白蓮

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6/23/2024, 4:33:26 PM

子供の頃は……
この言葉は呪いであり、救いであった。

今が辛ければ辛いほど、昔の輝きは胸を締め付ける。
今が幸せであればあるほど、
それは甘く美しい思い出となる。

子供時代を再び望んでしまうのは、
きっと子供でなくなってしまった証拠なのだろう、
それがとてつもなく悲しい。

しかし、そう思うのは、
それだけ過ごした時間が素晴らしかったからなのだ。
そしてきっと、あと何年かすれば、
今この時でさえ戻りたい基点に変わる。

だから今感じているはずの、見えない幸せに
少し耳を傾けてやるのもいいかもしれない。

過去の断片を心に置いておくことは
罪ではないのだから。

6/20/2024, 10:51:13 AM

相合傘をして、帰った。
なんてことはない、友達と。

傘を忘れたから入れてほしいと頼まれ、
断る理由もなく。

人の少ない道を、二人、他愛のない話をしながら。
聞こえるのは雨の音と少し遠くの車の音と、
二人の足音だけだった。

隣を見れば、視界があなたと、私の傘だけで埋まる。
淡いピンクなんて、普段のあなたは持ってない色。
私の世界に閉じ込めてしまったよう、という言葉が
ふと頭をよぎって、慌てて前を向いた。
まるで、何かを取り繕うみたいに。

相合傘なんて、別に、どうってことないのに。

どうってことなかったはずなのに。

二人分の足跡が、
水たまりの上に残ったままのような気がした、
そんな日だった。

6/7/2024, 2:25:03 PM

世界の終わりに君とやりたいこと、
たくさん思いつくなぁ。

いつもみたいにゲームして、
パッキンアイスの別々の味同士を交換して、
風呂上がりに髪乾かすの面倒だって駄弁って、
そうして布団に入るんだ。

最後に「おやすみ」って言いたいのに、
視界が滲んでいくばかりで、
どうしようもない現実から
いよいよ目を逸らせなくなって。

それでも、もうすぐ終わるこの世界を
甘んじて受け入れるしかなくって。

もう人生やめてしまいたいなって
思ったこともあるけど、
結局こうして生きていること。

君が僕にくれた数え切れないほどの笑顔と、
暖かな思い出。

記憶と一緒に溢れ出る涙が止まらないんだ。

最後の言葉はどうしたっけな。

「世界、救ってみない?」
そう君が言っていた気がするけれど、
夢だったのかもしれない。

でもまだ「おやすみ」って、言ってないはずなんだ。

手に触れる君の体温が消えていかないのは、
きっとそういうことなんだと思う。

「うん」

きっと、そう返せていたんだ。

12/17/2023, 2:57:49 PM

とりとめもない話をできていた時間が、
いちばん幸せだったなあ。

君は遠くに行ってしまって、
僕だけがここに取り残された。

今じゃ、用事があっても
君に話しかけることすら叶わないんだね。

勤勉な君はきっと僕とは、
元々生きる世界が違ったんだろう、なのに、
僕が期待してしまったから。

天性のスターみたいな君の隣に、
いつまでも立てると思ってしまったから。


既読のつかないメッセージを片目に
通話ボタンへと向かわせていた指をはたと止める。
そして、

「メッセージを取り消しますか?」


多分これで、良かったんだ。

あの日、君の真面目さに軽蔑の目を向けた時から、
僕は分かれ道を進んでしまっていたのだろう。

僕は本当に君が好きだったんだろうか?

ただ、君になりたかったんじゃないのか。

僕は落ちぶれてしまった。
戻ることのない過去と
未来の幻想に縋り続けることしかできなくなった。

だから、羨ましいけれど、妬ましいけれど、
僕はやっぱり君を、あなたを、尊敬しています。

僕があなたの人生の汚点になりませんように。

10/30/2023, 8:04:36 AM

私の人生にも、もう一つの物語があったら?

私はどうなっているだろう。

運動が得意かな?友達100人いるかな?それとも男の子に生まれているかも?

もしかしたら鏡の向こうの世界とか、夢の世界とかもあるかもしれないね!

そうだとしたら面白いよね!
ね、私。

私の体は相槌の代わりに、頭を撫でてくれた。

ふふ、ありがとう、大切な私の体。

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