友達の中の1人でしかないが、
私の中でユウマは特別な存在だった。
それは恋愛感情などではなく、ただずっと腐れ縁が続いている唯一の友人だからだ。
「ねぇ、あんたユウマの何なの?」
前述の通りユウマは学年の中で人気だ。
ユウマの事が好きな女子は多いし、噂ではファンクラブまであると聞いたこともある。
そんな中で小学校から一緒で、陽キャグループでもないのに声をかけられる私が邪魔なのか
派手な女子から問い詰められることがまれにある。
『漫画以外でこういうことってあるんだ』
と初めて呼び出された時は恐怖もあったが、真っ先にそう思ったものだ。
私はいつも通り
「ただの友達です」
と答える。私の地味な見た目もあってか、大体
「あんたみたいなやつユウマに似合わないから話しかけないでよ。目障り」
的なことを毎回言われ、去っていく。
今回も決めゼリフのようにその言葉を言われ、彼女らは満足げに帰って行った。
『少女漫画ならここでユウマが来るんだろうな』
とは言っても現実はそんなはずはない。
私はくるりと踵を返し自分の教室まで戻って行った。
帰り道、家の最寄り駅へと向かう電車の中で偶然ユウマと会った。
はたと目があい、私は昼間のこともあってか目を逸らす。
「ねぇなんでシカトするのー」
そんな私に対してユウマは話しかける。
「ユウマのファンに話すなって言われたから。ユウマに似合わないってさ。」
「そんなの気にすんなって〜。」
ヘラリと笑うユウマの顔を見て、何も言わずまたフイッと視線を逸らす。
「あ、さっきまで拗ねてたけど、今機嫌いいっしょ?」
なぜ分かるのか。ユウマはいつも私の感情を当てる。
「そんなことない」
読まれているのがなんだか恥ずかしくてうつ向く。
「………俺、ユキの目好きだな〜。カッコイイ狼みたいでさ」
私のことをユキと名前で呼ぶのは両親とユウマくらいだ。
肉親以外で呼ばれることは無いのでちょっとくすぐったい。
「狼は初めて言われた。私の目はカッコ良くは無いけど」
「ユキはさ、自分のこと卑下しすぎでしょー?もっと自信持ったらいいのに。それに俺はユキだから話しかけてんだよ?」
私は黙った。
嬉しい気持ちの反面、ユウマが眩しすぎて返事をするとキツいことを言ってしまいそうな気がしたから。
ユウマもそんな私の気持ちが伝わったのかは知らないが、それ以上何も言ってこず、二人一緒の方向に揺られながら最寄り駅に着いた。
「これからもさ、どんな態度取られても俺はユキの友達だからな」
改札を抜けてから急に声をかけられた。
ユウマの方を見ると、真剣な眼差しだ。
『なんでそんなこと言うんだろう?』
私は彼の意図が全く分からなかった。
「??…うん…?」
ユウマは私のキョトンとした顔を見てハハッと笑った。
「分かってないの?まぁ、そりゃ、分かんないか!」
本当に分からず引き続きキョトン顔を継続する私にユウマは相変わらずニコニコと私を見つめる。
「分からないならいいや〜、とりあえず外野がなんと言おうと俺らは友達だからね〜?」
私は人の感情を読み取ることが極めて苦手だが、さすがにこの言い方は馬鹿にされてる。
ギロリと無言で睨むと、ユウマは
「その目、好きだわ〜」
と言いヘラリと笑う。
「…変態?」
そう言った時の私の目を見て、彼は嬉しそうに笑ってこう言う。
「あ、また喜んでる〜」
【鋭い眼差し】~完~
個人的に柴咲コウさんの目付き大好きです。
私自身タレ目気味なので無い物ねだりなのです…笑
いつも♡︎ありがとうございます(((o(*゚▽゚*)o)))