ゆかぽんたす

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「ごめんね、わざわざ迎えに来てもらっちゃって」
「いや全然。いいんだよ」
会話はそれきりだった。
助手席に乗り込んだ君は絶えず外の景色を見ている。僕が迎えに来ても、考えているのはアイツのことなんだろう。
ちょうど信号が赤になったので停車した。だけど僕には彼女に話しかける勇気がなかった。どうせきっと上の空だ。
今一番近い距離にいるのになんにもできない。このまま遠い何処かへ連れ去ってしまいたいと、出来もしないことを考える時分が嫌いだ。そっと、窓ガラス越しに隣の気配を伺った。静かだけど彼女は寝てはいなかった。窓越しに見えたその表情は、なんともつらそうに歪んでいた。
でも僕はそれでも何も言わず、何もできず、ただアクセルを踏み込むだけだった。

意気地なしって、僕のことか。

7/2/2024, 9:55:10 AM