ホシツキ@フィクション

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今思えば僕は親の言われるままに生きてきた。
幼稚園の受験から就職までずっとだ。

頭ごなしに叱り、遊ぶ友達から全て親が管理してきた。
もちろん恋愛なんて以ての外。好きな人が出来たことはあるが、彼女が出来たことは無い。

いつしかそんな親に嫌気がさしながらも
自分で決めて行動することが億劫になっていた。

就職してからしばらくして、親が縁談を持ってきた。
相手はとある大企業の社長の三女らしい。
「この子、貴方にお似合いだと思うわ。どうかしら?」
母親が嬉々として話しかけてくる。

最初から、僕に拒否権なんてないけど。

「美人な人だね。」
「そうでしょ!?なら、話進めとくわね〜」
「分かった。」

母親はパタパタと嬉しそうな足音で電話へと向かっていった。

はぁ、と母親に聞こえないようにため息をつく。
こうして僕の人生は決められて進んでいくのだろう。

『まぁ……もう諦めたし…』

そうして僕は、親に言われるがまま好きでもない女性と結婚した。



――――その日は突然やってきた。
自分が1番に可愛がっていた部下が結婚式をすると報告してきた。
昼休憩は部下の惚気に付き合わされっぱなしだった。

『総務部の女の子とデキてる噂があったけど、ただの噂だったのか。』

結婚式当日、惚気で聞いた通り部下の奥さんは可愛かった。
いや、可愛すぎた。一目惚れとはこういうことなのだろうか?

世界がモノクロで、彼女だけが色付いていた。
『ダメだ。僕には妻がいて、花嫁は部下の奥さんだぞ!?見るな、諦めろ…!』

ブブブ、とポケットでスマホが震えた。ハッとなり見ると妻からメッセージが届いていた。

“今夜友達とディナー行くからご飯は外で適当に食べてね。もしかしたらそのまま女子会して帰らないかも〜”

“分かった。”と返事をしてスマホをポケットに突っ込む。

『部下の奥さんに惚れるなんて、好きだなんて感情は持ってはいけない。当たり前じゃないか。』

――そう、僕はこのまま、両親と妻からの言葉に“分かった”を言う人生なのだ。僕の【命が燃え尽きるまで】

さぁ、忘れよう。今までしてきたみたいに。

自分の心臓の音をかき消すように、誰よりも大きく拍手をした。


手のひらよりも、心が痛かった。


第3話【命が燃え尽きるまで】~完~





私自身は親の言う通りに生きてこなかったタイプです。
(親は高圧的で言う通りにさせたがっていましたが笑)
今ではパートナーから「絶対意見変えないし頑固だよね笑」と言われます。
幼少期から反発しまくるのも考えものですね。笑
とりあえず命が燃え尽きるまで頑固でいます。

※第1話からお題に沿って短編形式で物語を書いてます。良ければ見ていただけたら幸いです。
いつも♡︎ありがとうございます。つたない文章ですが頑張ります。

9/14/2022, 11:42:57 AM