Setsu李

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8/17/2025, 11:42:40 AM

「ねー!!もうかいた?」
「え、何かあったっけ?」

「え!まだ書いてなかったの!今日の15時締切だよ?!」

いつもギリギリだよね〜と笑った君はまだ覚えてるかな。
将来の自分へ向けた手紙。
一年後、五年後、十五年後。何年後の自分へ書いてもいいと
何を書いてもいいと言われ配られた一枚の紙。

将来の夢とか、希望とか、願望とか何も浮かばなくて。

それよりも君と同じ時間を過ごせる
「いま」がずっと続けばいいのにって反抗期。

「みらい」を語る君の姿が眩しくて、嫉妬した。
暑い暑い夏の日、結局どうしたんだっけな。



「その紙は飛ばさないでよね」




──────ああ、思い出した。



「大丈夫だよ。僕の空はここにあったから」


僕の代わりに飛ばさなくて良くなったからね。
外国へ行くことが決まってた君の隣に、僕はいる。

離れた場所へ行く、君の横に居たくて
紙飛行機にして飛ばしたんだよあの時はね。


お揃いの指輪をつけた君が隣で笑う。



「もう、飛ばさなくてもいいんだ」


『遠くの空へ』

8/17/2025, 8:37:25 AM

桜と「はじまり」の春

向日葵と「あこがれ」の夏

紅葉と秋桜と「おもいで」の秋

猩猩木と「祝福」「祈り」の冬

大好きなお花と、愛する君。
ファインダー越しから見るその顔が大好きだった。

同じものがみたかった。
同じせかいがみたかった。

すきなもの、苦手なもの、聞いた事、見たもの。
すべて、共有できたらいいのに。

好きな人の好きなものを知りたい。
あなたが生まれた世界、育った場所を知りたい。

「ねぇ、教えてほしいな」

『君が見た景色』

8/10/2025, 3:42:59 PM

「生きるのがつらい」「生きてくのが怖い」
「いなくなりたい」「きえたい」

君の怖さも、恐怖も、辛さも
全部、ぜんぶ、引き受けて、かわりにできたら。

君が、もっとわがままだったらよかった。
最初に君が、教えてくれたの。
さきに君が、僕にくれたから。

君が、笑って、諦めて、すてたものなら。
僕が、泣いて、粘って、ひろっておくから。

あなたが笑ってくれる
楽しいと、嬉しいと、しあわせだと。

それだけでよかった。
ただ、それだけでよかった。

正解なんてないんだから、君を笑わせたい
ただ、そのためだけに行動する、

なーんだ、それで充分なんじゃんね。

『やさしさなんて』

8/3/2025, 3:52:02 PM

あの頃は幸せだった。
心が弾んで、踊り出すように。

それはまるで 雨上がりの虹のように。
それはまるで 太陽を追いかける向日葵のように。

それはまるで、氷が溶けるようにゆっくりと。
僕たちを繋いで、いく。

と、そう思っていたのは私だけだったのかな。

ぱら、ぱら、ぱら、ぱら
きらきら、、きらきら

ぱち、ぱち、ぱち、ぱち

カラン、コロン。

溶けきった氷を無理やり流し込む。

あんなに美味しかったはずなのに。
あんなに綺麗だったはずなのに。

静かに紡がれる声が聞こえることはもうない。
私が好きだった音が聞こえることはもうない。



わたしを好きな きみは、いない。
わたしを愛してくれる、きみは、いない。




私が愛したきみは、もう、いないんだね

『ぬるい炭酸と無口な君』

6/27/2025, 9:09:44 AM

「愛しちゃってごめん」

涙を堪えながら伝えた言葉、伝えたかった言葉は
君に届いたかな。届いてなくてもいいよ。私の我儘だから。

できるのならば、君と会うまえに戻りたい。
大好きな君を悲しませることがわかってたら声かけなかった。

自分の声が嫌いだった。 君が私の声を愛してくれた。
自分が嫌いだった。 君が愛してくれた。

だからね、もう、いいよ。
もういいんだよ。

君が愛してくれたこと、私が覚えてるから。
だから、君は、私のこと忘れてほしい。

ほんとだよ。ねぇ、ありがとうね。充分しあわせだったのよ。
いっっっっぱいもらった。楽しかった。嬉しかった。

「嫌いになれなくてごめん」

置いていっちゃってごめんね。
だからさ、この記憶は私が貰ってくから。全部貰ってくから。

きっと、最初で最後のわがままだから。
優しい君はきいてくれる...よね?

ぜーーんぶ忘れて、どうか、幸せになってね。
願うならば、来世では、君と会いませんように。



『最後の声』

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