ナナシナムメイ

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〈お題:誰かのためになるならば〉


誰か私の為に…。

夕暮れ時に、一つの選択と私の意識が板挟みになって公園のシーソーが傾いた。

雨が降り出しそうな憂鬱とした気分が、紅く燃える太陽に焦がされて、シーソーが逃げる様に跳ね上がり、鋭くタイヤを叩いた。

「ここに居たんだな」
私は、この公園のベンチに座る男を見る。
彼の視線は公園の入り口に立っている人へ集中していた。
「待ち合わせと言ったのはお前だろう笑」
彼らは友人関係にあるらしい。
ベンチを立った彼は何処かへ行ってしまった。

シーソーから降りた私は私だけの公園を見渡した。散乱したゴミと倒れているゴミ箱が一つ。
鎖の捻れたブランコが一つ。
ブランコは泥まみれで、誰かが酷い遊び方をしたのだろうとわかる。
公園でボール遊びをして、泥遊びをして、ブランコの鎖を捻った奴がいる。

そいつらは元に戻すことをせずに帰った。
いい迷惑だ。誰かの迷惑など考えていない。
私がその当事者であれば、迷惑を考えて片付けていただろうに。

全く…誰か私の為に…。

7/27/2024, 4:58:12 AM