ホシツキ@フィクション

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9/15/2022, 12:43:47 PM

バーで知り合った彼と友達になってから、たまにLINEが来るようになった。

“今日は流星群みたいですよ。”


正直私は元旦那に不倫されたせいで、まだ男性を信じれないでいる。
ただ彼からの真っ直ぐな好意が寄せられてるLINEがとても心地よく感じてしまってるのも事実だ。実際、LINEが来ない日は少し寂しいし既読がついたか確認してしまうことが増えた。

『最低だなあ、彼に甘えてる…』

最低と分かりつつも返信をする。

“曇ってますね…見れたらいいんですけど…”

ピロン、と通知音が部屋に響く

“もし雲が晴れて流星群見えたら、今度デートしてくれませんか?”

見た瞬間、心臓が止まるかと思った。今まで当たり障りないLINEだったのに、こんなに積極的なLINEは初めてだ。

『でも、少し羨ましいな。彼も元奥さんから裏切られたのに、前を向いてる…。』

スマホで天気を確認すると、朝まで曇りのマークが続いていた。
『まぁ、見えないだろうな。』
羨ましさからの妬みなのか何なのかは分からないが、私はちょっと意地悪な気持ちになって

“いいですよ”

と送った。既読はすぐについたが、返事はなかなか来なかった。

ピロン

私が送ってから1時間後に通知が来た。
“1番見える時間になりましたが、曇ってますね…”

思わず私もベランダに出て空を見上げる。
『ほんとだ。曇ってる。』

ヒュウっと冷たい風が頬を撫でる。
それがなんだか彼の寂しさと落胆が混じった気持ちを届けてきたように感じた。

例えばだが、“僕のところは見えましたよ”というLINEを送ったら私とデートが出来るというのに、嘘がつけないんだろうな。
ふふっと口角が上がってしまった。

それでも、約束は約束である。頑固と言われようが、それとこれとは別だし、同情でOKを出したところで彼も喜ばないだろう。


部屋に戻り、電気を消して布団に潜る。―――明日も仕事だ。


ピロン

ウトウトとしだした頃、LINEが来た。
“見えました!”

一気に目が覚めて、疑いつつもカーテンを開けて空を見上げる。

『…ほんとだ』

1番見える時間は過ぎたというのに、沢山の流星群が降って来ていた。

“見えましたね!
じゃあ、約束通り遊びに行きましょう”

そう送ると同時に、びゅう、とさっきよりも冷たく強い風が吹いた。
さっきよりも冷たいのに、寂しさは感じなかった。
むしろ彼の喜びを運んできたように感じた。

思わず頬を触ると、火照っていた。
心臓もドキドキしている。

『何でだろう』

そんなの答えは分かっているのに、私は気づかないフリをした。



どこに行こうか、楽しみだな…
デートの約束をする【君からのLINE】が楽しみだ。


第4話【君からのLINE】~完~


私自身LINEの通知は99+となっております。
内訳は9割公式LINEです。残り1割は家族です。
……別に寂しくなんてないです泣

第1話から続いています。お題を使った短編形式です。
良ければ見てってください。

このシリーズそろそろ終わるかも…?(お題次第ですが)
そしていつも♡︎ありがとうございます!
思ってる以上に♡︎頂けて、本当に嬉しいです!

9/14/2022, 11:42:57 AM

今思えば僕は親の言われるままに生きてきた。
幼稚園の受験から就職までずっとだ。

頭ごなしに叱り、遊ぶ友達から全て親が管理してきた。
もちろん恋愛なんて以ての外。好きな人が出来たことはあるが、彼女が出来たことは無い。

いつしかそんな親に嫌気がさしながらも
自分で決めて行動することが億劫になっていた。

就職してからしばらくして、親が縁談を持ってきた。
相手はとある大企業の社長の三女らしい。
「この子、貴方にお似合いだと思うわ。どうかしら?」
母親が嬉々として話しかけてくる。

最初から、僕に拒否権なんてないけど。

「美人な人だね。」
「そうでしょ!?なら、話進めとくわね〜」
「分かった。」

母親はパタパタと嬉しそうな足音で電話へと向かっていった。

はぁ、と母親に聞こえないようにため息をつく。
こうして僕の人生は決められて進んでいくのだろう。

『まぁ……もう諦めたし…』

そうして僕は、親に言われるがまま好きでもない女性と結婚した。



――――その日は突然やってきた。
自分が1番に可愛がっていた部下が結婚式をすると報告してきた。
昼休憩は部下の惚気に付き合わされっぱなしだった。

『総務部の女の子とデキてる噂があったけど、ただの噂だったのか。』

結婚式当日、惚気で聞いた通り部下の奥さんは可愛かった。
いや、可愛すぎた。一目惚れとはこういうことなのだろうか?

