I'll write it later.
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私が魔王に命がけの仇討ちを挑む旅に出て、既に5年がたっていた。お金を稼ぎ、武器や装備を手に入れるのと平行して武闘家に頼み込み最低限の武術を習得するため訓練と体力作りに明け暮れた。
旅先の見知らぬ人にまで「年頃の娘が」とか「俺が魔王を倒してやるから嫁になれ」とかふざけたことを言われたが、そういう奴に限って未熟者の私でも簡単に倒せたので、気にはならなかった。
「一矢報いるどころか近寄れもしまい。」師匠はそう言って、嵐がこようと訓練を休ませてはくれなかったし、私も当然だと思って日々の鍛錬に励んだ。
父さん、母さん、もう少し待ってて。
たとえ魔王に殺されたって、父さん母さんの悲しみと私の悲しさを魔王にわからせてやるんだから。
お題「嵐が来ようとも」
I'll write it later.
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⚠️Warning
20歳未満の飲酒は法律で禁じられています
2人で来る初めての夏祭り。
僕はシャツにジーンズといういつもの格好だけど、ヒカルはなんと浴衣で来た。
「お祭りとか、僕、子供の時以来でさ、ましてその…デートでしょ?嬉しくてさ張り切っちゃったよ。おかしい?似合わない?」
「おかしくないし、似合ってる。」僕が答えるとヒカルは安堵した顔をした。
似合うどころか。
紺の浴衣からのぞく白い首筋が…。
ヒカルの耳元に「めっちゃエロカワ」とささやくと、すぐにヒカルの耳と首筋が紅潮した。
夜店を見て回り、しばらくすると「ごめん、履き慣れない下駄でちょっと疲れた。」とヒカルが言った。
「わかった。気付けなくてごめん。ちょっとそこに座ってて何か飲み物買ってくる。」僕が言うと、ヒカルは「助かる」と言って石段に腰掛けた。
「さて」夜店の間を戻りつつ飲み物を探していると、ペットボトル飲料とともに、ビールが売っていた。
店のお兄さんに「ノンアルビールもありますか?」ダメ元できくと「あるよ、1つ?」ときかれたので、「ビール1つとノンアルビール1つ。」と注文した。
「はい、お先ノンアル。はいこっちはビールね。彼女とデート?いいねぇ。」彼女じゃなくてと言いそうになるのを抑えて僕はお金を払って、右手に持ったビールに口をつける。プラスチックのカップだけど、冷えたビールは美味しい。
ヒカルのところに戻り、左手に持っていたノンアルビールのカップをヒカルの頬につけると、「ひっ?冷たいよ。え、あ、ビール?」といいながらヒカルが受け取った。「違法じゃ?」ときくので僕が「大丈夫。」と答えると、「お祭りだし…。」と言ってヒカルがカップに口をつけた。
「にがっ!僕初めてなんだ。酔ったらよろしくね。」
「う、うん。」それノンアルだから酔わないけど。やっぱり飲んだこと無かったか。ノンアルにして正解だったな、と思っていたのに。
しばらくすると、ヒカルが「暑い」と言って、きっちりと着付けていた浴衣の胸元をゆるめはじめた。白い肌のあらわになる面積が増えて、僕はついついいろいろ妄想するところだった。
「え?酔っ払ってきた?」僕が少し慌ててきくと、
「わかんないけど、いい気分♪」とヒカルが言った。
嘘だろう?
ビールって思いこんでるから、暗示にかかった?
どうしよう。ノンアルだってこと言いそびれた。
そのうちヒカルは、カップにノンアルビールがまだ半分も残ってるのに、僕にもたれかかって寝息を立て始めた。
なんて可愛い生き物!
僕のいたずら心が招いたこととはいえ、この状態でオアズケをくらうとは。でも、15分だけこのままでいさせてあげよう。いや僕がこのままでいたい。あぁ、ここがお祭りという公衆の面前でなければ。僕は下心と幸せな気持ちの狭間で、自分のすでにぬるくなったビールをあおった。
お題「お祭り」
スーッと音もなく来た白髪の老人が、私の目の前に立ち止まると、私にこう言った。
「あなた、神様にならない?」
季節の変わり目には頭のネジのゆるんだような人が時折り現れるが、この人もその類いか。かかわらないのが1番。無視して私は歩きつづける。
「いや、ちょっと待って。変な人じゃなくて、どっちかって言うと変な神様なんだけど。」
いよいよヤバい。私は小走りになった。
「もう!じゃ、これなら?」
そう言うと老人はパッと消えたかと思うと、目映い光の玉となり上昇し続け、今度はその光の玉が空からゆっくり私の目の前に降りてきて、光の中からイケメンの青年が
「俺様、あ、間違えた。神様降臨、なんちって。」と言いながら現れた。
「こういうの人間は感動する?え、あっ!ちょっと!」
その声を聞きながら私は卒倒したのだった。
お題「神様が舞い降りてきて、こう言った」
I'll write it later.
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「バタフライエフェクト」というものが本当にあるならば、私のしたことの何かが、どこかの誰かの幸せのために、少しでも役に立っていたらいいな。
お題「誰かのためになるならば」
魔王にさらわれた伯爵家の姫であり俺の許嫁を救うべく、国王陛下にお許しをいただき兵を訓練し討伐隊を編成し率いてやっと魔王の城までたどり着いた。強大な魔力の魔王を倒すために1年の月日が必要だった。
あの人形め、まんまとさらわれおって。
俺の出世はどうなる。あの女の家柄名誉財産を手に入れて出世する俺の計画が台無しだ。おとなしく俺の鳥かごの中で生きていればいいものを。とっとと姫を連れ帰り婚姻だ。
姫のいる、塔の最上階に俺と2人の兵しかたどり着けなかったが、まぁいい。
魔王はまだ戻ってこないようだ。
「姫、ご無事でしたか。お助けに参りました。さぁ、行きましょう。」俺が言うと、姫は「いいえ。」と答えた。
よく見れば幼子を胸に抱いている。
「そ、その子は?」俺が狼狽えて問うと、姫は答えた。「あの方と私の大切な御子です。私はさらわれたのではなく、身ごもった私をあの方が連れ出してくださったのです。私は望んであの方と結ばれたのです。ですからもうこれ以上、私たちの幸せを脅かさないでくださいまし。」
なんということだ。そんなに前からこの女は俺を裏切り魔王と通じていたのか。
「裏切りもの!子供もろとも殺してやる!」俺が叫ぶと女は「裏切り?許嫁とは名ばかりで私の家や財産ばかりみていた方に、裏切り者とは言われたくありません。ですが、私を殺して気がすむのでしたら、この命差し出しましょう。でもこの子の命だけはお助けください。この子に罪はありません。」
「うるさい!黙れ!魔王の子など!」
俺の剣が二人に突き刺さろうとした刹那、まばゆい光が子供を包みどこかへ消え去った。
俺の剣は女の胸だけをつらぬいた。
「間に合わなかったか!」
魔王は2人の兵士に当て身をすると女の元に向かいその胸にかき抱いた。
「ローズ、すまない、お前を守れず。」
「いいえ、あなたはあの子を守ってくださった。あの子は私の命。ありがとうございます。」
魔王は怒りに震えていた。
「おのれ!」
魔王の雷が俺をつらぬいた。
「あなた、最後の魔力を…。」
「良いのだ。お前のいない世界に用はない。あの子は私たちの子だ。1人でも強く生きるだろう。」
俺は薄れゆく意識の中で、2人が幸せそうな笑みを浮かべ、光の中に消えていくのを見ていた。
お題「鳥かご」