マクラ

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5/17/2024, 12:40:14 PM

『真夜中』

子どもが体調不良のため、しばし不定期になります。
もし楽しみにしてくださってる方がいたら、申し訳ありません。

5/15/2024, 1:49:36 PM

『後悔』

私は、後悔した。

「頑張れ、もう少しだぞ」
「はぁ……はぁ……」

息が上がって、言葉を返す気力もない。
ただ、目の前の道を一歩一歩足を動かすしか出来ない。
私は後悔していた。
やっぱりさっきの分かれ道、頂上まで最短コースのこっちじゃなくてちょっと回り道だけど傾斜の楽な道に
すれば良かった。

「ちょっと休もうか」
「ん……」

座れそうな大きな岩に寄りかかって水を飲む。
少しだけ、息が整った。
足はもう棒のようだけど。
そもそも山登り初心者なのに、見栄をはって中級者向けコースなど選んだ自分が憎らしい。
大人しく初心者向けのもっと低い山にしておけば良かったのに。

「おーい、大丈夫かー?」
「うん、ちょっと回復した」

そしてまた歩き出す。
私の前を軽い足取りで歩く、余裕そうなアイツが恨めしい。
そもそもアイツが山登りなんて誘ってくるのが悪い。
なんでデートで登山なんて選ぶのよ。
そしてなんで私もOKしちゃったのか。
いくらアイツの顔に弱くても、断るとこはしっかり断るべきだった。
というか、アイツはお荷物な私と一緒で楽しいのか。
こんなに歩けないとは思わなかった、自分のペースで歩けなくてツライとか、それがもとで嫌われちゃったらどうしよう。
ちょっと視界が滲んできたけれど、汗を拭うふりしてなかったことにした。

「もうちょっとだからな、あと一息だ」
「……はぁ……はぁ」

振り向いて笑顔を見せるアイツへ、言葉の変わりに頷きを返す。
そもそもインドア趣味の私と、アウトドア趣味のアイツが付き合うのも無理があったんだ、きっと。
告白されて浮かれて、深く考えずにOKしなければ良かった。
あの笑顔を時々見れる、友だちのままの方が良かったのかもしれない。

「ついたぞー」
「……あ」

眼下に広がる優大な景色。
私のちっぽけな悩みなんて、吹き飛んでしまうくらいの感動だ。

「この景色、見せたくてさ」

アイツが照れながら言う。
確かにきっと私一人で生きてたら、見ることのなかった景色だろう。

「ありがと……」
「おぅ」

ここまで連れてきてくれたこと、私を選んでくれたこと。
全部にお礼を言いたい。

「さて昼飯食って、下山のエネルギー補給だ」
「えー……」

そうだった。
登ったら降りなきゃいけないんだった。
今まで登ってきた道が頭の中を巡る。
私は、後悔した。

5/15/2024, 6:03:27 AM

『風に身をまかせ』

風に身をまかせてみる。
なんて、言い訳。

「……っ」

風に煽られて、貴方の肩へぶつかる。
指先がからまった。
貴方は私の方を見ずに顔を赤くしている。
そっと顔をのぞき込もうとしたら、そらされてしまった。

「風が強くて、ごめんね」
「……あぁ」

そっと離そうとしたら、思ったよりも強い力で手を握られた。
見ても顔はそらされたまま、耳まで赤いのが見えた。
きっと私の顔も貴方と同じくらい、赤くなっているかもしれない。

「なんだか今日は暑いね」
「そうだな」

いつもは他愛ない会話がぽんぽん弾むのに、今日はなんだか沈黙が多い。
きっと酸素が薄いんだ、ドキドキ心臓がうるさい。

「少し涼しくするために水のでも呼ぶ?」

私は貴方の返事も待たずに水精霊を呼び出して、涼しくするようお願いする。
それなのに水精霊に、涼しくするのは無理だと断られる。

「だって風のも火のもいるから暑いのはしょうがないのよ」
「え、あ、ちょっ」

慌てて口を塞ごうとしたけれど、遅かった。
全て水精霊にバラされてしまった。

「道理で暑い訳だ」

貴方も赤い顔で汗をかきつつ水精霊と話しだす。

「あ、その……えと」

風も暑さも全部私の仕組んだことだと貴方にバレてしまった。
私は言い訳も出来ずにうつむく。
それでも繋がれたままの手が、いっそう強く握られた。

「……っ!」

この熱はきっと火精霊のせいじゃないよね?


5/14/2024, 5:59:11 AM

『失われた時間』

後日かきます。
すみません。

5/13/2024, 5:12:07 AM

『子供のままで』

「いつまでも子供のままではいられないわ」

彼女は涙を零しながら、そう言った。

「そうだね、誰しも皆いつか大人になるね」
「そうでしょう?」

私は彼女の涙を優しく拭う。
彼女は最近ずっとそうやって大人になりたがる。

「でもそれは今じゃないんだよ」
「どうしてっ……!」

その言葉に彼女はまた顔を歪めて、ポロポロと大粒の涙を零した。
私は小さくため息をつきながら考える。
どうしたら彼女が納得してくれるのかを。

「君はまだまだ子供でいいんだよ」
「お待たせしましたニャン」

そこへ猫型ロボットが彼女の注文したお子様ランチを運んできた。
彼女はそれに瞳をキラキラさせている。
涙はいつの間にかとまったようだ。

「さあ、めしあがれ」
「いただきます!」

そこにはもう大人になりたがる彼女はおらず、お子様ランチに瞳を輝かせる3歳の小さな女の子だけがいた。

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