「明日が来なければいいのに」
朝が来るのが怖かった。
生きるのも、死ぬのも怖くて。
布団の中で寝れない夜を過ごす。
寝るのは大好きなのに寝ると朝が来る。
夜も起きてたら、少しでも朝が来るのを遅らせることができる
とあの時の私は本気で信じてた。そんな事はなかったけど。
あの時見た星も、月もずっと綺麗で。
綺麗な星や月に毎日願った。
「朝が来ませんように」「ずっと夜でありますように」
「明日起きたら世界が滅びてますように」
どれだけ星や月や夜に願っても
朝は来たし、太陽は昇って、空は明るくなった。
空は、そらだけは平等にみんなのもので
幸せな人もそうじゃない人もみーんなを連れてく。
空だけは、私の味方じゃなくて。
空だけは、私の味方だった。
────ほら、いつだって
『空はこんなにも』
「はやく大人になりたい」
あの頃は、なんでも自分で決められる大人が
かっこよく見えて、狡いとまで思ってた。
自分ができないことをしている大人になりたかった。
好きな物を買える
好きな時間に好きな事をする
大人が自由にみえた
時間に縛られない大人。
あの頃には許されなかった夜更かし。
今は、どうだろうね。
年齢でいえば大人と呼ばれる歳になった。
社会人として働くようになり、好きな物も買えるようになった
気付いたら越してる日付に夜更かし徹夜はお手の物。
これがあの頃憧れた自由だろうか。
これが私がなりたかった大人なのか。
大人も子供もそれぞれ大変なことがあって、
みーーーんなそれを隠しながら生きてるんだろう。
そうであると、知ってしまったからには。
私の、僕の、ゆめってなんだったかなぁ。
なんで「はやく大人になりたかった」んだろう
いまは、大人になんかなりたくなかったかも...なんてね。
『子供の頃の夢』
無くす方が得意だった。
探すのも見つけるのも君が気づいたら隣で手伝ってくれてて
「ほら、ここにあった!」って言われては謝って。
「魔法使いみたいだね」って僕が言ったこと覚えてる?
僕が失くしたものぜんぶ見つけてくれるからさ、
あの時きみはなんて言ったんだっけ。
ううん、忘れたことないよしっかり覚えてる。
忘れるはずがない。どうしようもなく嬉しかったから。
「君が私を魔法使いにしてくれるんだよ」
『恋か、愛か、それとも』
「ぜっったい大丈夫!」
君の向日葵のような笑顔と絡ませた小指。
大好きな声、大好きな笑顔、視線、匂い、仕草、表情。
大丈夫、まだ覚えてるよ。
大丈夫、まだ待てるよ。
君が大丈夫って言ったから
「行ってきます」って。いったからには帰ってこなきゃね。
だから、君に「おかえり」って言える日まで。
それまで、いつまでも待ってるよ。
『約束だよ』
「いーれーて!」
君との距離が開かないように
君の声を聞き逃すことがないように
できるだけ近くに居れるように。
鞄の奥に折り畳み傘と君への思いを隠したまま。
『傘の中の秘密』