ナナシナムメイ

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7/30/2024, 3:13:54 PM

〈お題:澄んだ瞳〉

言葉に囚われた瞳はインクが澱んでいる。
「僕の瞳は、墨汁の様な黒目です」
僕は自己紹介をしてみた。

すると、そいつは生意気な事を口走った。
『僕からすれば、みんな白濁した目をしている。』僕の事を否定するのは、紙の中の子。
滲み出たインクによって構成されているその子はとても不細工であった。
その子を構成する骨組みが歪んでいるのが原因である。そのくせ、肉付きが良いので、本当に可愛くない。

その子に名前を与えてやる。
「君の名前はヒズミだ」
暫くすると、ヒズミは文句を言った。
『俺はお前と名を好かない』
僕の涙ぐましさを返してほしい。

「消されたく無かったらいい子になろうな」
僕の忠告を受けて、ヒズミを構成するインクは濁流の如く漏れ出した。
『別に消されるのは構わないが、何故お前に脅されなくてはならない。お前が俺の育て方を間違えたのだ!名は体を表すとはよく言ったモノだ!』
ヒズミに睨まれた。僕の脅しを突っぱねて名付けにまで文句を言う。心意気はあるようだ。

その文字列に僕は活き活きとした何かを感じ取っている。ヒズミに目があればどんな風なのだろう。きっと、吊り目で白濁した汚い目に違いない。そう思っていると突然、筆が止まった。

『僕にはどうも、産まれたばかりの彼は、相手の態度しか知らない、無知な子なので憎めない。与えられた言葉をひたすらに溜め込んでいる。まさにヒズミは原石である。』

僕は文章を書く時、心にもない事を書いてしまうようだ。
「全部消してやろう」
『…』
「……」
『消さないのか』
肉を削ぎ落とした彼は衰弱しているが、名残深い白紙はとても澄んでいる。
「消すさ」
言葉が囚われた瞳はインクで澱んでいる。

7/27/2024, 4:17:57 PM

〈お題:神様が舞い降りてきて、こう言った〉

とある人類が神へ問うた。
「神と私の差は何なのでしょうか」

なんと天使が舞い降りて、こう言った。
「神は君たち人類と比べるべくもない」

人類は感嘆する!
「なんと!天使は存在しておりましたか!神様は天使様の空想する概念でしょうか!」

そこに、神様が舞い降りて、こう言った。
「…我々神を疑うのは、本当におやめください。誠心誠意、願いを叶えております。」

人類はこの時、神を疑うのを辞めた。
そして、人類はひたすらに神様を崇め立てて、欲求を要求するようになったのである。

神様は感嘆する。

7/27/2024, 4:58:12 AM

〈お題:誰かのためになるならば〉


誰か私の為に…。

夕暮れ時に、一つの選択と私の意識が板挟みになって公園のシーソーが傾いた。

雨が降り出しそうな憂鬱とした気分が、紅く燃える太陽に焦がされて、シーソーが逃げる様に跳ね上がり、鋭くタイヤを叩いた。

「ここに居たんだな」
私は、この公園のベンチに座る男を見る。
彼の視線は公園の入り口に立っている人へ集中していた。
「待ち合わせと言ったのはお前だろう笑」
彼らは友人関係にあるらしい。
ベンチを立った彼は何処かへ行ってしまった。

シーソーから降りた私は私だけの公園を見渡した。散乱したゴミと倒れているゴミ箱が一つ。
鎖の捻れたブランコが一つ。
ブランコは泥まみれで、誰かが酷い遊び方をしたのだろうとわかる。
公園でボール遊びをして、泥遊びをして、ブランコの鎖を捻った奴がいる。

そいつらは元に戻すことをせずに帰った。
いい迷惑だ。誰かの迷惑など考えていない。
私がその当事者であれば、迷惑を考えて片付けていただろうに。

全く…誰か私の為に…。

7/26/2024, 1:53:12 PM

〈お題:鳥かご〉


7/24/2024, 2:48:16 PM

〈お題:友情〉


上を見上げれば、空が青い。
青い空は雲を浮かべて遠くの方では静かな雨をしとしとと降らせている。

見上げた空は青いのに、遠くの空は薄暗い。

環状。

コントローラーのタップ音が微かに聞こえてくる。水の入った綺麗なコップが濁るのは集中した証であるが、それだけ危うい未来につながっている。ゲームへの熱量で目眩を起こさなければ良いが。


あからさまな嘘を語った一人の人間が、一つの結論を出した。
友達という立場を利用したその手腕は驚くに値しない。連絡の頻度は天気予報が外れるよりずっと少ない。

解像度が上がると、少しずつ消えてなくなるその心情に細波が立つ。
どうやら根はきっと優しいのでしょう。

鱗状。

大地に雨風が降り積もると、大地を流体する砂粒がたくさんの人を運んで支えている。様々を讃えるその有り様はとても真似する事はできない。干ばつに喘ぐことが無ければよいが。

素晴らしい出来栄えに心が震える。
という語りを最後に私は夢を見る。
拾うのが人か。
拾われるのが人か。
友情は友に情が湧いた時にこそ発揮される。

友とは、比較的仲の良い知り合いである。
友に情が湧いて初めて、他人事では居られないのだ。自分ごとの様に友の人生に歩み寄る。
それが友情というモノだと俺は思う。

おまえさんが、自分の人生と思っているそれは友情出演する俺の人生が少し乗っかっているのだと知って欲しい。それが傍迷惑と感じるならば、おまえさんが俺に対して情を持ち合わせていない証拠なのかもしれない。

友であっても、友情がないのは何ら不思議なことではないのだから。

だからこそ、友情は「素晴らしい」。

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