白蓮

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6/7/2024, 2:25:03 PM

世界の終わりに君とやりたいこと、
たくさん思いつくなぁ。

いつもみたいにゲームして、
パッキンアイスの別々の味同士を交換して、
風呂上がりに髪乾かすの面倒だって駄弁って、
そうして布団に入るんだ。

最後に「おやすみ」って言いたいのに、
視界が滲んでいくばかりで、
どうしようもない現実から
いよいよ目を逸らせなくなって。

それでも、もうすぐ終わるこの世界を
甘んじて受け入れるしかなくって。

もう人生やめてしまいたいなって
思ったこともあるけど、
結局こうして生きていること。

君が僕にくれた数え切れないほどの笑顔と、
暖かな思い出。

記憶と一緒に溢れ出る涙が止まらないんだ。

最後の言葉はどうしたっけな。

「世界、救ってみない?」
そう君が言っていた気がするけれど、
夢だったのかもしれない。

でもまだ「おやすみ」って、言ってないはずなんだ。

手に触れる君の体温が消えていかないのは、
きっとそういうことなんだと思う。

「うん」

きっと、そう返せていたんだ。

12/17/2023, 2:57:49 PM

とりとめもない話をできていた時間が、
いちばん幸せだったなあ。

君は遠くに行ってしまって、
僕だけがここに取り残された。

今じゃ、君に話しかけることすら叶わないんだね。

勤勉な君はきっと僕とは、
元々生きる世界が違ったんだろう、なのに、
僕が期待してしまったから。

天性のスターみたいな君の隣に、
いつまでも立てると思ってしまったから。


既読のつかないメッセージを片目に
通話ボタンへと向かわせていた指をはたと止める。
そして、

「メッセージを取り消しますか?」


多分これで、良かったんだ。

あの日、君の真面目さに軽蔑の目を向けた時から、
道は分かれてしまっていたのだろう。

僕は本当に君が好きだったんだろうか?

ただ、君になりたかったんじゃないのか。

僕は落ちぶれてしまった。
戻ることのない過去と
未来の幻想に縋り続けることしかできなくなった。

だから、羨ましいけれど、妬ましいけれど、
僕はやっぱり君を、あなたを、尊敬しています。

僕があなたの人生の汚点になりませんように。

10/30/2023, 8:04:36 AM

私の人生にも、もう一つの物語があったら?

私はどうなっているだろう。

運動が得意かな?友達100人いるかな?それとも男の子に生まれているかも?

もしかしたら鏡の向こうの世界とか、夢の世界とかもあるかもしれないね!

そうだとしたら面白いよね!
ね、私。

私の体は相槌の代わりに、頭を撫でてくれた。

ふふ、ありがとう、大切な私の体。

8/30/2023, 11:49:16 AM

香りを纏う。

わたしの周りに、
わたしの香りの空気が揺れる。

爽やかさ、甘酸っぱさ、強烈さ、柔らかさ。

だれかが、わたしの香りを見つけてくれる。
どこかで、わたしの存在を見つけてくれる。

その一瞬だけでも、
わたしは誰かの中で生きている。

毎日会うあの高校生に、駅員さんに、眼鏡の彼に。

わたしが生きられる場所を、
少しだけ、貸してほしいのです。

8/9/2023, 7:20:06 AM

蝶よ花よ、そう言って人を愛でるのは、
蝶が花の周りを舞っている様を
美しいと感じるからだ。
電気屋のテレビに写っているような花畑なんかは
その例だろう。

では、蛾よ草よ、と言うとどうだろう。
似た形をしていても、全くの別物になる。
手入れのされていない林などを思い浮かべてしまう。

「少年の日の思い出」に出てくる
クジャクヤママユは珍しい蝶だと名高いが、
その実、蛾である。
そう聞くと途端に美しくなくなったような気がする。

私の頭の中の蝶は、リアルな生物の姿ではなく、
"美しい"の象徴として存在しているのかもしれない。

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