やまめ

Open App
6/11/2024, 3:02:10 AM

世界が平和になればいいのに
そしたらとても生きていたい
そう思うのに

埼京線のホーム 川越行き
列に並んで 
飛び降りることなんか考えない

電車が来るたび
ぴっちりと決められた時間に
首を絞められて
笑いながら崩れ落ちる
そんな妄想にまた笑える

ウォークマンを弄びながら
ワイヤレスイヤホンを耳に押し込み直す
目を閉じて 見ないふりをする
ムカつく顔のサラリーマンが
ジロジロ見てるんだ

殺したい 死にたい
でも生きたい
だから僕を忘れてくれ
見てんじゃねえ ちゃんと僕を見ろ
もう何も見たくないような世界なんだ 


服のサイズは過剰にオーバーで
何もかも隠してくれたらいい、なんて
思ってるうちにまた視線を感じて
振り返ってわざと目を逸らす

うるさい 何がかわいいとか
何が似合うとか どんなシルエットとか
ほっといてくれ
僕だって気にしたくないさ
でも気にしなきゃまた傷つくから

削ぎ落としたい
カッターを手に取る
ぶっ刺したい 気持ち悪い
触んなよ こんなもんくれてやる

要らねえ

僕の望みは名前なんかつけなくていいような世界
僕の未来は笑ってる世界
僕の理想は好きで溢れてる世界
僕の目標は強く立ってられる自分

お願いだから わかってくれ
もう諦めたいなんて言いたくもない
息ができなくなった時
そんな風に手を差し伸べるなら
あなたはその世界から逃れられてないんです

わかる わかるよ
誰よりもがんじがらめにされてるのは
僕なんだから

僕じゃないか

僕なんかにできるかな?
世界を変えることなんて
そんなことを考えながら
今日もホームに佇みに行く

6/3/2024, 3:06:09 PM

さよなら、と恋人の隣で呟いた
愛娘の隣で眠るあなたに
そっと闇を見つめ光を思い出す
私にしか見えないような歪な恋を

淡いわね 甘いわね
苦くて強烈な決意なの
あなたの匂いに魂が嬌声をあげる
あなたの指先に全身が喘ぐ

ひとつだけあなたがくれる
毎朝の魔法
「  」
私の名前 苗字で呼ぶのね

愛ならばまっすぐだわ
恋ならば拗らせてるの
恋人は言うのよ
「幸せそうだね」と

愛せるのなら幸せなの
見ていられるならもう十分ね
私が何を望んでるかって
あなたが今日も眠れること

恋人と指を絡め
またあなたを思い出してしまう
薄れゆくあなたの影を
心の片隅で

いつか忘れるわ
最後に抱きしめたあなたのことなんて
きっとね だから元気でいて

あなたの顔を思い出して
これでおしまい
笑ってみせる
さよなら、


5/21/2024, 2:05:37 AM

「もういいよ」
求めているのはただそれだけ

テレビでは児童虐待の報道
羨ましいよなあ わかりやすい苦しみの形が
自分にそう囁いている自分をひねって潰す

「お母さんのこと、大好きなんだね」
わざと苦笑で返して見せた
だって嫌いって言ったら
僕が悪いことになるから

「なんでそんなことを言うの」
そう言いたいけどわかってるよ
不安なんでしょう
僕が正解に育ってるかどうか
自分の評価基準を満たしてるかどうか
あなたの人を見る目はそればっかり

「そんなにうちが嫌か」
当たり前でしょ 辛いからいたくないんだよ
あなたの評価がこわいから
あなたたちの不安定なんか
どうだっていい場所にいたいから

「もういいよ」
心から諦められたらどれだけ楽なんだろうね
あなたたちに怯える必要もないくらい
どうでも良くなったら
それが僕の望みなんですよ
なんて、くだらない

「死ねばいい」
そう思ってしまう自分を
今日も風呂場で殺しました

5/20/2024, 5:46:48 AM

「僕にとって君は幸せでいてほしい人でした。
 だから、君を悲しませてしまうのは
 とても悲しいけど
 ごめんね
 それじゃ、」
 
 相変わらず手紙を書くのが下手なんだな、と思いながら、丸っこい字を親指でそっとなぞる。手の端がテーブルにそっと置かれた鍵に触れた。冷たい金属の感触が、かつて彼がその物体に触れていたという事実すら忘れさせようとしてくる。
 部屋を見回しても、痕跡すらない。いや、一つだけ、彼が今朝使ったであろう食器だけが、彼の指紋をきっと僅かに残している。
「いなくならないで」
 そっと呟いてみる。ひとり樹海に佇む彼に、この声が聞こえるはずはない。でも、言わずにはいられなかった。
 彼に届けるのは、まだ間に合うだろうか。冷え切った鍵を掴む。まだ、まだ彼のいる場所がわかる内に、どうか、
 この手紙を、突き返させてください。

5/7/2024, 3:00:15 AM

明日世界が終わるなら、
みんなに終わりが訪れるなら、
終わりを迎える君の耳元に
「死なないで」って囁きます

明日世界が終わるなら、
みんな消えてしまうんなら、
君の鼻歌でも聴きながら
僕は黙って海でも見てます

明日世界が終わるなら、
みんなに明日が来ないなら、
生まれて初めて心から
「また明日」って言えるんです

何よりも大切な君に
「また明日」って手を繋ぎたい

Next