うわーんまた昨日も忘れちゃったので、今日のお題と合わせます
親切で、愛嬌があってどんな時でもニコニコしている。でもその笑顔を僕のものだけにしたいとか、思うようになってしまってから君の周りの男たちに敵意を抱くようになった。なんだってみんな、あの子にそんなに夢中なんだ。他にも女子はたくさんいるだろう。僕だけが、あの子のことを見つめてられたらいいのに。僕だけがあの子のそばにいたい。笑顔を独り占めしたい。全てを独占したい。
そんな気持ちが日に日に強くなってゆく。彼女は相変わらずみんなに平等に接している。こんな僕の、どす黒い気持ちなんかちっとも分かっちゃいない。
じゃあもしも僕が、あの子に思いを告げたらどうなるだろう。僕のものになってよ、と言ったら二つ返事でOKしてくれるのだろうか。その結果は神様だけが知っているわけだけど、僕もなんとなく分かる。NOで返される気がする。今の僕じゃ、彼女の視界に入ったとしても、ずっと見つめてもらえるような器じゃない。そんなの分かってる。僕の気持ちばかりが成長して、肝心なあの子の気持ちは何一つ変わってくれてはいない。
だからまだ告白はしない。勝算が100になるまではまだ、思いを告げない。それって一体いつになるんだろうか。のんびりやってたら彼女はきっと誰かのものになってしまうよな。
でも、“力ずく”とか、そう言うやり方は嫌だ。どんなに嫉妬してしまっても、彼女の悲しむことはしたくないから。それくらい僕だって良識ある。
だからあとは……やっぱり神頼みか。神様、僕にいい風向きをください。努力は決して怠らないから。あの子の瞳にどうか僕を映して。
そう願いをかけた今宵の空。星が満天に輝いていた。そういえばもうすぐ七夕だ。僕の願いは叶うだろうか。あの子に気持ちを打ち明けられるだろうか。あれもこれもやっぱり、全ては神のみぞ知るんだろ。
昨日書くの忘れたから昨日と今日のお題合わせて書く。
んもー、さいきん忘れがち。
まだ、分かんないじゃん?
ここで終わるか続けるのかって、自分にかかってると思うんだよね。
そりゃ辛いけどさ。いいことばっかじゃないけどさ。でもなんでかなあ、辞めたくないんだよね。いつか君にも分かるよ、そういう感覚が。
よく喋る人だなと思った。
長々と能書き垂れて、あの人の第一印象は最悪もいいとこだった。けれどあれから数年後、彼は本当に結果を出した。私のよく知らない土地で文献を学び、これまたよく分からない試験データを発表した矢先にそれが認められて、彼は一躍有名人になったのだ。
今思えば、ちょっと鼻につくけど探究心だけは底無しな人だった。自分が知りたいものをとことん追い求めるバイタリティは、悔しいけど私には彼ほどの熱量を持ち合わせてなかった。何から何まで、最初から最後まで、彼には勝てなかったというわけだ。
誰かと競って成果を出すなんて、私には向いてなかったのかもしれない。そもそも比べること自体が可笑しいのだけれど。周りの人と肩肘張るんじゃなくて、誰に言われても揺るがないような強い気持ちだけあれば良かった。そうしたらきっと、私も――
“ここで終わるか続けるのかって、自分にかかってると思うんだよね。”
自室で机に突っ伏している時、そんな声が聞こえた気がした。
あの人がここで終わりじゃないと、私に言っているような感覚。この道の先にまだ何かがあるのなら、それをこの目で確かめるまでだ。彼ならきっとそう言うと思う。だからもう一度立ち上がれ。悔やんで嘆くのはその後でいい。
「全く、もう……」
どこまでもお人好しな人だな。カリスマで、ちょっと偉そうでたまに素でおかしな事とか言っちゃって。そんなあなたが私は好きだったよ。
部屋のカーテンを開ける。外はもう眩しい光が降りそそぐ時間帯になっていた。今日も日差しは強そうだ。だいぶ引き籠もっていたから、この夏の天候についてゆけるかどうか、そこがちょっと心配。
でもこの鬱陶しいくらいの眩しい太陽のおかげで私の決心は固まった。
もう一度やろう。この道の先を知るために。
「ごめんね、わざわざ迎えに来てもらっちゃって」
「いや全然。いいんだよ」
会話はそれきりだった。
助手席に乗り込んだ君は絶えず外の景色を見ている。僕が迎えに来ても、考えているのはアイツのことなんだろう。
ちょうど信号が赤になったので停車した。だけど僕には彼女に話しかける勇気がなかった。どうせきっと上の空だ。
今一番近い距離にいるのになんにもできない。このまま遠い何処かへ連れ去ってしまいたいと、出来もしないことを考える時分が嫌いだ。そっと、窓ガラス越しに隣の気配を伺った。静かだけど彼女は寝てはいなかった。窓越しに見えたその表情は、なんともつらそうに歪んでいた。
でも僕はそれでも何も言わず、何もできず、ただアクセルを踏み込むだけだった。
意気地なしって、僕のことか。
見えないけど、きっと繋がってる。じゃなきゃこんなに目が合うことないって。
でもいつになったら伝えてきてくれるのかな。こっちはいつでもオッケーなのに。何をそんなにためらってるんだか。奥手なのは分かるけどさ、こんなに毎日見つめ合ってるんだから、そろそろ、良くない?
