「ねー!!もうかいた?」
「え、何かあったっけ?」
「え!まだ書いてなかったの!今日の15時締切だよ?!」
いつもギリギリだよね〜と笑った君はまだ覚えてるかな。
将来の自分へ向けた手紙。
一年後、五年後、十五年後。何年後の自分へ書いてもいいと
何を書いてもいいと言われ配られた一枚の紙。
将来の夢とか、希望とか、願望とか何も浮かばなくて。
それよりも君と同じ時間を過ごせる
「いま」がずっと続けばいいのにって反抗期。
「みらい」を語る君の姿が眩しくて、嫉妬した。
暑い暑い夏の日、結局どうしたんだっけな。
「その紙は飛ばさないでよね」
──────ああ、思い出した。
「大丈夫だよ。僕の空はここにあったから」
僕の代わりに飛ばさなくて良くなったからね。
外国へ行くことが決まってた君の隣に、僕はいる。
離れた場所へ行く、君の横に居たくて
紙飛行機にして飛ばしたんだよあの時はね。
お揃いの指輪をつけた君が隣で笑う。
「もう、飛ばさなくてもいいんだ」
『遠くの空へ』
8/17/2025, 11:42:40 AM