Setsu李

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あの頃は幸せだった。
心が弾んで、踊り出すように。

それはまるで 雨上がりの虹のように。
それはまるで 太陽を追いかける向日葵のように。

それはまるで、氷が溶けるようにゆっくりと。
僕たちを繋いで、いく。

と、そう思っていたのは私だけだったのかな。

ぱら、ぱら、ぱら、ぱら
きらきら、、きらきら

ぱち、ぱち、ぱち、ぱち

カラン、コロン。

溶けきった氷を無理やり流し込む。

あんなに美味しかったはずなのに。
あんなに綺麗だったはずなのに。

静かに紡がれる声が聞こえることはもうない。
私が好きだった音が聞こえることはもうない。



わたしを好きな きみは、いない。
わたしを愛してくれる、きみは、いない。




私が愛したきみは、もう、いないんだね

『ぬるい炭酸と無口な君』

8/3/2025, 3:52:02 PM