「あの、乃上さん」
きた。とある日の休み時間。私の席の前に一人の男子生徒が立った。もう、いつ来るのかって首を長くして待ってたわよ。長くしすぎてキリンになるとこだった、なんちゃって。
「はい?」
白々しく声を作って私は返事をする。ちょっとだけ困ったような顔をして私のことを見つめてくる彼。さあ、言いなさいよ。私のことが前から好きだった。付き合ってください、って、その手をこっちに差し出してくれればあなたの役目は終了よ。あとは私がその手を握るだけ。そんな展開になるんだと信じて疑わなかった。なのに。
「一之瀬さんのことで相談があるんだけど」
「……は?」
「ほら、君といつも一緒に帰ってる子だよ」
「うん、それはわかるよ。わかるけど……なんで」
言葉を切った私に、彼は半歩歩み寄る。私達の間には机があるけど、すごく近い。彼は身を屈ませ、そして私の耳元に顔を近づけてきた。ちょっと何する気――
「好きなんだ」
「……うん」
「一之瀬さんのことが」
「…………………………は」
最後の言葉で一気に冷めた。沈黙すること数十秒。大きな深呼吸をひとつした。なるほどそーゆうこと。目が覚めて、全部理解して、私は史上最強の勘違い女だと気付いた時、彼の手を掴んでいた。
「え、なにどうしたの」
「小指、折っていい?」
「え?はっ、え?」
「……なーんてね」
糸は見えないから、もし万が一この人の赤い糸が私に絡まってちゃまずいと思ったけど。まかり間違ってもそんなことあるわけないか。なんだなんだ。全部私の思い過ごしってやつね。はずかし。
「いいよ、何が知りたいの?あの子のこと。協力してあげる」
「……本当に!?」
嬉しそうに彼が笑う。そういう顔、私だけに向けてくれる人現れないかなあ。赤い糸ってどうして見えないんだろう。でも、見えなくて良かったのかもしれない。簡単に運命の人を見つけられたら、なんのドキドキも生まれないもんね。
いつかは本物の赤い糸に巡り会えますように。
今日も肌にまとわりつくような暑さだった。でも空は綺麗な水色が広がっていてなんだか清々しい。南西の方角に綿菓子みたいな雲が見えた。上に上に膨らんでいて、まるで生き物みたいに成長している。
本当にあの中に化け物でも住んでたら面白いのに。穏やかじゃないことを考えている僕は今、電車に揺られ窓から外の景色を見つめていた。駅につく頃には6時を過ぎるだろう。それでもまだまだ外は明るい。
暑いこととか、どうでもよかった。
さっきまで駅で君と話してた時、そんなの全然気にならなかった。
“また明日も会えるかな”。君が僕にそう言うから、どうにかしてこの後もずっと一緒にいたいと思ってしまった。まぁそんなのは、高校生の僕らには無理というか許されないことなんだけど。
でも本当は君とまだまだ話してたかったんだよ。時間が全然足りないんだよ。あの入道雲からドラゴンでも召喚させて、月を食べちゃえば夜なんて失くせる。そうしたら君ともっと一緒にいれるんだ。そんな、頭が可笑しい人みたいな妄想しちゃうくらいに、僕は君のことが好きなんだ。
でも明日も会おうと約束したから、そんなことする必要はない。大人しく夜を迎えて、ちゃんと就寝する。そしてまた明日君のこと、改札まで迎えに行くから。