世界がモノクロで、彼女だけが色付いていた。
『ダメだ。僕には妻がいて、花嫁は部下の奥さんだぞ!?見るな、諦めろ…!』

ブブブ、とポケットでスマホが震えた。ハッとなり見ると妻からメッセージが届いていた。

“今夜友達とディナー行くからご飯は外で適当に食べてね。もしかしたらそのまま女子会して帰らないかも〜”

“分かった。”と返事をしてスマホをポケットに突っ込む。

『部下の奥さんに惚れるなんて、好きだなんて感情は持ってはいけない。当たり前じゃないか。』

――そう、僕はこのまま、両親と妻からの言葉に“分かった”を言う人生なのだ。僕の【命が燃え尽きるまで】

さぁ、忘れよう。今までしてきたみたいに。

自分の心臓の音をかき消すように、誰よりも大きく拍手をした。


手のひらよりも、心が痛かった。


第3話【命が燃え尽きるまで】~完~





私自身は親の言う通りに生きてこなかったタイプです。
(親は高圧的で言う通りにさせたがっていましたが笑)
今ではパートナーから「絶対意見変えないし頑固だよね笑」と言われます。
幼少期から反発しまくるのも考えものですね。笑
とりあえず命が燃え尽きるまで頑固でいます。

※第1話からお題に沿って短編形式で物語を書いてます。良ければ見ていただけたら幸いです。
いつも♡︎ありがとうございます。つたない文章ですが頑張ります。

9/13/2022, 12:15:09 PM

空が白ばんできた午前3時半。
アタシはヨレヨレのスウェットを着ている。
スヤスヤと寝息を立てている息子。

『4時間抱っこして、やっと寝たよ…』

アタシはベランダに出てタバコに火をつけた。

息を吸い、フゥーっと思いっきり吐く。
1口目は肺に入れずにふかすのがアタシの決まり。

寝た方がいいのは分かっているが、ひと仕事終えた後のタバコがたまらなく好きだ。

『夜泣き、今日も凄かったな。』

アタシは所謂できちゃった婚だ。
それも、不倫の末の略奪婚だった。
両親はもちろん大反対し、結婚するなら勘当だと言われた。
売り言葉に買い言葉、アタシはカバンひとつでお腹をさすりながら家を飛び出して行った。

不倫だったが、付き合っていた時はまだ良かった。
彼はとても優しくて、容姿も文句なし。清潔感のある爽やかなイケメンだった。
隣を歩いているだけでアタシは何だか誇らしくなった。


スヤスヤ眠る息子は本当に、可愛い。
いつもその横でイビキをかいている旦那をチラリと見て、嫌悪感を抱いていた。

『アナタの子なのに…』

――旦那はお腹の中の子が男の子だと分かると、明らかに落胆していた。
それに立ち会いができないご時世だからか、父親になったという自覚が全くと言っていいほど無い。

「うわあ!ほんとサルだな!」

ハハハと大きな声で笑っていた。
第一声のそれを聞いた瞬間サーっと冷めた。


旦那は変わってしまった。いや、元々そういう男だったのかもしれない。
清潔感はどこへやら。

シワひとつ無かったワイシャツはシワだらけでも気にしない。
マスクが当たり前になった時代だからか、歯も磨かない日もある。
アイロンに関してはアタシがすればいいだけかもしれないが、子育てワンオペの現状、そんな余裕は無い。



―――旦那の元嫁には1度だけ会ったことがある。
旦那と元嫁の離婚に関して、慰謝料やらなんやらで弁護士事務所に行った時だ。
サラサラのショートヘア、黒髪で、スタイルも良く、泣いたのか、少し腫れぼったいタレ目と話した時にチラリと見える八重歯が印象的だった。
略奪しておきながらも『なんでこんな可愛い嫁がいるのに』と思ってしまったほどだった。

『アタシもいつか、浮気されるのかな。』

正直どうでも良かった。息子さえいればいい。

チリッとタバコが焼ける音がした。
夜明け前の少し冷たい風に、ゆらゆらと流されるままのタバコの煙を見て『アタシみたい。』と思った。

流されるままに生きてきた。不倫し、妊娠した上の略奪婚。
世間から煙たがられ、いつかは消えていくのだろう。

「ほんと、全部アタシたちが招いたこと。……ばかみたい。」


アタシの夜が明けることはないだろう。

今、願わくば、【夜明け前】が続いて欲しい。
もうすぐ明けると希望を抱きたい。

登ってきた朝日を見ながら消えていく煙になりたい。

第2話 【夜明け前】~完~




自分にはこの先明るい未来は無いと分かっているのですね。
不倫はよくない!ダメ絶対!

