やまめ

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世界が平和になればいいのに
そしたらとても生きていたい
そう思うのに

埼京線のホーム 川越行き
列に並んで 
飛び降りることなんか考えない

電車が来るたび
ぴっちりと決められた時間に
首を絞められて
笑いながら崩れ落ちる
そんな妄想にまた笑える

ウォークマンを弄びながら
ワイヤレスイヤホンを耳に押し込み直す
目を閉じて 見ないふりをする
ムカつく顔のサラリーマンが
ジロジロ見てるんだ

殺したい 死にたい
でも生きたい
だから僕を忘れてくれ
見てんじゃねえ ちゃんと僕を見ろ
もう何も見たくないような世界なんだ 


服のサイズは過剰にオーバーで
何もかも隠してくれたらいい、なんて
思ってるうちにまた視線を感じて
振り返ってわざと目を逸らす

うるさい 何がかわいいとか
何が似合うとか どんなシルエットとか
ほっといてくれ
僕だって気にしたくないさ
でも気にしなきゃまた傷つくから

削ぎ落としたい
カッターを手に取る
ぶっ刺したい 気持ち悪い
触んなよ こんなもんくれてやる

要らねえ

僕の望みは名前なんかつけなくていいような世界
僕の未来は笑ってる世界
僕の理想は好きで溢れてる世界
僕の目標は強く立ってられる自分

お願いだから わかってくれ
もう諦めたいなんて言いたくもない
息ができなくなった時
そんな風に手を差し伸べるなら
あなたはその世界から逃れられてないんです

わかる わかるよ
誰よりもがんじがらめにされてるのは
僕なんだから

僕じゃないか

僕なんかにできるかな?
世界を変えることなんて
そんなことを考えながら
今日もホームに佇みに行く

6/11/2024, 3:02:10 AM