あなたがすき

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10/19/2024, 12:06:57 PM

尊い父には聞けない精神の誤りを、
ただあなたに拒絶して欲しかっただけだ。
言いたい事が喉に詰まって吐き出せない。
当たり前に享受していた平穏はいつの間にか遠くなって、終わりを求めてしまうほど耐えられない。
あなたに誠実であることに固執しすぎている。
歯車の油はあなたの寛容だった。
ボタンの掛け違いは掛け終わらなければ気付かなかった。
あなたの全てを肯定していたかったけれど。
わたしの全てが間違っていたわけではないんだろうけど。
すれ違うのは私の心だ。
許されたいわけでもなかった。


そうであると告げた瞬間、目の前の人間がまるで同じだとは受け入れがたくなるでしょうから。



最近はずいぶん少数派にも寛容になっていますが、しかしそれを打ち明けるのはなんだか違うような気がしています。誰に許されずともそれは間違いなく自身です。だから急き立てられるように告げるのでなく、まず自分を認めたい。
「すれ違う」とは、途中からではなく、初めから全く逸れていることでもあると考えています。深くを知らない心のように。

すれ違う

10/18/2024, 11:12:25 AM

失っていく切なさを例うなら、きっと秋晴れ。

ゆっくり、ゆっくりと変わっていく。
ふと視界の隅で落ちた葉が、いつの間にか赤く染まっていることに気がついたりする。
よくよく目を凝らすと生き物たちの姿は影を潜めていて、おや全く見当たらないぞと心配すれば鈴虫が鳴いていることもままある。夏の涼しさを嘯く風鈴の音よりも真実澄み渡っている風の、なんと心地の良いこと。しかし夏のむせ返るようなじっとりした暑さも、過ぎてみれば案外恋しかったりもした。
秋は、なんだか寂しくて恐ろしい。
また来ると分かっていても、萎んでいく命が。
潤いを失った景色すべてが死んでいく季節のようだ。
命の違いをまざまざと思い知らされる季節。
置いていかれる季節。
そうして死の気配を呼びながらもまだ生きながらえようと足掻くように、空はまったく綺麗で仕方がないのだ。
それは切なくて寂しくて恐ろしくて、酷く美しい。
美しさは退廃と共にあるように、きっと秋には切なさが重要なのだ。それがなければ、とても死にきれないのだろう。
何もかも失っていくのにそれでも空だけは同じ色。
季節の死を養分に、秋晴れは咲く。



秋晴れ

10/17/2024, 10:47:42 AM

全部、つもりでしかなかった。
好きなつもり。愛しているつもり。
そうして置いて行かれる私の記憶すらも遠く風下へ。

好きなもの、嫌いなもの、流行っているもの。
それらを追ううちに本当に好きなものは一体なんなのか、思い出せなくなって、私は偽物なのではないかと疑ってしまうような心苦しさがありました。
学生、社会人、集めているもの、何かのファンでいること。
そういうバッチを外した時、私はそこに存在しているだろうか。何かに所属していないと存在できないことに恥入ります。きっとスワンプマンみたいな人生です。誰かの劣化版でしかない人生です。そういう風に歩いています。
本当の私を忘れればもっと楽に生きられるはずだけれど、私は少しだけ、私のことが好きだから忘れられないでいます。

忘れたくても忘れられない

10/16/2024, 11:40:58 AM

目を開けないまま色を知る
それはいっとう美しい命の輝き
照さずとも見える砂浜みたいな愛しい光
目蓋の裏に映る景色全てが私のもの
わたしだけの、やわらかなひかり



どうやら自分自身の命が、私を照らし続けているようだ

やわらかな光

10/15/2024, 11:01:46 AM

夢から覚めても夢
鋭い眼差しの向こう側
遠くで破裂した火の花を描く
鋭い眼差しの向こう側
水面に映る月より遠かった
鋭い眼差しに蝉騒 耳鳴のような
真暗の彼方で燃える花
こぼれ落ちる水滴ひとつひとつが月のかけら
それは言葉よりも尖った刃の切先
いつか覚めるなら夢




はたして本当に目覚めているのかがわからないのだ。


鋭い眼差し

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