初見でもなるべく分かるように、お題に沿った短編形式にしてます。
第1話と続いているので良ければぜひそちらも見て下さいm(_ _)m
♡︎ありがとうございます。またあなたの目に止まりますように。

9/12/2022, 1:53:04 PM

私はバツイチだ。
今の世の中、バツイチなんてよくある話だろう。
結婚したのはまだ若い20歳の頃、2年付き合った彼と結婚をした。
このまま彼と生涯を共に過ごすんだ、と当たり前のように思っていた。


ただ夫はそう思っていなかったようだ。

結婚して半年後、夫の不倫が発覚。と同時に相手が妊娠していることを告げられた。
その後のことはあまりよく覚えていないが、無事に私はおひとり様となった。

―――もう誰も信じない、愛さない。

そう思いながら仕事をして、酒を飲み、たまに1晩限りの関係を楽しむ生活をしていた。

その日もいつも通り行きつけのバーに行った。いつも私が座っている席に、男が座っている。
『まぁ、いっか。』
男の隣に座り「いつもの」とマスターに言う。
結婚生活中は酒は飲んでいなかったが、離婚してからお酒を飲むようになった。今では「いつもの」を頼めるくらいになっている。

チラリと横目で男を見ると、30代くらいのサラリーマン。
アイロンがかけてある綺麗なワイシャツ。
『あぁ、良い奥さんがいるんだろうな。……私も…。』
1晩限りの関係を楽しむ私でも、ルールがひとつある。それは

“既婚者とはしないこと”

『この人とは無理か。…でも、でも、』
何故か目が離せない。容姿は普通の人なのに、何故か気になって仕方がない。
ふ、と目が合った。
「なにか?」
低く響く、冷たいような、でも甘い声。
「いえ、素敵だなって」

ハッと我に返る。
『何を言っているの?こんな返しなんて、ナンパだと思われちゃうじゃない!』

男はクスッと笑ってこう言った。
「あの、貴女と、どこかで会った気がするのですが…」
「え?私と?」
「ええ、気のせいかもしれませんが…」
「ふふっ、多分、気のせいですよ」

その後も話をしてみると、とても話が弾んだ。趣味や好きな映画のジャンルも一緒。休日の過ごし方も似ていた。
そして彼もバツイチだった。元奥さんの不倫と、金遣いの荒さが原因らしい。
最近離婚したのか、薬指の指輪がはめてあったろう場所が少し凹んでいた。
「離婚して、久しぶりにお酒でも飲んでみようかと初めてこの店に来ましたが、来てよかった。」
『本当に似てるなあ…もし運命の赤い糸なんてものがあると私が信じていたら、こういうので好きになるんだろうな。』

「僕は運命って信じてるんですよ。」

心が読まれた気がした。彼も同じようなことを考えていたのだろう。
「運命…ですか?」
「そう。貴女は信じてないですか?」
「ええ。神様なんかに決められて、あんな裏切りされるだなんて……私という人間が運命に操られて、自我が無いような気がしてしまうんです。」
「なるほど。そう考えると、そう思いますね。でも僕は――」
「酔ってしまったみたいです。終電もそろそろですし、私、帰りますね。楽しかったです、ありがとうございました。」
彼は黙り込んでしまった。
『これ以上いたら、この人と“運命”で流されそうになる。もう私は誰も信じないと決めたんだから…』

お会計を済まし、財布をカバンにしまう。
『もう会えないかもしれないけど…』

「待って!」
顔を上げ、彼を見る。

本気の顔をしていた。真っ直ぐで、芯のある目。バーの照明で潤んでるようにも見えた。

「好きだったんです」
「…え?」
「実は貴女と会ったのは2度目なんです…部下の嫁さんだったから、諦めようとしたんだけど…」

彼は結婚式に来ていたらしい。そこで私に一目惚れしたようだけど、自分には奥さんがいたからその気持ちを殺して生きてきた。
だがその後偶然元奥さんのお金の使い込みと不倫が発覚し、離婚に至った――という訳だ。

「本気、なんです…信じてもらえないかもしれないけど」
続けて、
「友達からでも、いいので…」
と消え入りそうな声で呟く。

私は心の中で大きなため息をついた。

こんなに一生懸命愛を伝えてくるなんて…

もしかしたら私は話している時、いや、初めて目を奪われた時から恋に落ちていたのかもしれない。

分からない、けど…


「…はい、よろしくお願いします。」
ぱあっと明るくなった彼の表情はとても素敵だった。

彼にとっての【本気の恋】に、私の運命を預けてみてもいいかもな。


チリン、といつもにも増して明るく聞こえるベルを聞きながら店を出た。


火照った顔で見上げた夜空の月は美しかった。

第1話 【本気の恋】~完~


お題に合わせてこの2人やその周辺の話を書いていこうと思います。よろしくお願いします。
♡︎8ありがとうございます。励みになります。