ホシツキ@フィクション

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暑さ寒さも彼岸まで、とは言うが、今年はなかなか気温が下がらない。10月になっても夏日もそこそこある。

「明日は冷えるでしょう」

なんとなく付けたテレビの中で気象予報士が言う。

本当かどうか謎だ。
そう言った言葉に俺は何度騙されたことか。
朝は冷えたが昼間は25度近くあり、長袖を着た自分を何度
恨んだことか。

…それでもやっぱり10月である。
今度こそ信じよう。

俺はタンスの中の長袖を引っ張り出した。

翌朝とても晴れていた。カーテンを開けると光が目に入ってくる。
『夏の日差しじゃなさそうだな。』
その光は秋の太陽の光だ。
『秋晴れになるな。』

そう思った俺はふと過去の記憶が蘇る。
昔付き合っていた彼女がこう言っていた。

「秋晴れって“あきばれ”って読むよね。私の地元では訛って“あっぱれ”って言うんだよ〜」
「そうなの?」
「えへへ〜〜うそでした〜」
真面目に返した俺に、秒で嘘だと言いキャッキャと悪戯っぽく笑う彼女―――

『――って、なに思い出してんだよ、俺。』
俺は顔を洗い歯を磨き、準備していた長袖に腕を通した。




そしてリビングに置いてあるその後妻になった彼女の
小さな仏壇に手を合わせ
「いってきます」
と呟く。

玄関をガチャっとあけるとすうっとした空気が体を包む。
空もものすごく高くて、雲ひとつない。

訛りうんぬんは置いておいて、彼女の言ってたことは
なんとなく理解出来るな。



―――ああ、アッパレ、今日は秋晴れだ。

【秋晴れ】~完~


秋ってほかの季節に比べて色んな発見が多い季節ですよね。
春もあるけど、春は見つけたら「ワア!」って明るい気持ちになるけど、秋の発見は見つけてから
「ああ、今年も終わりだなあ」と寂しい感情になります。

いつも♡︎ありがとうございます!
あとちょっとで500!感謝しかありません🙏

10/18/2022, 6:34:07 PM